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最終更新日:2022年9月28日

「ほくろ」みたいにみえる皮膚がん…注意すべき点と見分け方

こちらの記事の監修医師

永井 弥生

(写真=PIXTA)

色が黒く、一見ほくろに見えてしまう皮膚がんがあります。いわゆる「ほくろのがん」のことです。皮膚の悪性腫瘍の中でも特に悪性度が高く、進行すると内蔵転移を生じて手遅れになってしまうことがあります。どのように注意したらいいのでしょうか。専門医が分かりやすく解説します。

ほくろみたいに見える皮膚がん、実はこわい悪性黒色腫

「ほくろのがん」、聞いたことがある方も多いかもしれません。実は、ほくろががんになるということではなく、「ほくろみたいに見えるがん」、「ほくろだと思っていたら実は皮膚がんだった」、というのが正しい表現になります。

ホクロだと思って切除したら病理検査でがんだとわかったのなら、すぐに必要な治療に進めますが、レーザー治療したらあとになって他の場所に転移して初めてわかった、という事態も起こりうるのが「ほくろのがん」なのです。

もう一度「ほくろ」という表現を解説しておきます。「ほくろ」というのはいわゆる「俗称」です。ニキビ、みずむし、とびひ、イボ、タコなど、皮膚の病気には親しまれている呼び名(俗称)がたくさんあります。本当の病名は難しいものが多いのです。

本当の「ほくろ」の正式な病名は「色素性母斑」といいます。しかし、「ほくろ」だと思っていても、実際には違う種類のできもの、ということもあるのです。多くは良性腫瘍ですが、中には皮膚がんの中でも一番こわい、悪性黒色腫(マリグナント・メラノーマ 通称メラノーマ)というものも混じっていることがあるのです。

なぜこわいかというと、他のがんに比べて小さくても進行してしまうことがあり、気づいたときには進行していて、命にかかわることがあるからです。

悪性黒色腫(メラノーマ)という皮膚がん

メラノーマは他のがんと同じように50歳以上の方に多くみられますが、若い方でもできることがあります。男女差はありません。

メラノーマは皮膚の表皮にある「メラノサイト」という細胞が悪性化して発生します。この悪性化したがん細胞が表皮の中にあるうちはまだ早期ですが、真皮に落ちてしまうと進行が速いのです。がん細胞が進んだ深さが予後に重要で、1mm単位の違いで進行度や予後が違ってくるのです。

メラノーマには4つのタイプがあります。

・末端黒子型:足のうらに多いタイプです。「足のうらのほくろは危ないんですよね」と言って病院にいらっしゃる方も多いです。
・悪性黒子型:高齢の方の顔面に多いタイプです。若い頃たくさん日光にあたった影響があるとされています。
・表在拡大型:平らに広がっていくタイプで体幹に多く生じます。
・結節型:表面に飛び出した結節で、身体のどこにでもできます。

爪や粘膜にもできることがあります。

黒いまだらなシミ、ある程度大きいと疑いますが、小さいものではほくろのようにしかみえないこともあります。

ほくろと皮膚がんとの見分け方

どうなったら危ないのですか?と聞かれます。がんであっても痛くもかゆくもありません。「こうなったら危ないですよ」と言い切れるものではありませんが、ひとつの目安になるのがABCDEと呼ばれる兆候です。

•Asymmetry(不整形): 形がいびつで左右非対称
•Border(境界):輪郭が不鮮明で境界が不明瞭
•Color(色):黒や茶色が混ざり色調が不均一
•Diameter(大きさ):直径6mm以上
•Evolving(拡大傾向):拡大し、色・形・症状が変化

見た目でも強く疑われることもありますが、専門医はダーモスコピーという皮膚専用の拡大カメラのようなもので観察します。これを使って、がんが疑われるか、まず普通のほくろでよいか、ある程度の判断はできます。

もちろん絶対ではないので、少しでも疑わしいい場合には切除して病理組織診断が必要です。ただし、メラノーマだった場合には早くに次の治療へ進みたいので、そういった治療ができる大きな病院での診療が望ましいです。

▶足の裏のほくろはあぶない?

実はほくろ(色素性母斑)にも種類があり、足の裏にできるほくろは皮膚の表皮と真皮の境界部に母斑細胞が集まるタイプです。メラノーマの初期も同じ部位に悪性化した細胞が出現します。そのため、どちらも黒い平らなシミのように見え、小さなものでは見分けがつきにくいのです。末端黒子型というタイプは足のうらにできるもので、比較的頻度が高いということもあります。

ダーモスコピーの所見は有用ですが、確定診断には切除して病理組織学的な確認が必要です。突然出現した、ちょっと色が濃いかも、といった「ほくろ?」に気づいたら受診しましょう。

▶黒いできものはいろいろ

悪性ではない黒いできものもいろいろあります。代表的なのは、顔のシミ(老人性色素斑)、老人性のイボ(脂漏性角化症)、普通のホクロ(色素性母斑)などです。

鑑別が必要な皮膚ガンとして「基底細胞がん」というのもあります。これは顔面によくできるもので、がんではありますが、メラノーマのように他に転移することはありません。

悪性黒色腫(メラノーマ)の治療

どんながんでも早くみつけて早く治療できるほうがよいに決まっています。早期であれば完全に治癒させることは十分可能です。診療ガイドラインがありますので、それを基本として、がんの進行具合によって治療方針を決めていきます。

切除だけでよいのか、リンパ節までとる手術をしたほうがよいのか、抗がん剤や免疫チェックポイント阻害薬(話題のオブジーボなど)等々、状態によって選択します。

様々な有効な治療の選択肢が増えて進化していますが、他の臓器に転移してしまうと命に関わることはあります。小さなものでも進んでしまうことがあるのがメラノーマのこわいところです。

レーザーで簡単にほくろ取り、が危険なことも

ほくろだと思ってレーザーで治療をした、レーザー治療では病理組織の確認ができません。1年後にその周囲にしこりが出現、肝臓と肺にも転移していた、その「ほくろ」はメラノーマだった、とはじめてわかる、ということもあるのです。安易な治療は危険です。

ほくろみたいに見えるがん、メラノーマの早期診断は難しいことがあります。見えるところにあるのに、長い間気づかないで進行してしまっては残念です。

全身を気にして見て、気になるできものがあったら、積極的に皮膚科専門医を受診しましょう。

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こちらの記事の監修医師

永井 弥生

オフィス風の道 代表
皮膚科医・産業医・医療コンフリクトマネージャー・医学博・
山形大学医学部卒業。群馬大学病院にて皮膚科准教授として勤務するとともに医療コンフリクトマネジメントの第一人者として活動。2014年、同院の医療安全管理部長となり腹腔鏡下肝切除術の医療事故を指摘、その後の対応にあたった。 2018年、オフィス風の道設立。皮膚科診療に加え、医療コンフリクトに関する講演・研修、嘱託産業医として様々な業種20社を担当するなど活動を広げている。著書に『褥瘡がみえる』(南江堂)、『これからの医療 〜5つの「患者力」があなたと医療を守る』(ごま書房新社)などがある。
風の道HP
https://kazeno-michi.com

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