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最終更新日:2022年7月10日

コロナ禍の「巣ごもり」は睡眠の質を低下させる【精神科医が解説】

こちらの記事の監修医師
桜並木心療医院
遠山 高史

(※画像はイメージです/PIXTA)

新型コロナウイルスは重症の肺炎などの被害をもたらしただけではないようです。人々の生活習慣を大きく変え、運動不足に陥らせたことが、悪影響を与えつつあるようです。いったい何が起きているのでしょうか。精神科医が解説します。

突然抑えられない怒りにかられるように

コロナがもたらしたものは、重症の肺炎や経済的な問題にとどまらない。人の生活習慣を大きく変え運動不足に陥らせたことが、ゆっくりと、毒のように働くかもしれない。

40歳のSEのA氏は些細なことで、突然抑えられない怒りにかられるようになった。

そもそも最近、よく眠れない。

ここ2年、コロナのおかげで、リモートワークで仕事をしているが、もともと、遅くまで会社にいて、日曜日も出勤などしていた仕事人間である。しかも酒もたばこもやらず、おとなしく、無口で、リモート以前から家での存在感は少なかった。

ある時、学校から帰宅したとたん、ゲームを始めた中学一年の一人息子に、玄関に転がしてあったカバンを片づけるように言ったところ「うるせい」と、父親を見もしないでいった。それが父親に対する態度かと、無性に怒りがこみ上げ、息子に襲いかかり、首を絞めた。

妻が止めにいらねば、死なないまでも、気絶したかもしれない。以後、妻と子はA氏と口も利かず家庭内別居となった。

筋肉運動を最小限な便利すぎる生活環境

夢のなかで、A氏はホームから人を突き落としていた。それにしても夢ばかり見るし、寝つきも良くない。

A氏は週に一度出社するが、会社には社員数だけの席はなく、事務所も狭くなった。そもそも、ほかの社員もリモートワークで、会社には数名いるだけで、必要な情報交換のみでさっさと帰宅する。人との緊張はないが、どこかわびしく無視されているような不安にもおそわれる。

そんな時、A氏は、自覚はしていなかったが、電車のなかで乗客が妙に憎々しげにみえていた。乗客のちょっとしたしぐさに妙な苛立ちを感じ、肩でも触れたものなら、ホームから突き落としたくなる衝動がよぎった。家に帰っても、以前よりも、より不機嫌になっていたA氏に家族も距離を置き始めていた。A氏は人を心の底では求めつつ、人と交わることに不安を感じ始めていたのかもしれない。

A氏は都心のすべて自動化したマンションの13階にすんでいる。そこはこまめな筋肉運動を最小限にする便利すぎる恒常的環境が用意されている。しかし、自律神経の機能にはあまりに恒常的環境への適応は想定されていない。そもそも、生命は流動的な環境において、筋肉によって動的平衡保つことで維持されているが、自律神経はその機能のサポートのためにあり、脳とは独立して機能している。

絶えず変化する環境に交感神経と副交感神経をうまく使い分けて、外界と身体機能を調和させるシステムである。空調などに代表される、環境の調和が機械などで強制的に行われると、自律神経はさぼりだす。要するに流れに竿さす機能で、あまり変化のない環境では、やることがないのだ。すなわち自律神経の機能を活性化し、変化に迅速に対応できる能力の維持には、時々一定の刺激が必要で、その代表的なものが筋肉運動である。

日中の筋肉運動が脳の情報処理能力を高める

インドアのスポーツはあまり睡眠には貢献しない。

A氏はスポーツジムに通っていたが、睡眠の質は悪くなっていた。本当に必要な運動はスポーツではないのかもしれない。

自律神経システムは脳に匹敵する神経細胞数を保有し、身体のほとんどのことに関与しているが、重大な機能の一つが、睡眠の安定化である。自律神経の機能が落ちると睡眠の質がわるくなる。寝ているときに脳は不要な情報を削除する。眠らないと、脳は削除できなかった情報に振り回され、状況判断を誤らせ、些細なことに過剰な反応をし、不安を喚起し、苛立ちやすくなる。

ただ、睡眠中の脳の情報処理をサポートするためには、日中のこまめなリアルな運動が重要である。たとえば、片づけたり、物を作ったり、世話をしたり、これらすべては、スポーツとは異なり、状況を変化させ筋肉の運動に基づく新しい体験を生み出す。リアルな体験、つまり筋肉運動が脳の情報処理能力を高める。

太陽の光に当たり運動することが大事

夜型は睡眠のリズムが安定しなくなり、世界から51分づつ遅れをとる。

人を全く外の光の当たらないとこで生活させると、一日が25時間ぐらいになってくる。これは、月のリズムに近い。月の一日は24時間51分で、主として引力の変化によって人体に影響する。太陽の引力は強すぎて、通り過ぎてしまうので、リズムは、もっぱら、夜と昼といった光の変化でしめされる。

引きこもって光に当たらない生活は、月の引力のリズムに引きずられやすい。地上の生き物は大昔より、この51分のずれを、朝の光と共に巻き戻して24時間の生活を営んできたのだが、先ごろの引きこもり人生は補正を怠り、いわば、夜行性の生活になりつつある。

しかし、世の中や人の自律神経やそれ従った睡眠はまだ24時間のリズムを基本としている。すなわち、太陽に当たることは、特に朝日のもとで筋肉を動かすことが、世の中と身体の調和に役立っているのだ。

まとめ

質の良い睡眠には太陽のリズムに沿ったアウトドアでの筋肉運動が有効である。筋肉を動かすと少なくとも20種類以上のマイオカインという物質が放出される。この物質には、脳の成長を促すものや、免疫力をアップさせるもの、そして、睡眠の質を上げるものなど、重要な働きをするものが多く含まれている。

スポーツより、日常のこまめな運動が、筋活の基本である。自律神経の働きはオーケストラの奏でる音楽に似て、身体機能の調和はリズムによってもたらされる。コロナの本当の狙いは身体のリズムを崩し人類を弱らせるところかもしれない。

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こちらの記事の監修医師

桜並木心療医院

遠山 高史

精神臨床医
精神臨床医歴45年。新潟県出身。自治体病院長を経て、東京近郊で心療内科を開業。第12回千葉文学賞受賞、時々農民をやっている。

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