1型糖尿病【イシャチョク】

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最終更新日:2022年11月29日

いちがたとうにょうびょう1型糖尿病

こちらの記事の監修医師
あおき内科・さいたま糖尿病クリニック
青木 厚

概要

1型糖尿病は、膵臓にあるインスリンを産生する細胞(β細胞)が壊れて、インスリンが少なくなったり、まったく出なくなったりすることで起こる病気です。血管の中にブトウ糖が増え、高血糖を示し、口が渇く、水をよく飲む、尿が多い、体重が減るなどの症状がみられ、急に悪化して、ケトーシスやケトアシドーシスという状態になり、命に関わることもあります。こういった症状や検査結果から1型糖尿病と診断します。1型糖尿病では生きるために注射でインスリンの補給が必須であり、注射の方法は、頻回注射法と持続皮下インスリン注入法があります。常日頃から血糖値をコントロールして、重篤な状態に陥らないようにするために、家族や周囲のサポートが大切です。

原因

1型糖尿病は、膵臓にあるインスリンを産生する細胞(β細胞)が壊れて、インスリンが少なくなったり、まったく出なくなったりすることで起こる病気です。生活習慣病の一種である2型糖尿病とはまったく異なります。β細胞が壊れる原因は不明な点も多いのですが、自己抗体が血液中に検出されることが多く、免疫機能の異常で自分のβ細胞を壊してしまうのではないかと言われています。発症とウイルス感染が関係するという報告もありますが、他のヒトにうつることはありません。また、遺伝性の病気でも、生活習慣病でもなく、同じ家系内で何人も発症することはまれです。0~14歳の日本人では、年間10万人あたり2.4人が発症し、男性よりも女性に多く、若年者に多い病気で、発症のピークは思春期です。ただし、成人で発症することもあります。

症状

1型糖尿病は突然発症することが多いのですが、風邪などのウイルス感染が先行することがあります。症状は、口が渇く、水をよく飲む、尿が多い、体重が減るなどであり、度重なる夜尿(おねしょ)で気づかれることもあります。急に悪化して、ケトーシスやケトアシドーシスという状態になり、命に関わることもある危険な病気です。血管の中にブトウ糖が増え、高血糖を示します。また、高血糖が続くと血管の内壁にたまり、心臓、腎臓、目、神経に合併症を起こします。

検査・診断

1型糖尿病は、症状から糖尿病を疑い、血液検査で高血糖、ケトーシス、あるいはケトアシドーシス、Cペプチドの減少を認めることで診断します。さらに進行速度によって、劇症、急性発症、緩徐進行の3つに分類されます。劇症型は急激に進行し1週間前後でインスリンが出なくなるタイプです。血糖値は高いのにHbA1cは低めなのが特徴的です。自己抗体は検出されることは少ない傾向があります。注射でインスリンを補給しなければ、重篤な糖尿病性ケトアシドーシスになるため、早期に診断・治療が必要です。急性発症型は最も頻度が高いタイプであり、数カ月でインスリンが出なくなります。自己抗体が検出されることが多い型です。一時期改善すること(ハネムーン期)がありますが、その後はインスリリン注射が必須な時期が来ます。緩徐進行型は半年から数年でインスリリンが出なくなるタイプです。大抵は自己抗体が検出されます。最初の内は内服薬でも治療が可能ですが、最終的にはインスリン注射が必要になります。

治療

1型糖尿病では生きるために注射でインスリンの補給が必須です。ただし、緩徐進行型で最初の数年はインスリリン注射がなくても治療できます。注射の方法は、頻回注射法と持続皮下インスリン注入法があります。頻回注射法は、ペン型の注入器で、効果が緩徐なインスリンを1日1~2回皮下注射し、効果の早いインスリンを毎食前に皮下注射する方法です。持続皮下インスリン注入法は、皮膚にカニューレを留置し、インスリンポンプでインスリンを補充します。血糖値が高くなりやすい時間帯はインスリンを増やし、血糖値が低くなりやすい時間帯はインスリンを減らす方法です。持続的に血糖値を測るセンサーの付いた機器もあり、血糖値が大きく変動するとアラームが鳴ります。1型糖尿病を治療する際、食事は常識の範囲でなんでも食べてよろしい。また重い合併症がなく、血糖値も落ち着いていれば、どんな運動してもかまいません。

予防/治療後の注意

1型糖尿病では、目の合併症で失明したり、腎臓の合併症で透析になったり、神経の合併症で足を切断したりすることがあります。またインスリンを自己判断で中止するとケトアシドーシスとなり命に関わります。常日頃から血糖値をコントロールして、こういう事態に陥らないようにしなければなりません。そのためには、家族や周囲のサポートが大切です。特に子供の場合は、担任の先生や保健の先生との連携が必要でしょう。ちゃんと治療すれば、糖尿病のない子どもと同じ生活ができます。また、働き盛りの人も普通に就職して、仕事が可能ですし、女性の場合は妊娠・出産も可能ですが、より厳格な治療が必要です。

こちらの記事の監修医師

あおき内科・さいたま糖尿病クリニック

青木 厚

【経歴】
2002年 福井医科大学(現 福井大学)卒業
2002年 長野赤十字病院
2004年 川崎市立川崎病院 内科
2006年 自治医科大学附属さいたま医療センター 総合診療科
2008年 自治医科大学附属さいたま医療センター 内分泌代謝科
2010年 自治医科大学大学院 医学研究科 入学
2014年 自治医科大学大学院 医学研究科 卒業 医学博士 習得
2015年 青木内科・リハビリテーション科 開設

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