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最終更新日:2022年3月2日

つわり・にんしんおそつわり・妊娠悪阻

こちらの記事の監修医師
麻布モンテアールレディースクリニック
山中智哉

概要

つわりとは、妊娠中に起こる悪心(吐き気)・嘔吐などの消化器系の症状を中心とする症候のことである。50%~80%の妊婦が経験し、初産婦に多い。妊娠5~6週頃に出現するが、その多くは一過性であり、妊娠12~16週頃までに自然消失する。 まれにつわりの症状が悪化し治療が必要になるものがあり、これを妊娠悪阻という。妊娠悪阻ではつわり症状の長期化・重症化ゆえ、栄養障害や代謝障害を起こすことがある。

原因

つわりの原因は明確にされていないが、妊娠5~6週頃に生じる内分泌学的変化、代謝性変化、精神医学的変化といった、母体の心身の変化が関与していると考えられている。 妊娠悪阻に関しては、心理的・社会的ストレスを受けている妊婦や、夫婦関係が良好でない妊婦に多く発生するといわれている。また胞状奇胎、多胎妊娠、妊娠高血圧症候群の既往がある場合や、前回の妊娠で本症を発症している場合にも発生頻度が高くなる。

症状

つわりの症状は多彩であり、現れる症状や期間にも個人差がある。 主な症状として、悪心、嘔吐、食欲不振、全身倦怠感や眠気、頭痛、唾液量の増加や嗜好の変化などが挙げられる。特に、早朝の空腹時に顕著であるとされている。 妊娠悪阻ではつわり症状が増悪し、頻回な嘔吐がみられ、脱水・飢餓状態となる。それに伴い、乏尿、体温上昇、代謝性アシドーシス等の多彩な症状がみられる。重篤な合併症として、ビタミンB1欠乏によるウェルニッケ脳症があり、意識障害や眼振、小脳障害等が現れる。生命に関わる合併症であり、慎重に管理する必要がある。

検査・診断

つわりそのものは病的なものではなく、妊娠中に起こる生理現象である。 妊娠悪阻は、つわり症状の長期化、頻回な嘔吐、5%以上の体重減少、脱水・飢餓状態といった臨床症状ならびに、尿中ケトン体や血清電解質、腎機能等の検査データに基づいて診断される。また、食道炎、胃・十二指腸疾患、虫垂炎などの消化器疾患や、前庭機能異常、脳腫瘍、精神疾患等との鑑別が重要であり、これらを除外することが必要である。

治療

つわりそのものに対しては、入院や治療の必要性はない。 つわりが長期化・重症化し妊娠悪阻の診断を受けた場合は、入院したうえで心身の安静を図り、脱水・飢餓に対する治療を行う。 食事は少量を頻回に分けて摂取する工夫が有効である。最低限の水分や食事も摂取できない場合は、ビタミン剤を含む点滴治療を行い、脱水と電解質異常の補正を行う。 必要であれば、制吐薬を用いて症状緩和を図る。 種々の治療をしても効果がなく、全身状態の著しい悪化や、ウェルニッケ脳症の発症など、母体が重篤な状態に陥った場合は、人工妊娠中絶も考慮される。

予防/治療後の注意

つわり対策としては、症状を軽減するため、日常生活や食事の工夫を行う。 つわりは早朝の空腹時に顕著なため、朝起きたときにすぐつまめるよう、枕元に軽食を用意しておくのが有効である。 悪心や食欲不振があるときは、1回の食事量を減らし、食事回数を増やすようにするのがよい。つわりで食事が十分に摂取できなくても、この時期の胎児はまだ小さく、母体が備えている栄養で成長できるとされており、無理せず食べたいものを食べたいときに食べるようにするとよい。 また外出時は空腹を避け、糖質補給を心がけるようにする。 さらに、においなども悪心を誘発しやすいため、家族の協力のもと炊事を休むなどの工夫も有効である。安静にし、趣味などの集中できるものを見つけたり、家事や仕事で無理をしすぎないことも重要である。 さらに、脱水予防のための水分補給も重要である。脱水・長期臥床による深部静脈血栓症の発症にも注意する。

こちらの記事の監修医師

麻布モンテアールレディースクリニック

山中智哉

【経歴】
1998年 山梨大学医学部 卒業
2002年 同大学医学部大学院 卒業
2019年 麻布モンテアールレディースクリニック 開院

[資格]
・医学博士
・日本産科婦人科学会専門医
・日本抗加齢医学会専門医
・米国ISFN認定サプリメントアドバイザー
・点滴療法研究会認定医

[所属学会]
・日本産科婦人科学会
・日本生殖医学会
・日本卵子学会

治療に適した診療科目

産婦人科

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