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最終更新日:2022年1月28日

37.5℃以上が「発熱」?…意外と知らない「熱」のギモン【総合診療医が解説】

こちらの記事の監修医師
国際医療福祉大学成田病院 総合診療科
梶 有貴(かじ ゆうき)

 

 

(※写真はイメージです/PIXTA)

新型コロナウイルス感染症の流行によって、街中でも検温する機会が増え、みなさんもかつてないほどに「熱」について意識するようになったのではないでしょうか。実は、最も身近な症状である「熱」ですが、意外と正確な知識は知られていません。ここではいったい熱とは何なのか、そして熱に関するいくつかの疑問について総合診療医が解説します。

目次

  1. そもそも「熱」とは何ですか?
  2. 正常な体温ってどのくらいなの?
  3. 熱の原因を正しく突き止めてもらうためのコツとは?
  4. 解熱剤って飲んだ方がいいの?

そもそも「熱」とは何ですか?

人間の体温は、いくつかのメカニズムが絡み合い、常に一定の温度の範囲内になるように調節されています。その調整している司令塔が、脳にある視床下部になります。非常に簡単に説明すると、皮膚や血管にある温度のセンサーが反応して外気の暑さや寒さを感じると、その情報を視床下部に伝え、寒いときには筋肉に震えて体を温めるように、暑いときには汗腺や血管などに働きかけて体を冷やすように命令を出しています。

ここにウイルスや細菌など体にとって異物が侵入してくると、この視床下部が反応して体温を上げるように調節しようとします。これは体の免疫を強くし、異物と戦うためのよい環境を整えるための反応と考えられているのですが、この反応こそ私たちが「熱(Fever)」と呼んでいる現象になります。  

正常な体温ってどのくらいなの?

みなさん、人間の正常な体温は何度というイメージをお持ちでしょうか。37℃以上ならば異常でしょうか。それとも38℃以上でしょうか。実はあまり深く考えたことはなかったかもしれませんね。

参考となるのが感染症法という法律の中の定義で、ここでは37.5℃以上を「発熱」、38.0℃以上を「高熱」としています。しかし、残念ながらこれには医学的な根拠はありません。なぜなら、体温の正常値は非常に個人差が大きいからです。これまで熱の個人差を説明するために、年齢や性別、人種、罹っている病気、妊娠しているかどうか、などさまざまな要因が指摘されてきましたが、そのどれも個人差のほんのわずかな部分しか説明してくれません。それどころか、実は体温は1日の中でさえも大きく異なっており、一般に早朝で最も低くなり、夕方に最も高くなります。

そのため、自分が本当に発熱しているかどうかを知るためには、普段の健康な状態のときの体温をある程度正確に把握しておく必要があります(この体温のことを平熱といいます)。例えば、37℃台前半ぐらいの体温を認めたときが最も判断に迷いますが、平熱が高めであればこの体温は正常、平熱が低めの人にとっては異常、と判断することができます。もし自分の平熱がわからないという方は、予め自分の体調が良い日に定期的に体温を複数回測ってみて、把握しておくとよいでしょう。  

熱の原因を正しく突き止めてもらうためのコツとは?

熱の原因として、ウイルスや細菌といった感染症が代表的です。特に新型コロナウイルスの流行下では、熱があればまず新型コロナウイルスを疑って検査を行うことになるでしょう。しかし、実は感染症以外にもがんや膠原病、痛風、甲状腺疾患、薬剤による熱など、その原因は非常に多岐に渡ります。マニアックですが、熱の原因だけで分厚い専門書が書かれているほどです。そのため、正確に熱の原因を突き止めるのは診断に長けた熟練の総合診療医であっても、時として困難を極めます。

総合診療医が熱の原因を正確につきとめるために最も大切にしている手がかり、それは何と言っても患者さんから教えていただく正確な病気の情報になります(この情報を「病歴」といいます)。その病歴の内容を大きな判断材料として、身体診察を行い、採血やレントゲン検査など最適な検査プランを選択してご提案していくことになるので、正確な病歴というは診察する医師にとって一丁目の一番地にあたる非常に重要なものになります。

いま治療している病気や飲んでいる薬の情報、最近の入院や手術の経験といった医療に関する情報はもちろんのこと、最近海外に行ったかどうか、森や川の中に入ったか、最近の性交渉の話といったプライベートな話に至るまで、その全てが熱の原因を突き詰めるための重要な手がかりになります。もし、あなたが熱を出して医療機関に受診した際には、まずはどんなに些細な情報でも構いませんので、医師にできるだけ正確な情報を伝えるようにしてみてください。

解熱剤って飲んだ方がいいの?

最後に、解熱剤のお話をしましょう。熱が出たら、医療機関から解熱剤を処方されることが多いと思います。薬の成分の名前では、イブプロフェン、ロキソプロフェン、アセトアミノフェンといった種類の薬が代表的です。しかし、こういった解熱剤は必ず飲んだ方がよいのでしょうか。

解熱剤が病気の治療に与える効果については、実ははっきりとした統一の見解はありません。発熱が出る病気の最も重症な状態として「敗血症」という病態があり、これに対する解熱剤の効果を調べた研究がこれまで数多くされてきました。しかし、解熱剤を飲んだために敗血症の生存率が上がったという明確な結果は2022年1月現在出ていません。

ただし、このことは解熱剤を飲むことが無駄だということを意味しているのではありません。もし熱による症状が気になるのであれば、解熱剤を飲んでそれを鎮めることは病気の時間をできるだけ快適に過ごすためにも重要、と言えるはずです。ただ、熱による症状が気にならないのであれば無理に飲まないでもよい、とも言えるでしょう。

ちなみにですが、同じ体温が上がる病態として熱中症というものがあります。猛暑の夏ではよく話題に上がりますよね。これは外気温が高くて体温が非常に高くなり、体温を一定に保つメカニズムが失われ、先述の視床下部の調節とは関係なく体温が上昇しています。その区別のため、「熱」とは呼ばず、「高体温症(hyperthermia)」と呼ばれています。解熱剤は視床下部に働きかける薬が中心ですので、熱中症のときに解熱剤を飲んでも実は効果はありませんので注意してください。

以上、総合診療医の視点で熱についての身近な疑問についてまとめました。みなさん自身や身近な人が発熱したときに思い出していただくと、きっと上手な受診ができるのではないでしょうか。

 

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こちらの記事の監修医師

国際医療福祉大学成田病院 総合診療科

梶 有貴(かじ ゆうき)

梶 有貴(かじ ゆうき)
国際医療福祉大学成田病院 総合診療科
筑波大学卒業後、筑波大学水戸地域医療教育センター・水戸協同病院にて総合診療の研鑚を積んだ。2020年より国際医療福祉大学の医学部の附属病院として開院した国際医療福祉大学成田病院で総合診療医として臨床と教育を行っている。

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