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最終更新日:2023年2月25日

ぎらんばれーしょうこうぐんギランバレー症候群

こちらの記事の監修医師
銀座内科・神経内科クリニック
霜田 里絵

概要

ギラン-バレー症候群は、筋力低下と手足のしびれを引き起こす多発神経障害の一種です。筋力低下は通常は数日から数週間かけて急激に悪化し、数日で手足が動かなくなる場合もあります。重症例では四肢麻痺が進んで歩行に介助を要するようになったり、さらに病状が進行することで、呼吸筋にも麻痺が及んでしまい、呼吸維持のために人工呼吸器の装着が必要になる場合もあります。日本での発症率は、年間10万人あたり1-2人です。小児から高齢者まで、あらゆる年齢層で発症する可能性がある疾患です。

原因

ギラン・バレー症候群の主な原因は自己免疫機能の異常だと考えられています。ウィルスや細菌などによる感染症が引き金となり、自己免疫機構が活発になった結果、本来身を守るための自己免疫が自分自身の末梢神経を攻撃してしまうことが原因で、神経障害の症状が出現すると言われています。原因となる感染症はさまざまで、一般的な風邪などの上気道感染や下痢を伴う胃腸炎に感染した後、1~2週間が経過した頃に手足の先にしびれや力の入りにくさが出現する場合があります。

症状

ギラン・バレー症候群の症状はまず両脚に現れ、上方に広がって腕に達します。頻度は低いですが、腕や頭部に始まり、下方に広がることもあります。具体的な症状として、手足の力が入りにくくなったり、手足にチクチク・ピリピリとした痛みが出現したり、感覚が消失するなどの症状が発現します。これらの症状は数日にわたって急速に悪化することがギラン・バレー症候群に典型的な特徴です。手足の感覚の異常の他、痛み、顔の筋肉の麻痺、目を動かす筋肉の麻痺、のみこみに関係する筋肉の麻痺、さらに重症の場合は、呼吸に関係する筋肉の麻痺や自律神経の障害などが起こることもあります。呼吸筋の障害や自律神経の障害が起こった場合、呼吸不全、重度の血圧変動、不整脈、発汗の異常、排尿障害などの症状が発現し、重篤な状態になることもあります。

検査・診断

症状の特徴や病状の経過などからギラン・バレー症候群を疑う事が可能です。確定診断のためには、筋電図検査や神経伝導検査、MRI検査、血液検査などが行われろ他、腰椎穿刺による髄液採取も実施されます。ギラン・バレー症候群では、脳脊髄液内の蛋白が増加する一方、白血球細胞数は正常という変化がみられることが多く、髄液の検査が有効です。また、ギラン・バレー症候群の症状は急速に悪化するため、診断や治療の遅れによって、呼吸に関わる筋肉の働きを妨げる可能性もあります。そのため、ギラン・バレー症候群を疑った場合には、基本的に入院して検査を受ける必要があり、急変時や病態の変化時にも柔軟に対応できるような体制が整えられます。

治療

ギラン・バレー症候群を発症した人は、直ちに入院し治療を受ける必要があります。適切な治療を開始するのが早ければ早いほど、良好な治療結果が期待できます。そのため、症状からギラン・バレー症候群が強く疑われる場合、通常は検査結果を待たずに治療が開始されます。具体的な治療方法として、ギラン・バレー症候群の原因となっている免疫反応を調整する目的で、免疫グロブリン大量静注療法や血液浄化療法が行われます。これらの治療によって自己免疫の状態を正常戻すように調整を行います。

予防/治療後の注意

ギラン・バレー症候群の症状の変化は急速で、迅速な検査と治療がとても重要です。また、筋力低下のために、長時間体を動かすことができなくなると、床ずれになったり、筋肉が固まってしまうなど、二次的に多くの問題が発生する可能性があります。ギラン・バレー症候群による神経損傷の進行はおおむね8週間以内に止まることが多く、急性期の症状が一段落したら、関節や筋肉の機能を保つための理学療法やリハビリテーションが開始されます。成人患者の約30%は発症から3年経っても筋力低下が残り、小児ではその割合はさらに高くなるといわれています。そのため、患者さんが自分自身で筋肉や関節を動かせるように、長期間かけてリハビリテーションを継続することもあります。

こちらの記事の監修医師

銀座内科・神経内科クリニック

霜田 里絵

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