最終更新日:2021年10月24日
「私なんか」という気持ちも…副腎疲労に繋がる「無自覚なストレス」
こちらの記事の監修医師
四日市ヘルスプラス診療所
末光 智子
これまでの記事で、副腎疲労の様々な症状を見てきました。多くの方がひとつやふたつ、思い当たる節があるのではないでしょうか。程度の差こそあれ、現代人は「副腎疲労」になりやすいと考えてもいいでしょう。なぜなら、そもそも「副腎疲労」を起こしやすい生活を送っているからです。
「副腎疲労を知る」シリーズ、第5回目は「副腎疲労を引き起こす原因とは?」をテーマに書いていきます。
副腎疲労の根本原因は「ストレス」
「副腎疲労」を引き起こす大元は、ひと言でいえば「ストレス」です。
もちろん、生きていれば様々な出来事が起こりますから、ストレスがゼロになることはありません。また、適度な「ストレス」は心身にとってはむしろ大切です。
ですが、慢性的なストレスによって、常に副腎に負担をかけ続けていると、どんなに縁の下の力持ちというべき副腎であっても、ストレスにしっかり対処できるだけのホルモンを十分に出せなくなるときがやってきます。
では、どんな「ストレス」が副腎を疲弊させてしまうのでしょうか?
大きく分けて「メンタル面のストレス」と「身体の面のストレス」から考えると、整理しやすくなります。
今回は「メンタル面のストレス」を見ていきましょう。
副腎を疲れさせる「メンタル面のストレス」
「ストレス」という言葉から想像されるのは、どちらかといえばこの「メンタル面のストレス」ではないでしょうか。
代表的なものを挙げると、
・職場の人間関係(上司、後輩、同僚)
・夫婦関係
・嫁姑問題
・親子関係
・仕事のプレッシャー、負担
・過度の責任
・仕事や子育ての忙しさ
・経済的不安
・将来への不安
・過労
などがあります。
また、昨年からの新型コロナの流行による「感染への恐れ」や、自粛生活の長期化、閉塞感や先の見えない不安、自由にやりたいことができないといった状況も、当然メンタル面に影響を与えます。
これらは、自覚しやすいストレスです。
一方、自覚がないかもしれませんが、卑下や自責、罪悪感といった“心のクセ”も、実はメンタル面からジワジワと副腎に影響を与えるストレスなのです。
卑下や自責、罪悪感は、自分への「攻撃」
「どうせ私なんか…」
「あぁ、またやっちゃった」
「私ってどうして、いつもこうなんだろう」
「私って何をやってもダメね」
「私のせいかも…」
こんな言葉が、心によぎることはありませんか?
自分自身に対して抱いている印象のことを「セルフイメージ」といいます。セルフイメージが低い…言い方を変えれば「自己肯定感が低い」「自尊感情が乏しい」と、自分に対して、上記のような言葉を1日中、何回も何十回も、無意識レべルで繰り返してしまいます。
これらは“心のクセ”になってしまっていることが多く、また幼少期や若い頃からずっと持ち続けていることが大半なため、改めて「ストレス」と自覚することがありません。
ですが、「どうせ私なんか…」といった心のクセを持っていると、何かが起こるたびにその出来事からストレスを受けるうえ、さらに自分を責めたり、罪悪感を抱いたりと、心はダブルパンチ、トリプルパンチをくらってしまいます。
しかも、その2発目、3発目のダメージは、自ら与えているという認識がありません。
ストレスというと、何らかの出来事や周りの環境など外的な要因を思い浮かべがちですが、こうした心のクセ、自分自身の見方も、副腎にジワジワと負担をかけることに繋がります。
なぜなら、自分自身に安心できないまま、常に不安や焦燥感、嫌悪感、恐れなどを感じていると、情動に関係する脳の「扁桃体」という部分に「不快」として情報が送られるからです。
「不快」という情報に対して、「扁桃体」は「闘う(=闘争)」か「逃げる(=逃走)」か、あるいは「固まってしまう(=硬直)」のいずれかで反応するよう、シグナルを出します。
すると、自律神経を司る脳の「視床下部」という部位へ情報が渡され、「視床下部」は必要な身体反応が起こるように「副腎」へと指令を出します。
こうして、副腎からアドレナリンやコルチゾールといったホルモンが出されます。
扁桃体が理性よりも感情を優先させる一連の流れは「扁桃体ハイジャック」と呼ばれています。何か緊急のトラブルが起こったときには当然、必要な反応です。
しかし、自分を責めたり、自分自身に安心できずにいたりすることによって、四六時中「扁桃体ハイジャック」が起こっているとしたら? 結果として、常に副腎は「ストレスに対抗しよう」と働き続け、疲弊させることに繋がります。
次回は、副腎疲労を起こしやすい、「カラダのストレス」を見ていきましょう。
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こちらの記事の監修医師
四日市ヘルスプラス診療所
末光 智子
内科医。自治医科大学卒業後、愛媛で地域医療に従事。結婚後、三重県在住、四日市ヘルスプラス診療所(四日市消化器病センター 分院)勤務。日本内科学会認定総合内科専門医、日本医師会認定産業医。Body Element System Japan認定ピラティスインストラクター、ジョイ石井認定イメージングカウンセラー、プロフェッショナル・ファスティングマイスター。著書「すこやかで幸せになるために ココロとカラダを調える」(出版社:ギャラクシーブックス)
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