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最終更新日:2021年12月4日

げっけいこんなんしょう月経困難症

月経困難症

まとめ

月経中に起こる体のさまざまな不調から日常生活に困難をきたす状態を月経困難症といいます。具体的には下腹部痛、腰痛、頭痛、吐き気、下痢、イライラ、抑うつ、倦怠感などです。月経困難症には子宮の異常や原因疾患により起こる器質性(続発性)月経困難症と、原因疾患がなく起こる機能性(原発性)月経困難症に分けられます。器質性月経困難症の原因疾患には子宮内膜症、子宮腺筋症などがあります。月経痛に悩む20~30歳代の女性は多いものの、医療機関を受診して治療する人の割合は少ないとされます。治療は鎮痛剤やホルモン剤の服薬のほか、原因疾患が進行している場合は手術を行うこともあります。

この病気の原因

機能性月経困難症の原因は、プロスタグランジンの過剰分泌による子宮収縮があげられます。プロスタグランジンは月経の際、子宮壁から剥がれ落ちた子宮内膜を排出するため分泌されますが、過剰に分泌されると子宮収縮により血流が悪くなり、痛みが起こります。また、子宮や卵巣が未成熟である若年女性は子宮と腟の間が硬く、経血がうまく流れずに痛みがあったり、子宮口が狭いと経血が逆流して卵管から骨盤に流れ、経血に含まれるプロスタグランジンにより痛みが起こります。さらに月経によりナーバスになりストレスを感じる心理的原因、冷えや運動不足により血流が悪くなり、子宮が痛みやすくなるとされます。器質性月経困難症の原因となる疾患には子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫があり、それぞれの疾患に対する治療が必要です。また、子宮の異常が原因のこともあります。子宮内膜症は子宮外の腹膜や卵巣に子宮内膜に類似した組織ができる疾患で、月経に伴い組織は増加と剥離を繰り返して炎症を起こします。子宮腺筋症は子宮筋層に子宮内膜の組織がつくられ、月経痛・月経過多となります。子宮筋腫は良性の腫瘍ができ、月経過多、不正出血がみられます。

主な症状

月経痛といわれる下腹部痛、腰痛のほか、腹部の張り感、頭痛、吐き気、倦怠感、イライラ、抑うつ、下痢などがみられます。機能性月経困難症は初経後2~3年以降の若年女性に発症することが多く、月経1~2日の経血量が多い時に下腹部に痛みが強く現われます。器質性月経困難症は初経後5年以降の女性にみられ、月経5日前から月経後まで下腹部の鈍痛が続くことが多いです。

検査/診断の方法

問診にて初経年齢、月経周期、いつごろから痛みがあるか、出産経験、手術歴などを確認します。内診、超音波検査、MRI検査、血液採取による腫瘍マーカー(CBC、CRP、CA125)検査、腟分泌物の細菌培養などをを行い、他疾患との鑑別診断を行います。超音波検査は子宮内膜症、卵巣腫瘍、子宮の異常の診断、MRIは子宮筋腫、子宮腺筋症の診断、腫瘍マーカー検査のCRPは骨盤内感染症、CA125は卵巣がんの鑑別診断に有用です。

主な治療方法

機能性月経困難症の治療では鎮痛剤やホルモン剤を内服します。鎮痛剤の非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)は、月経痛の原因となるプロスタグランジンの働きを抑え、ホルモン剤はプロゲスチン(黄体ホルモン)と、低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤があり、経血量を減らす作用があります。痛みを抑えるために当帰芍薬散、桂枝茯苓丸などの漢方薬を用いることもあります。機能性月経困難症を治療せず放置すると子宮内膜症の発症リスクがあるため、プロゲスチンや低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤によるホルモン療法を行うことが望ましいです。器質性月経困難症の場合は原因疾患である子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫などの疾患の治療を行います。子宮内膜症、子宮筋腫、子宮腺筋症の治療薬はプロゲスチン、低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤、GnRHアゴニスト、子宮内黄体ホルモン放出システムなどを用います。状態によっては腹腔鏡手術などの治療を行います。

治療後に注意すべき点/予防対策

機能性月経困難症は薬物治療のほか、血行改善のためストレッチなどの運動を行い、ビタミンEのサプリメントを摂取するとよいでしょう。アルコールを控えること、禁煙も重要です。月経痛がひどくても、仕事や学業が忙しいため受診せず我慢する人も多いですが、市販の鎮痛剤を服薬しても効果がなく、日常生活に支障が出るほどの痛みは重大な疾患が隠れている可能性もあります。また、機能性月経困難症を放置すると子宮内膜症を発症することもあり、不妊症などの疾患を引き起こす恐れがあります。気になる症状があれば早めに婦人科を受診して原因を調べましょう。

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