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最終更新日:2022年10月31日

厚生労働省も推進する「在宅医療」…どんな患者が対象?メリットやデメリット、費用も解説

こちらの記事の監修医師
医療法人社団ときわ
小畑 正孝

(写真=PIXTA)

高齢化が進展するにつれ、訪問診療や在宅医療という言葉が世の中に浸透してきているように感じます。しかし、まだまだご存じのない方も多いでしょう。そもそも在宅医療とは何か、どんな患者が利用できるのか。どのようなメリット・デメリットがあるのか。厚生労働省も推進する「在宅医療」について、小畑正孝医師(医療法人社団ときわ 理事長)が解説します。

在宅医療とは?

医療機関に通い治療を受けることを「外来医療」、医療機関に入院して治療を受けることを「入院医療」、そして、自宅で診察を受けて治療することを「在宅医療」といいます。その在宅医療の中にあるのが、医師が自宅や介護施設などへ訪問して診察を行う「訪問診療」と「往診」です。広義には、看護師のみ訪問する訪問看護や自己注射など自分で行う医療行為なども含めて在宅医療と呼ぶこともあります。

 

訪問診療は、医師があらかじめ計画した通りに自宅や施設へ訪問して診察や治療を行うことをいいます。往診は、自宅で療養されている方が体調不良などの際に要請を受けて、その都度医師が診察したほうがよいと判断した場合に伺うことをいいます。

 

多くの医療機関は月に1回または2回程度の訪問診療に合わせて随時往診の対応を行っています。

在宅医療はどんな患者が対象?

在宅医療は基本的に、通院が困難であることが条件です。在宅医療と聞くと、寝たきりの方や終末期医療を想像される方が多いと思いますが、保険診療上の定義では、在宅医療の対象は「在宅で療養を行っている患者であって、疾病、傷病のために通院による療養が困難な者」となっています。また、除外基準としては、「少なくとも独歩で家族・介助者等の助けを借りずに通院ができる者」とあります。

 

認知症で通院が難しい方や、抱えている病気により移動が難しい方なども、在宅医療の対象であるといえます。実際に、私たちが訪問している患者さんでも、癌の末期や高齢でお看取りのためにという方もいらっしゃいますが、認知症や高血圧や糖尿病など、あまり命に関わらない疾患で継続的な治療のために受けている方も多くいらっしゃいます。

 

一般に、高齢になると複数の診療科に通院しなければならないことが多いです。たとえば腰痛で整形外科、高血圧で内科、頻尿で泌尿器科といった具合です。このように複数の科に通院するとそれぞれから処方された薬の種類も多くなりがちで、多すぎる薬がかえって症状を悪化させていることもよくあります。

 

こういう方たちも訪問診療のよい適応です。複数の通院を訪問診療に一本化した上で、互いに影響のある薬や優先順位の低い薬を減らすなどして治療全体をコーディネートすることで、いろいろなところに通院するよりもよりよい治療を行うことができます。

 

私たちの想いとして、在宅医療は、通院ができなくなったからなどの消極的な理由ではなく、ご高齢で複数の疾患を抱えている方であれば、むしろ積極的に選択していただきたいものだと考えています。

在宅医療のメリット・デメリット

在宅医療は患者さんの生活全体を見て診療することができるため、病院の診察室で座っている患者さんの状態を診るのと、実際に生活している場で診るのとでは情報量がまったく違います。

 

普段の食生活は冷蔵庫を見ればわかりますし、家の様子を見れば生活スタイルもわかります。これらの情報は診察室ではなかなか知ることが難しいのですが、診察をするうえでは非常に重要です。

 

たとえば、外来で出される薬は、医師の指示通りに服薬できているかがしっかり確認されずに繰り返し出されていることも少なくありません。医師は、患者さんから「きちんと飲んでいます」と言われてしまえば、それを信じるほかありません。その結果、患者さんの家には飲みきれなかった大量の薬が放置されているという状況を生んでしまうのです。

 

在宅医療ではご自宅に訪問して診療を行いますので、きちんと薬が飲めているかがすぐにわかりますし、患者さんの本当の状態を診て適切な治療を行うことができます。在宅医療を始めてから患者さんの具合が途端に良くなったということは多々経験しています。このように、薬の一元管理をはじめ、患者さんの生活に合わせて医療を提供できることが、在宅医療のメリットであると考えています。

 

治療診断機器の小型化などでさまざまな医療が提供できるようになった在宅医療ですが、詳しい検査が必要になった場合には、検査ができる医療機関に行く必要があります。また、訪問診療は1日にいくつかの訪問先があり、車を使って回りますので、道が渋滞していたり前の患者さんの診察が延びたりと、訪問時間が細かく指定できない場合が多いです。

 

往診も訪問まで時間をいただくことがあるので、待つことができずに救急要請をしてしまう方もいらっしゃいます。デメリットと感じることもありますが、医療機関に通う時間や待ち時間を考えると在宅医療は自宅にいれば医師が来ますし、待ち時間もなく自由に過ごして待つことができます。また、緊急時に相談できたり診療に来てもらえる安心感もあるでしょう。

在宅医療の費用はどれくらい?保険は適用される?

在宅医療は高額なのかな、と思われがちですが、医療保険の適応範囲なので、1〜3割負担で受けることが可能です。月に2回訪問診療をした場合、1割負担の方はおおよそ7000円です。検査や治療によっては加算がありますが、医療保険の上限額を超えることはありません。

在宅医療を利用するときの注意点

在宅医療を受ければ、24時間365日往診にも来てもらえるというわけではなく、医療機関によって対応の範囲は異なります。

 

24時間の対応を行なっていないところもありますし、対応するとしていても実際には往診に行かず救急要請を指示する医療機関もあります。在宅医療を受けたいという方は、事前に情報を確認することが大切です。

まとめ

これまで述べてきたように、在宅医療は寝たきりの方や終末期医療に限らず、もっと軽度の疾患から始めることが可能です。通院が辛くなってきた方はぜひ積極的に検討をしてみてほしいです。また、かかりつけ医のいない方や今後の体調に不安がある方も気軽に相談をしてもらいたいと思います。

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こちらの記事の監修医師

医療法人社団ときわ

小畑 正孝

医療法人社団ときわ 理事長

秋田県出身。東京大学医学部医学科卒業。専門は内科、総合診療科。

国際医療福祉大学三田病院で臨床研修後、東京大学公衆衛生大学院でMPHを取得。

その後、在宅支援診療所院長、在宅医療支援病院副院長などを歴任し、2016年9月に赤羽在宅クリニックを開業。翌年2017年に医療法人社団ときわを立ち上げ理事長就任。

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