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最終更新日:2022年7月11日

サウナが大ブーム!ビギナーがサウナを愉しむための基礎知識

こちらの記事の監修医師
東京都市大学人間科学部学部長・教授
早坂 信哉

(※画像はイメージです/PIXTA)

マンガやドラマのヒットの影響もあり、近年では若者からお年寄りまで、幅広い年齢層の間でサウナが大ブームになっています。 サウナに入ることで健康面でさまざまな効果が期待できる一方で、注意も必要です。お風呂研究20年、3万人を調査した医師がサウナで気を付けるポイントを解説します。

サウナブーム!中高年には注意が必要

サウナの記事を多く目にするようになりました。男女問わず、有名人の方にもサウナ好きがたくさんいて、楽しそうな情報発信をされています。最近は多くの個性的なサウナ施設が続々とオープンしています。日本では、現在市中で良く見るような高温で湿度の低いサウナは1964年の東京オリンピックを契機に日本に広まったと言われています。

サウナの健康効果は様々な研究で確認されています。ストレス解消やよく眠れるようになること、食欲が増す、疲れが取れることなどは体験談としてよく聞く話ですが、医学研究としてはサウナの本場フィンランドの2015年の大規模研究で、週1回のサウナ利用者と比較して週4~7回サウナに入る人は心血管疾患による死亡リスクが半減することなどが報告されています。

これらの健康効果は、体が温められることによって血管が拡張し、血流がよくなるためと考えられています。

サウナで我慢大会は危険な理由

しかし、ブームに乗ってにわかにサウナにトライする場合、正しく使わないとかえって体に悪影響を及ぼすこともあります。特に私のように50代を過ぎると年齢に比例して動脈硬化も進み、また暑さに対する感覚も低下していくことからサウナで無理をすると大きな病気につながることがあります。

例えば、隣の人に負けじと我慢大会のように汗をダラダラと流してサウナに入り続けている人を見かけますが、これは熱中症のリスクがある危険な入り方です。サウナの健康効果は熱い空気によって体が温められ、血管が広がって全身の血流が改善されることですが、サウナに長く入り過ぎたり、サウナそのものが熱すぎたりすると体温が上がりすぎて熱中症の危険があります。

汗が出るということは体が十分温まった、血管が広がって血流がよくなったというサインなので、我慢せずいったんサウナから出るようにしましょう。汗をかくまでの時間はサウナの温度、湿度にもより、個人差もあります。短い場合5分でも十分、ということもありますので、サウナに備えてある12分計が一回りするまで我慢したり、砂時計がカラになるまでねばる必要はまったくありません。

サウナの前後、最中も水分補給を

特にサウナに慣れるまでは、汗をかいたら遠慮なくサウナから出るとよいでしょう。発汗が進むと脱水となり血液が濃くなって血の塊(血栓)ができやすくなるほか、加えて高温の環境では血液の凝固系という血を固める作用が強くなり、やはり血栓ができやすくなります。血栓が脳の血管に詰まると脳梗塞、心臓の周りの血管に詰まると心筋梗塞を引き越します。また、動悸がする時も我慢せずにサウナから出るようにします。

サウナの選び方、座る場所にも気を付けます。サウナはひな壇のようになっているところが多いですが、上の段の方が温度が高くなっています。まずは下の段から座りはじめ、体が熱さに慣れてきたら上の段に移るようにします。

また、熱い空気が息苦しく感じる場合、下のひな段に移るか、無理せず温度の低いサウナを使ってみましょう。複数のサウナを備えてある施設の場合、40~50℃程度のミストサウナがある場合もあり、こちらもお勧めです。岩盤浴は岩盤が温かいだけでなく、室温は40℃ほどになっていることが多くマイルドなサウナ代わりにもなります。

また、1回のサウナで500mL以上汗をかくこともあり脱水になるので、サウナから出たあとはもちろん、サウナに入る前にもコップ1~2杯の水分は飲むようにしましょう。サウナ入浴を何度か繰り返す場合は途中でも水分補給をします。水でも構いませんが、イオン飲料の他、ミネラル入りむぎ茶や牛乳なども脱水の予防効果が高いです。

水風呂は危険!特に注意が必要

サウナの後にキンキンに冷たい水風呂に入ることを楽しみにしている方も多いのですが、これも実は危険を伴います。

熱いサウナから飛び出して冷水風呂に急に入ると、急激な温度の変化が身体への強烈な刺激となって、場合によっては血圧が50mmHgほど急上昇します。特に動脈硬化の進んだ中高年では、急激な血圧の上昇で脳内の血管が破け、脳出血になります。また心臓への負担も大きく心筋梗塞を起こす原因となります。若い方であっても不整脈を起こす可能があります。

この強い刺激が好き、という方もいますが、医学的にはあまりお勧めできません。冬の入浴の事故は急な温度差によるヒートショックが原因であることが多いのですが、冷水風呂はこのヒートショックと同じことが起こります。ほてった体を冷やすためであれば、そのままサウナの外の涼しい空気で体を冷やすか、30℃程度の少し冷たいと感じる程度のぬるま湯でシャワーを浴びるのでも十分。水風呂を使いたい場合は足先や手先に十分にかけ水をしてからゆっくりと浸かるようにします。

各人が安全に心地よくサウナを楽しめればよく、苦手な人には水風呂は必須ではないと思っています。

安全にサウナに入るポイントと注意すべき症状

以上のように、サウナは我慢せず各自の体調に合わせて無理せず苦痛なく心地よく入るのがポイントです。安全なサウナ利用には,

・熱しすぎや急激な温度差を避ける
・サウナ前後で水分補給を十分に行う

の2点を心がけましょう。

もし、入浴中や休憩中に、

・めまいがする
・ふわふわする
・頭痛がする
・胸が苦しい
・手足がしびれ
・体に力が入りにくい
・意識が遠のく
・吐き気、気分が悪い
・強い倦怠感

といったことがある場合は、直ちに中止して脱衣室に戻ります。熱中症の他、脳や心臓に重大な病気が発症している可能性があるからです。体調が悪いことをスタッフに声をかけて指示に従います。本人がまだ大丈夫、と思っていても他者から見ると明らかに異常をきたしている場合があります。

無理せず、心地よくサウナで健康づくりを楽しんでください。

こちらの記事の監修医師

東京都市大学人間科学部学部長・教授

早坂 信哉

東京都市大学人間科学部学部長・教授
博士(医学)、温泉療法専門医。
高齢者医療の経験から入浴の重要性に気づき20年にわたり3万人以上の入浴を調査した入浴や温泉に関する医学的研究の第一人者。「世界一受けたい授業」などのテレビ出演、執筆や講演など多方面で活躍中。著書「おうち時間を快適に過ごす 入浴は究極の疲労回復術」(山と溪谷社)など。

ウェブサイト:
https://hayasakashi.wixsite.com/bath