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最終更新日:2022年6月25日

シニア世代の「デリケートゾーンケア」が増えているワケ【医師が解説】

こちらの記事の監修医師
銀座マイアミ美容外科
幸地 茉莉子

画像はイメージです/PIXTA

将来の介護を見据え、保清のしやすさからデリケートゾーンケアをする高齢者が増えていると、銀座マイアミ美容外科の幸地茉莉子先生はいいます。「終活」をテーマとした美容医療の現状について、みていきましょう。

成人式のお祝いにも…「医療脱毛」が普及したワケ

現在、成人のお祝いに全身脱毛をプレゼントされるといったエピソードからもわかるように、全身のムダ毛ケアをすることはかなり大衆化しました。

その理由として、2000年代の日本のエステティック業界で医療用レーザー脱毛とは異なる出力の弱い、いわゆる光脱毛が開発されたことがあげられます。これにより脱毛市場が拡大、光脱毛が普及し脱毛の価格が一気に安価になりました。それに呼応して医療用脱毛も手の届く価格設定になったのです。

1990年後半から医療用レーザー脱毛器はあるにはあったのですが、脱毛自体の価格が高かったため、いまの40代・50代以上の年代の方にとっては敷居が高いイメージがあったでしょう。

高齢者の「VIO脱毛」が増えている


話は戻りますが、脱毛が大衆化した現在では女性だと脇や脛、男性だと髭というように頻回に剃毛する箇所だけではなく、文字どおり全身脱毛が主流であり、VIOの脱毛をするのも当たり前の時代になりました。

VIOって一体なに? という方のために解説すると、Vライン、Iライン、Oラインを合わせたデリケートゾーンを指す言葉です。Vラインとは恥骨の前面、恥丘と呼ばれる辺りを指し、Iラインは大陰唇、Oラインは肛門周囲の部分です。

終活として、還暦前後の方でもこのVIO脱毛される方が増えてきています。「終活として」というのは介護される側になった場合の保清のしやすさにあります。

体が不自由になり介護が必要になった場合、介護度の進行とともに多くの方がオムツのお世話になります。

直接的な表現になってしまいますが、たとえば陰毛がある状態だと介護者がオムツを取り替える際、綺麗に拭き取ったつもりでも便が陰毛に残ってしまい、匂いの原因になることがあります。要介護の状態だと、毎日お風呂に入るということが難しくなり、2〜3日に1回ということはよくあります。そうすると陰部が不衛生な状態になり、皮膚トラブル、尿道炎にもつながります。VIO脱毛をすることで、介護される側もする側も気持ちよく過ごせるようになります。

また、VIO脱毛される時期としては早めをおすすめしています。

女性ならば月経の際のムレやそれによる皮膚トラブル、または繰り返す尿道炎など経験があると思います。VIO、特にIライン、Oラインを脱毛することで保清をしやすくなり、そういったトラブルが解消されます。

40代・50代から終活を見据えつつ、日々を過ごしやすくするためにVIO脱毛を取り入れてみてはいかがでしょうか。

2010年代後半から…「レーザー脱毛器」の進化

ここからは少し専門的な話になりますが、医療脱毛器には熱破壊式レーザーと蓄熱式レーザーがあります。

「熱破壊式」は従来の医療脱毛で多く使われていた医療脱毛で、「蓄熱式」は2010年代後半以降に普及しました。

熱破壊式レーザーは毛の黒い部分、つまりメラニンに反応するレーザーなので色素の薄い毛や細い毛(白髪や産毛)にはあまり効果がなく、また熱傷の恐れがあるため日焼けした方や色黒の方には照射できませんでした。

一方、現在多くの医療脱毛で使われている蓄熱式レーザーの場合、白髪があっても脱毛効果がありますのでシニア世代にはこちらのレーザーが適しています。また、痛みも蓄熱式レーザーの方が少ないといわれています。

完全な脱毛だけではなく「デザイン」も可能

「陰毛がすべてなくなるなんて恥ずかしい」という方もいらっしゃると思いますが、1回の施術ですべての毛が生えなくなるわけではなく、少しずつ減毛し、毛自体も細くなっていくというイメージであるため、施術は複数回必要です。

つまり、必ずしも完全に陰毛をなくしてしまうわけではなく、満足いくところで終了してもいいわけです。VIOのうちIライン、Oラインだけ施術してVラインだけは残すといったことも可能です。

VIO脱毛により増えている「陰唇切除」


VIO脱毛について解説してきましたが、昨今ではVIO脱毛が普及したことにより、陰唇切除の需要も高まっています。陰毛で隠れていたものがダイレクトに見えるようになったからです。

切除希望の理由は、小陰唇が大きめで大陰唇からはみ出ている、小陰唇の左右の大きさが著しく異なる、色味が気になる、大陰唇のたるみが気になる、などさまざまです。また、見た目の問題だけではなく、自転車に乗るときに擦れて痛い、デニムを着る際に小陰唇が巻き込まれる、性交時に小陰唇が巻き込まれるといった声をお聞きします。

「なんとなく若いころから人とは違うと感じていてコンプレックスであったが、人に相談できる部分でもなかったのでそのままにしてきた。今回思いきって手術に踏み切りたい」と、相談に来られるシニア世代の方も結構いらっしゃいます。

手術自体は単純に切除して小さくするという手術で、目安としては直立したときに小陰唇が大陰唇のなかに収まるよう切除します。あとは個々人の希望に沿って、たとえば色がついている部分はできる限り切除して欲しいという希望があれば、可能な限りギリギリまで小陰唇を小さく切除するというようなこともできます。

手術された患者様からはスッキリした、やってよかった、温泉に行くときストレスが減ったと好評です。

また、大きめの小陰唇、大陰唇のたるみを切除することで溝に汚れが溜まりにくくなるため、終活という意味でも衛生的です。自身のコンプレックスを取り除いていたほうが、介護される側になったときに気持ちが楽になるのではないかと思います。

終活として、また日々の生活をよりよくするものとして、デリケートゾーンのケアについて検討されてみてはいかがでしょうか。

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こちらの記事の監修医師

銀座マイアミ美容外科

幸地 茉莉子

■経歴

2011年 琉球大学 卒業
2012年 昭和大学藤が丘病院 初期臨床研修
2014年 昭和大学形成外科教室 入局
2015年 昭和大学病院形成外科 助教

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