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最終更新日:2022年7月30日

妊娠糖尿病の患者が急増中!どんな人が妊娠糖尿病になりやすいのか?

こちらの記事の監修医師

佐藤 文彦

(※画像はイメージです/PIXTA)

「妊娠中に血糖値が高いと言われてしまった」「出産してもなかなか血糖値が下がらない」といった悩みを持つママも少なくありません。血糖値が高いとお腹の赤ちゃんにも影響が出ると指摘されています。ここでは妊娠糖尿病になりやすい人の特徴や、対策を紹介します。

「糖尿病合併妊娠」「妊娠糖尿病」って?

誰でも妊娠となれば、何かと不安に思うことはたくさんあります。そんな中で突然、「妊娠糖尿病ですね」と医師に診断されたら、あなたならどうしますか?

実は、最近は高齢出産等の要因に伴って、全国的に「妊娠糖尿病」と診断される妊婦さんが増えています。ただ、きちんと産科へ通院することに加え、糖尿病専門外来にも通院することで、母児ともに、無事に出産を終える方が多いのも事実です。

このため、「妊娠糖尿病」についても、正しい知識を持って、それぞれの専門の先生の診察を受けることで、安心して出産に臨むことができます。

欧米人に比べ、日本人はインスリン分泌予備能が少なく、軽度のインスリン抵抗性が生じた程度でも、糖代謝異常を呈しやすいことが知られています。そこに、欧米化した食生活や肥満が加わり、我が国においても糖尿病患者数が飛躍的に増加しました。

そして、この糖尿病が妊娠する前からあると、母体にも胎児にも大きなリスクをもたらす可能性があります。

例えば、受胎や妊娠初期の胎芽形成期に、血糖コントロールが不良の糖尿病を有する母体の場合、流産や児の形態異常のリスクが増加します。また、母体においては、妊娠高血圧症候群や羊水過多症、巨大時による難産などが認められます。

一方で、「今まで糖尿病と言われたことがないにもかかわらず、妊娠中に始めて指摘された糖代謝異常で、糖尿病の診断基準をみたさない人」を妊娠糖尿病といいます。具体的には糖負荷試験を行った際に、空腹時血糖92mg/dL以上、1時間値180mg/dL以上、2時間値153mg/dL以上のいずれか1点以上を満たした場合に診断されます。

しかしながら、妊娠時に診断された糖代謝異常でも、空腹時血糖126mg/dL以上、HbA1c6.5%以上、随時もしくは糖負荷試験2時間値が200mg/dL以上、糖尿病網膜症の存在が認められるものは、糖尿病合併妊娠と診断されます。

全妊婦の12.08%に妊娠糖尿病があることがいわれており、これに既存の糖尿病と糖尿病合併妊娠を加えると約15%の妊婦が耐糖能異常と診断されます。

どんな人が、妊娠糖尿病になりやすいのか?

もちろん、2型糖尿病のリスクとなる、過食・肥満・運動不足といった生活習慣の乱れがあることがリスクになり得ます。それ以外にも、アジア人の特徴の一つである、遺伝的に膵β細胞機能が低下している人、すなわち糖尿病の家族歴がある女性に起こりやすいことが知られています。特に、両親(ともに約3倍)・姉妹(約7倍)といった近親者に糖尿病がある場合はハイリスクといえます。

また、高齢出産や多胎妊娠、多嚢胞性卵巣症候群、そして妊娠糖尿病の既往を持っている女性なども妊娠糖尿病のリスクとなります。このため、必ずしも太っていないからと言って、妊娠糖尿病とは無縁とは言えないのが、日本人の特徴です。

そして、そもそも妊娠中は生理的にインスリン抵抗性が上昇します。妊娠前に耐糖能が正常だった女性でも、妊娠週数が進むにつれてインスリン感受性が60%程度低下することが分かっています。この原因として、脂肪量の増加と、ホルモン動態といった2つが大きな要因であるのが特徴的です。妊娠すると、痩せた妊婦でも脂肪量が当然増加します。

これは、産後の授乳や妊娠中の飢餓などに備えて妊娠初期にエネルギーの貯蔵が始まるためと考えられています。そして、妊娠により、プロゲステロンといった女性ホルモンに加え、胎盤由来の様々なホルモンが増加します。そして、これらのホルモンは概してインスリン抵抗性を高める特徴がありますが、血糖値にどの程度影響するのかは、人それぞれでかなり異なっています。

妊娠中の血糖管理目標はどう設定すればよいのか?

妊娠中の血糖管理を厳格に管理する目的は、何といっても母児を健全に守るためです。特に、巨大児や形態異常の発生を防ぐことに繋がります。したがって、食事療法と運動療法で可能な限り、健常妊婦の血糖日内変動に近づけることを目標にします。それでもなお、目標を達成しない場合は、インスリン治療を行います。

インスリンは膵臓のβ細胞で作られている、体の中で唯一血糖値を下げる作用を持っているホルモンです。このため、元々体内にあるものを外から補うので、妊婦さんにも安全に使用することができるのです。一方で、基本的にすべての経口血糖降下薬は妊婦には使用できません。

「糖尿病診療ガイドライン2019」では、妊娠中の血糖管理目標として、空腹時血糖95mg/dL以下、食後1時間140mg/dL以下、食後2時間120mg/dL以下を目標にしています。以上の血糖値を目標として、インスリン治療が行われますが、具体的な方法については、糖尿病専門医の外来で丁寧に指導を行ってくれます。

出産後の妊娠糖尿病について

無事に出産が終わると、母体は劇的にインスリン抵抗性が減弱します。これにより、インスリン必要量は急速に減少するため、原則として、分娩後ただちにインスリン療法は中止となります。

しかしながら、注意しなければならないことは、妊娠糖尿病を認めた場合、将来的な2型糖尿病の発症リスクが、妊娠糖尿病を認めなかった人に比べ7.43倍高いと報告されています。このため、まずは産後1カ月健診などに合わせて、75ℊ糖負荷試験という、糖尿病診断に用いられる検査を行って、正常耐糖能に戻っているか否かを確認する必要があります。

また、たとえ正常耐糖能に戻っていたとしても、将来的に太ってしまうと、先述のように糖尿病発症リスクが高まるため、年に1回の健診等にて、体重・BMIと血糖値・HbA1c値を随時チェックしていきましょう。

以上のように、妊娠糖尿病になったとしても、正しく治療を行っていけば、母児共に安全に出産し終えることができ、さらに出産後も生活習慣に気を配り続ければ、将来的に糖尿病発症も防ぐことができます。

妊娠中は様々に不安なことがあると思いますが、過剰に自分だけで心配するのではなく、まずはかかりつけの医師や看護師さん達としっかりコミュニケーションを取りながら、必要であれば、専門の医療機関に紹介してもらうなどして、安心して出産に臨んでもらえればと思います。

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こちらの記事の監修医師

佐藤 文彦

Basical Health株式会社 代表
日本糖尿病学会専門医・研修指導医、日本肥満学会専門医、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医などの資格をもつ内科医・産業医。

1998年順天堂大学医学部卒業後、順天堂大学 代謝内分泌学 助教などを経て、2012年41歳の若さで順天堂大学附属静岡病院 糖尿病・内分泌内科 科長(兼 准教授)に就任。同院で、「地方病院の医局員たちの残業の多さを何とか改善できないか」と考え、「医師の働き方改革」に着手。コーチングの手法を活用し、現場の要望を聴き出し、それを反映させた組織開発を独自で行う。3年目には医局員全員が定時に帰宅できる体制を作りあげる。その後、日本IBM株式会社で専属産業医を2年弱務めた後、2018年に独立。現在、健康保険組合やその関連企業での健康増進・予防医療などのコンサルタント業務を行いながら、糖尿病の外来診療、嘱託産業医としても活動する。今年度より、厚生労働省医政局委託事業「医療従事者勤務環境改善のための助言及び調査業務」委員会の委員に就任するなど、日本中の医師が安定的に働き続けられる環境作りに取り掛かっている。趣味は音楽。高校3年生時には、全日本吹奏楽コンクール(普門館)にて金賞受賞。担当楽器はチューバ。

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