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リウマチ性多発筋痛症(PMR)【イシャチョク】

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最終更新日:2022年9月6日

りうまちせいたはつきんつうしょうリウマチ性多発筋痛症(PMR)

こちらの記事の監修医師
東京リウマチクリニック
久米 健介

概要

リウマチ性多発筋痛症は、通常50歳以上の中高年者に発症する、原因不明の炎症性疾患です。発熱や、頸部、肩甲帯部、腰臀部などの筋肉痛とこわばり、力が入りにくいといった症状が現れます。50歳以上の中高年に発病し、好発年齢のピークは70〜80歳と、高齢者に多い疾患です。男女比は1:2〜3で女性に多い疾患です。治療は副腎皮質ステロイドステロイドホルモン(ステロイド)が有効です。また、時に巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)や腫瘍を伴うことがあります。「リウマチ」という名前がついていますが、関節リウマチとは別の病気です。また「筋痛症」とありますが、多くの場合は筋肉よりも肩関節の痛みが顕著にみられます。

原因

リウマチ性多発筋痛症の病因は、現在のところ不明です。しかし発症においては地域や人種差が大きいため、遺伝的要因を背景に、免疫の異常による急性炎症が病気の成り立ちに重要だろうと考えられており、病気のグループとしてはリウマチ・膠原病に属しています。また、日本では少ないですが、欧米ではリウマチ性多発筋痛症の5~30%に巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)を、逆に巨細胞性動脈炎の約半分にリウマチ性多発筋痛症を合併することから、共通の病因が考えられています。リウマチ性多発筋痛症と巨細胞性動脈炎はともにHLA-DR4という遺伝子のある特殊な型が関係しているとされています。

症状

リウマチ性多発筋痛症は発病が比較的急激で、数日から数週間のうちに典型的症状が揃うことが多いです。全身症状として、38℃台までの発熱、食欲不振や体重減少、全身倦怠感、不眠や抑うつ症状などがみられます。また、手や足の甲、手首や足首に、押すと圧痕が残るようなむくみを生じることもあります。筋肉の症状としては、肩や首、臀部や腰部、大腿などに痛みやこわばりが現れます。痛みは軽微なものから、時に耐えがたい筋肉痛を生じることもあります。特に肩甲部の痛みは高頻度に出現します。症状は一般的に左右対称に出現し、特に腕を挙げたり、起き上がるときなど、動作時に強くなる痛みが特徴的です。筋肉には圧痛がありますが、筋力低下や筋の萎縮はありません。これらの症状は朝の起床時が最も強く、床からなかなか出れない状態になることもありますが、午後には症状が多少軽快することが特徴です。また、巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)が日本人で20%程度に合併します。こめかみ周囲の頭痛、こめかみ周囲の動脈の蛇行や拍動、噛む時のあごの違和感、視力の低下、38℃以上の発熱を伴っていれば巨細胞性動脈炎の合併が疑われるため、より詳細な検査が必要です。

検査・診断

リウマチ性多発筋痛症の診断のためには、身体所見や臨床症状、血液検査、超音波検査などの検査が行われ、Birdや、アメリカリウマチ学会、ヨーロッパリウマチ学会協同 による分類基準が汎用されています。しかし本症の症状は他の様々な病気にもみられ、また本症に特異的な所見はないため、診断は簡単ではありません。確定診断のためには、感染症や悪性腫瘍、関節リウマチ、多発性筋炎といった類似の病気を除外する必要があり、試験的にステロイドを使用して効果判定により診断することも多くあります。一方、巨細胞性動脈炎の併存が疑われる場合は、造影検査を含む各種画像検査や、頭皮の浅側頭動脈の生検など、より精密な検査が必要となることもあります。

治療

リウマチ性多発筋痛症には、副腎皮質ステロイドステロイドホルモン(ステロイド)が有効であり、少量から中等量で効果が実感できます。難治例の場合は、ステロイド薬にメソトレキサート(関節リウマチの治療薬)を併用することもあります。巨細胞性動脈炎の合併例では、失明の危険もあるためステロイド大量投与が必要となることがあります。また、巨細胞性動脈の難治例にIL-6阻害剤(アクテムラ®)が保険適応に認められています。ステロイドの服用については必ず医師の指示に従い、自己判断で減薬や休薬をしないようにしましょう。

予防/治療後の注意

リウマチ性多発筋痛症は、巨細胞性動脈炎の合併が無ければ基本的には治療後の予後は良好であり、筋肉や関節破壊、臓器障害を来たすこともありません。しかしステロイド薬の長期服用により、感染症や糖尿病、高血圧や脂質異常症、骨粗鬆症や筋肉量低下といった様々な副作用が現れる可能性があるため、それらには注意が必要です。

こちらの記事の監修医師

東京リウマチクリニック

久米 健介

【経歴】
広島大学医学部卒業

【専門】
リウマチ、整形外科

【資格】
日本整形外科学会専門医
日本リウマチ学会専門医
日本リウマチ学会指導医
日本アフェレシス学会専門医

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