最終更新日:2021年8月27日
糖尿病は完治する?生活習慣の見直しが症状を改善する「鍵」になる
こちらの記事の監修医師
ティーズ 内科クリニック
土山智也

糖尿病は生活習慣病のひとつであり、いつ誰が発症してもおかしくない病気です。現在では完治しない病気と言われているため、糖尿病になったら不安に思うこともあるでしょう。しかし、2型糖尿病は早い段階から生活習慣を見直せば症状が大きく改善する可能性があります。では、具体的にどのように生活習慣を改善すればいいのか解説していきます。
糖尿病とは?

糖尿病は、体内での糖の代謝が悪くなって血糖値が高くなる病気です。糖尿病について理解するには、私たちが食べ物から糖質を摂取すると、どのように体内で使われるエネルギーに変わるかを知っておきましょう。
私たちは食べ物から糖質を摂取すると、体内で分解されてブドウ糖になります。ブドウ糖は小腸から血液中に吸収されます。このとき血液中のブドウ糖を「血糖」と呼び、その濃度を「血糖値」と呼びます。
食後に血糖値が上がるのは、この過程があるためです。ただ、ブドウ糖が血液中を流れる限り、体内ではエネルギーとして使うことができません。
食事で摂取したブドウ糖を細胞に取り込むためにはインスリンと呼ばれるホルモンの働きが必要不可欠です。インスリンは血糖値が上昇すると膵臓(すいぞう)から分泌され、筋肉や肝細胞、脂肪細胞にブドウ糖を運び、エネルギーとして使うように指示を出します。
すると、血液中のブドウ糖が、それぞれの細胞に取り込まれるため血糖値が下がります。ここまでの過程を「糖代謝」と呼びます。
糖尿病は、インスリンの働きが悪くなったり、インスリンの分泌量が減ったりして糖代謝がうまく機能しなくなる疾患です。また、1型糖尿病と2型糖尿病の大きく2つに分けられます。
1型糖尿病と2型糖尿病
1型糖尿病は、インスリンを分泌する膵臓のβ細胞の機能がもともと低いか、あるいはなんらかの原因で壊れているケースです。インスリンがほとんど分泌されないため起こる糖尿病です。
詳しい原因は解明されていませんが自己免疫反応(外からの異物を攻撃する機能)によって、膵臓のβ細胞が攻撃を受けてしまったのではないかと考えられています。
2型糖尿病は、膵臓の働きは正常なのに生活習慣の悪化によってインスリンの働きが悪くなったり、分泌量が減ったりするケースです。糖尿病の約90%が2型糖尿病に当てはまります。
2型糖尿病の要因として多いのは肥満といわれており、その中でも食べ過ぎや運動不足によって内臓脂肪型肥満は要注意です。肥大化した脂肪からインスリンの働きを悪くする物質が分泌されることがわかっています。
糖尿病は完治する病気なの?

1型糖尿病は現在では完治するのは難しい
1型糖尿病は、血糖値を下げるために必要なホルモン「インスリン」が分泌されなくて起こります。詳しい原因は不明ですが自己免疫反応による攻撃で膵臓のβ細胞が機能しなくなったことが要因に挙げられていました。
膵臓のβ細胞を復活させることはできないので、現在の医療では1型糖尿病は完治しません。
インスリン摂取で健康な状態を維持できる
1型糖尿病は体内でインスリンを生み出すことはできませんが、注射やインスリンポンプと呼ばれる医療器具を使って体外からインスリンを補充します。
また、薬物療法のみでは重度の低血糖に陥る可能性があるため運動療法や食事療法も取り入れて血糖値とうまく付き合うことが1型糖尿病との向き合い方です。
1型糖尿病でも正しい治療を受けて、合併症の発症や進行を予防していくこと糖尿病を発症していない人と変わらない生活を送ることができます。
2型糖尿病は寛解する可能性がある
2型糖尿病の場合、完治はしませんが寛解(かんかい)する可能性があります。
・完治は、治療を終えた後、病気の症状が完全に消え去ったこと
・寛解は、治療の継続を前提に病気の症状がほぼ消え去ったこと
2型糖尿病は適切な食事療法や運動療法、インスリンの投与といった処置を施せば「寛解」の状態を目指すことできます。
肥満を解消すれば肝臓や膵臓に付いた脂肪が減少してインスリンの働きが良くなると2017年9月の医学誌「ブリティッシュ メディカル ジャーナル」にて報告されているからです。
<以下引用>
「2型糖尿病のある方々にとって良いニュースは、糖尿病の既往歴が10年に及ぶ状態であっても、体にたまった余分な脂肪を減らすことで、負のサイクルを逆転することは可能であることです。膵臓での脂肪の蓄積によってβ細胞の機能は低下しますが、脂肪を減らすことでその機能は回復することが確かめられたのです」
この論文を発表した英国のニューカッスル大学のロイ・テイラー教授はその後、「Cell Metabolism」に糖尿病を発症してから6年以内であれば、生活習慣の改善と体重コントロールをしっかり行えれば、糖尿病から離脱できる(糖尿病発症の前の状態に戻せる)可能性があると報告しています。
このことから糖尿病早期で、しっかり治療・管理できれば、限りなく完治に近い状態にできる可能性あるが分かっています。
発症の早い段階で生活習慣を改善する
糖尿病は、さまざまな合併症を引き起こす病気です。深刻な合併症を引き起こしてからでは、いくら肥満を解消しても手遅れです。
| 糖尿病の三大合併症(細小血管症) | 糖尿病網膜症 |
| 糖尿病腎症 | |
| 糖尿病神経障害 | |
| 重篤な糖尿病合併症(大血管症) | 冠動脈疾患 |
| 脳血管障害 | |
| 閉塞性動脈硬化症 |
健康診断で「血糖値が高い」と言われたときこそ決断する時です。そこで、今までの生活習慣を見直せるかが今後の糖尿病の合併症を予防、病気の進行を遅らせるなど将来の健康を守ることにつながります。
糖尿病は発症する前に予防することが大切

糖尿病が怖いのは発症するまで自覚症状がないことです。ある日突然、健康診断で「血糖値が高いから、病院で再検査してください」と言われて初めて意識する病気です。定期的に健康診断を受けて、チェックすることが大切です。
こんな人は糖尿病になりやすいので注意しましょう。
・家族・親戚に糖尿病の人がいる
・最近、運動不足だと感じる
・ついつい食べすぎてしまう
・心身にストレスがある
・40歳上である
日々の生活に運動を取り入れて血糖値の上昇を抑える

食後1時間以内に運動をする
食事をしてから1時間後が血糖値上昇のピークです。食後1時間以内に運動をすることで食後の血糖値の上昇を抑えられます。食後は20分程度でいいのでウォーキングを習慣に取り入れてみてください。
座ったままの時間を減らす
1日のうち座ったままの時間が多ければ多いほど血流が低下し、血糖値が上がりやすくなります。30分に1回は椅子から立ち上がるようにしたり、電車やバスでは目的地まで立つようにしたりして座ったままの時間を減らしましょう。
下半身の筋肉を鍛える
下半身の筋肉は、全身の筋肉のうち70%を占めています。上半身を鍛えるよりも効果的に全身の筋肉量を増やすことができます。筋肉量が増えると代謝が上がり脂肪燃焼効果が。下半身を鍛えるならスクワットがおすすめです。
食生活を見直して血糖値をコントロールする

朝・昼・晩の食事をきちんと食べる
忙しいから朝食を抜く、昼食と夕食の間隔が短すぎるなど食事の時間が不規則になると過剰に血糖値が上がりやすくなります。食事と食事の間は3時間以上空けるようにしましょう。
よく噛んで、ゆっくり食べる
早食いは血糖値を急激に上げてしまうため要注意です。また、脳の満腹中枢が感じる前に食べ終えてしまうと満腹感を感じにくく食べ過ぎや間食をする原因になります。食べ終わるまで20分以上かけるように、よく噛んで食べましょう。
野菜を積極的に食べて野菜から食べる
おかずには、野菜やきのこ、海藻などは食物繊維を多く含む食品を食べるようにしましょう。歯ごたえのある食品はよく噛まないと飲み込めないので、自然とゆっくり食べられます。また、食事の最初に野菜から食べ始めることで糖質の吸収をゆっくりにし、血糖値の急上昇を防ぎます。
まとめ

ある日突然、発症する1型糖尿病と2型糖尿病ですが、どちらも完治はしない病気です。しかし、病気ときちんと向き合って食事療法や運動療法、薬の服用やインスリン投与などの治療を受ければ、普通とは変わらない生活を送ることができます。
また、生活習慣を見直せば血糖値をコントロールできたり、合併症を回避できたりすることがわかっています。不安に感じている方は普段の生活でできるところから見直していきましょう。
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こちらの記事の監修医師
ティーズ 内科クリニック
土山智也
〇病院名 :ティーズ 内科クリニック
〇医師 :土山智也
〇アクセス:石川県金沢市松村4-308
〇診療科 :消化器内科
〇経歴:
1970年生 医学博士
平成8年3月:金沢大学医学部医学科卒業
平成15年6月:金沢大学大学院医学系研究科卒業
【賞与】
平成15年4月:第16回日本消化器病学会奨励賞受賞
平成17年11月:第56回アメリカ肝臓学会 Young Investigator Award受賞
【資格】
日本内科学会 認定医・総合専門医
日本消化器内視鏡学会 専門医・指導医
日本消化器病学会 専門医
日本肝臓学会 専門医
ファイナンシャル・プランナー2級(国家資格)
【経歴】
金沢大学医学部(第一内科)、富山労災病院(内科)、福井県済生会病院、金沢大学医学部附属病院(第一内科)、金沢赤十字病院、金沢有松病院、国立病院機構金沢医療センター (消化器内科)、金沢大学医学部附属病院(消化器内科助教)、金沢大学がん高度先進治療センター(現がんセンター)助教、石川県済生会金沢病院(消化器科医長)
平成21年6月:ティーズ 内科クリニック医院長(現職)
http://www.t-s-naika-clinic.jp/
【著書】
「かかりつけ医は選ぶ時代」
「自分の命は自分で守る 読めば得する医学の真実」
「医師から痩せなさいと言われたら最初に読む本」
「知ってると100倍得する! 医療のキホン」
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