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最終更新日:2023年1月13日

がん治療の常識を変える「NKT細胞標的治療」とは

こちらの記事の監修医師
伊東くりにっく
伊東 信久

近年、免疫療法が新たな局面を迎えています。免疫チェックポイント阻害剤をはじめとする免疫療法が次々と登場し、有力な選択肢として期待が高まりつつあるのです。 なかでも注目され始めているのが、理研免疫再生医学(理化学研究所発のベンチャー企業)によって研究・開発された「NKT細胞標的治療」です。

本記事では、この新しい免疫療法である「NKT細胞標的治療」がいかに有効であるかをエビデンスに基づいて解説していきます。

活性化NKT細胞による「NKT細胞標的治療」

免疫療法のなかで注目されているのが、活性化させたNKT細胞による「NKT細胞標的治療」です。 NKT細胞自体は、体外に取り出して増やしても、ほかの免疫療法と同様に寿命があり、死んでしまいます。そこで、T細胞の性質を利用して、樹状細胞による抗原提示で活性化させる仕組みによって「免疫記憶」を獲得するのがこの治療の特徴です。 

優れた潜在能力をもちながらも′′眠れる獅子"の状態にある「NKT細胞」は、糖脂質の「アルファ・ガラクトシルセラミド」(α -GalCer)という物質が、眠っているNKT細胞の受容体(TCRというアンテナ)に結合すると、眠りから覚めます。 

がん患者の体内から樹状細胞の赤ちゃんである単球を取り出し、体外で成熟させてアルファ・ガラクトシルセラミドを徹底的に覚えさせ、抗原提示できる状態にして患者の体内に戻します。これによって樹状細胞が抗原提示したアルファ・ガラクトシルセラミドにNKT細胞が結合して覚醒し、眠っていた本来の能力を発揮してがん細胞に向けて自ら先頭を切って戦うようになります。これが「NKT細胞標的治療」です。 

NKT細胞標的治療の流れは?

治療はまず、必要な成分を分離する採血「アフェレーシス」 を行うことから始まります。患者さんはベッドに横になった状態で、静脈から採取した血液を専用の機械で循環させます。全身の血液を遠心分離機に4〜5時間かけて白血球の中から単球を分離させ、特定の成分だけを保存します。

その後、細胞調整センターで、届いた単球を加工して成熟した樹状細胞に アルファ・ガラクトシルセラミドを結合させ、患者オリジナルのNKT細胞を覚醒させる鍵となる樹状細胞を作ります。

医療機関に戻ってきた樹状細胞を点滴でゆっくりと患者さんの体内に投与 していきます。患者さん自身の細胞を使って加工しているので安全性は高く、日帰り治療のため負担が少ないこともメリットといえます。
  
2回目以降の投与は、効果を確認しながら患者さんの状態を見て時期を調整して行い、効き目は体内で8〜9カ月持続し、保存期間も冷凍状態で約1年は有効とされています。

臨床試験で2倍以上の延命に成功した「NKT細胞標的治療」

NKT細胞標的治療の臨床試験で最初に対象となったのは、進行・再発した非小細胞肺がんの患者17人でした。

 肺がんは世界的にも患者数が多く、初期の段階で発見されれば手術によって切除することも可能です。しかし、再発や進行して手術ができなくなった場合は、完治を望める有効な治療法がありません。実際に、非小細胞肺がんにおける標準治療が終わったあとの生存期間は、中央値で8カ月あまりと著しく短いのが現状です。

こうしたなか、千葉大学で実施された17例の臨床試験の結果、平均生存率は 17.2カ月と、推奨されている治療の2倍以上の延命に成功したのです。 
また、 17例のうち10例ではNKT細胞が活性化している(アジュバント作 用)ことを示すIFN‐γ(インターフェロン・ガンマというサイトカイン)の分泌が顕著に見られたことも分かりました。これにより 例の延命効果は31.2カ月と、標準治療の約4倍にも迫る数値を示していました。  

その後、頭頸部がん、術後肺がんなど、違うがん種での研究も行われ、進行肺がんと同じように有効性を示す結果が得られています。  

実際にNKT細胞標的治療を受けた患者の症例

[症例1]喉頭がん・ステージIII(65歳・男性)

Tさんはある日喀血し、すぐに近隣の病院を受診し精密検査を受けた結果、喉頭がんでステージIIIという診断が下されました。医師からは、喉頭を全部摘出する手術と化学放射線治療についての説明を受けましたが、声を失ってしまうため、手術は避けて化学放射線治療を受けることにしました。  

しかし、抗がん剤でがんが縮小することはなく、手術を迫られることに。どうしても受け入れることができなく、他の治療法を求めてたどり着いたのがNKT細胞標的治療でした。

医師に相談し、NKT細胞標的治療を病院での放射線治療と併用して行うことになりました。週1回の投与となり、次回までの間に病院で放射線治療を受けていました。NKT細胞標的治療によって免疫力が高まっているこ ともあり、放射線治療の副作用に悩まされることなく順調に進みました。

そして、NKT細胞標的治療と放射線治療の併用治療が無事に終わり、病院で喉頭鏡 (喉頭を見る内視鏡)による検査をし、病巣部を確認すると、がんは消失していたのです。Tさん自身も喉の違和感がなくなり、普通に食事も摂れています。なにより声を出せる ことに喜んでいました。

[症例2]スキルス胃がん・腹膜播種・ステージIV (42歳・女性)

胃痛を訴えて近所の消化器専門のクリニックを受診したTさんは内視鏡検査で胃がんが見つかりました。がん専門施設で手術を受け開腹すると腹膜播種が見られ、スキルス胃がんでステージIVであることが判明したのです。 

がん剤治療を2クール行ったあと、再び手術を受けて胃を3分の1ほど切除しましたが、膜播種がなくなっていたわけではなく、原発巣を切除しなければ進行してしまいます。手術後は3クール目の抗がん剤治療を行う予定でしたが、副作用が強く体力的にも精神的にも限界にきていました。

そんなとき、NKT細胞標的治療と出会い治療することになりました。 しかし、NKT細胞標的治療を行った1回目に39.6度の高熱と頭痛が起こったのです。解熱剤を投与するとすぐに治まり、2回目以降は発熱も頭痛も現れることはありませんでした。これは免疫が活性化したことで起こった反応と思われます。

すると4回目の投与が終わって1週間ほど経ったとき、胃がんの腫瘍マーカーであるCA ‐9の数値が、治療前の200から67にまで下がっていたの です。そして、経過観察から1年以上が経ちますが、再発も転移も見られず、元気に過ごしていると聞き及んでいます。 

[症例3]乳がん・肝臓と腋窩リンパ節および皮膚転移・ステージIV (35歳・女性)

左の胸にしこりを感じたAさんは、近所の婦人科を受診し乳がんの疑いがあるといわれ、精密検査を行って乳がんと診断されました。その時点でステージIIIでしたので当然、担当医は手術を勧めました。 

しかし、 結婚前だったことから手術も抗がん剤治療も拒んだAさんは、事もあろうに気功で治そうとしたのです。その結果、1年後にはがんが小さくなるどころかステージIVまで進行してしまい、肝臓に転移し、腋窩リンパ節が腫れているのが分かりました。  

それでも手術や抗がん剤治療を拒んだため、大学病院ではホルモン療法を行いました。 しかし、思うような効果が得られなかったことで、Aさんは別の治療法を自ら探し、見つけたのがNKT細胞標的治療でした。 

早速NKT細胞標的治療を行ったところ、1回目の投与から効果が現れ始めたのです。実は、皮膚転移もあって胸にカサブタができていたのですが、その一部が取れて治りかけていました。2回目にはリンパ節の腫れが引き、3回目には硬かった乳房が柔らかくなっていました。4回目が終わった段階では、初診からだいぶ良い状態になっていました。

その後の検査で肝臓やリンパ節の病巣が小さくなっていたり、腫瘍マーカーの数値も下がり、手術すれば治る可能性があると勧めましたが、彼女は、結婚を考えていた男性がいたので、その先に訪れるであろう妊娠・出産・授乳のために手術や抗がん剤治療は拒み続けました。
 
NKT細胞標的治療を行いながら血管内塞栓療法も続け、当初の状態からするとかなりがんは小さくなり、白血球数も下がりました。ステージIVで多臓器に転移も見られる状態から、手術をせずにここまで改善したのはすばらしいことです。 

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こちらの記事の監修医師

伊東くりにっく

伊東 信久

医師。大阪大学国際医工情報センター招聘教授。 神戸大学医学部卒業後、大阪市立大学大学院医学研究科に入学。修 了後、大阪市立大学医学部形成外科を経て、麻酔科、脳神経外科、 整形外科など多岐にわたる医療現場で活躍する。「腰痛の悩みを抱え る患者が、原因や病名を正しく認知し適切な治療に臨めるように」 と椎間板ヘルニアをレーザーで治療する PLDD(経皮的レーザー椎 間板減圧術)専門クリニックの開院やがんの最先端治療の一つであ る NKT 細胞がん治療にいち早く着目するなど、「人生 120 年時代」 を見据えた最前線の医療の提供に尽力する。主な著書『椎間板ヘル ニア治療のウソ・ホント』など多数。

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