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最終更新日:2022年1月29日

「眠り」のお悩みにお風呂を活用する方法【お風呂研究20年、3万人を調査した医師が解説】

こちらの記事の監修医師
東京都市大学
早坂 信哉(はやさかしんや)

 

 

(画像=※写真はイメージです/PIXTA)

新型コロナ感染拡大によって日常生活だけではなく、リモートワークなど働き方にも大きな変化がおき、多くの人が日々ストレスを感じながら生活するようになりました。「寝つきが悪くなった」「途中で目が覚めやすくなった」など眠りに関する悩みが増えてきたといいます。どうやって眠りの質を上げたらいいのでしょうか。お風呂研究20年、3万人を調査した医師が冬場の入浴で気をつけるポイントを解説します。

目次

  1. 日本人の多くが悩む眠りの問題とは
  2. こんな症状は?寒い夜は寝つきが悪くなる
  3. 寝つきの悪さにはお風呂が効果的な理由
    1. <湯温と入浴時間>
    2. <入浴のタイミング>
    3. <入浴剤を使ってみる>
    4. <シャワー派の人は湯船につかってみる>

日本人の多くが悩む眠りの問題とは

実際に診療の場でも、特にコロナになってから寝る直前までリモートワークをしている人が多くなったためか、寝つきが悪くなった、眠りが浅い、という眠りに関するお悩みをたびたび聞くようになりました。

眠りの悩みは実際に日本人で多く見られ、2019年の厚生労働省の調査によると、日本人成人の約20~30%が「途中で目が覚める」「睡眠の質に満足できない」「日中、眠気を感じる」といった不眠に関する症状を感じています。このように多くの方が眠りに関する悩みを抱えており、不眠は日本人の国民病とも呼ばれていますが、特に寒い時期にはよく聞く悩み事の1つです。 

こんな症状は?寒い夜は寝つきが悪くなる

寒い季節は寝つきが悪くなるという症状をよく耳にします。特に手足が冷えて眠れないという話はよく聞きます。

その原因と対処法でポイントになるのが「深部体温」と「自律神経」です。

深部体温は脳や内臓などの体の深い部分の温度で、日常、皮膚表面から体温計で測る普段の体温より高めになっており、37℃前後を保っています。この深部体温はもともと1日の中で上下するサーカディアンリズムと呼ばれる日内変動があり、朝から徐々に上昇し、夕方頃に最も高くなります。

その後夜にかけて低下し、明け方最も低くなります。夜は、手足など末端部分の皮膚からの熱の放散によって深部体温が急激に低下しますが、この深部体温の低下が眠気を誘発し、眠りに入るといわれています。

寒い時期に体、特に手足の末端が冷えていると、手足などの血流が悪くなるため皮膚からの熱の放散が上手にされなくなり、深部体温の低下が緩やかになるため寝つきが悪くなってしまうのです。そのためお風呂に入って手足の血流を改善して熱の放散を促すことが解決法の1つです。

さらに、寒いと自律神経のうちの交感神経にスイッチが入ります。交感神経は自律神経の1つで心身を興奮や緊張状態にする神経で、気分が高ぶって眠れなくなる原因の1つです。睡眠にはリラックス・休息の自律神経である副交感神経のスイッチを入れることが大切ですが、お風呂を上手に使うことでスイッチを入れることが可能になります。

寝つきの悪さにはお風呂が効果的な理由

睡眠を改善する入浴のコツは、湯温と入浴時間、入浴のタイミングを意識することです。

<湯温と入浴時間>

湯温は交感神経を刺激しない温度、かつ体温をある程度上げることのできる温度ということで、40℃をお勧めします。これ以上熱いと交感神経が刺激されてしまい、またこれより低いと十分に体温が上がりません。お湯につかる時間はのべ10~15分で健康に問題がなければ肩までつかる全身浴がお勧めです。

この入浴法で深部体温がおおむね0.5℃程度上昇します。もし、息苦しさを感じる場合や、心臓、呼吸器に問題がある場合はみぞおちまでの半身浴にします。また医師から入浴を制限されている場合はその指示に従ってください。

<入浴のタイミング>

逆算して眠りたい1時間半前に入浴を完了するようにします。お風呂から出ると一旦上昇した体温が約1時間半後に急速に下がってきますが、このタイミングでお布団に入ると寝つきも、睡眠の質もよくなります。

一方、NGなのは、寝る直前に入浴することです。よく温泉などで「せっかくだから寝る前にも入浴して体をしっかり温めておこう」などと言って寝る直前に入浴してしまうことがありますが、逆に体がほてって眠れなくなります。

<入浴剤を使ってみる>

普段、湯船につかっている人でも、あまり睡眠改善効果を感じられない場合、入浴剤の利用をお勧めします。入浴剤は単に色や香りをつけるだけではなく、入浴の温熱作用を高めることが複数の研究で報告されています。

特にお勧めなのは、温泉成分である硫酸ナトリウムや硫酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウムなどが配合されている無機塩類系や泡が出る炭酸系がお勧めです。無機塩類系は、従来からある粉末の比較的安価な入浴剤でドラッグストアなどどこでも手に入ります。いずれもお風呂の温熱作用を高めるため、体温が早く上昇し、しっかり体が温まりますし、血流を改善します。

<シャワー派の人は湯船につかってみる>

そもそも普段湯船に浸からないシャワー派の方もいらっしゃるでしょう。特に若い方は毎日湯船につかるのはわずか4人に1人という報告もあります。シャワー派の方で不眠に悩む人は、まずは前述のような入浴法で湯船につかってみましょう。私の研究チームが以前静岡県で大規模調査をしたところ、毎日湯船につかっている人では、湯船に浸からない人に比べて良い睡眠が取れている人の割合多かったという結果でした。

シャワーしかできないという方は、足湯も使ったハイブリッドシャワー浴がお勧めです。湯船にくるぶしが浸る程度のお湯を張り、足湯をしながらシャワーを浴びます。足湯は睡眠を改善するという研究もありますが、足先の血管が拡張して体もよく温まるので、シャワーだけより良い睡眠が取れると期待できます。

眠りのお悩みには、まずは自宅で簡単にできるセルフケアとしてお風呂を見直してみてはいかがでしょうか。

 

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こちらの記事の監修医師

東京都市大学

早坂 信哉(はやさかしんや)

東京都市大学人間科学部学部長・教授
博士(医学)、温泉療法専門医。
高齢者医療の経験から入浴の重要性に気づき20年にわたり3万人以上の入浴を調査した入浴や温泉に関する医学的研究の第一人者。「世界一受けたい授業」などのテレビ出演、執筆や講演など多方面で活躍中。著書「おうち時間を快適に過ごす 入浴は究極の疲労回復術」(山と溪谷社)など。

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