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最終更新日:2021年12月31日

「現代の国民病」糖尿病はどんな病気か?症状、予防法を分かりやすく解説

こちらの記事の監修医師
Basical Health産業医事務所
佐藤 文彦

※写真はイメージです/PIXTA

糖尿病は、厚生労働省の「令和元年 国民健康・栄養調査」によれば、疾患が疑われる人を含めると、日本人の5~6人に1人が罹患している、いわゆる国民病です。糖尿病は血糖レベルがよほど高くならなないかぎり、ほとんど自覚症状もありません。このため糖尿病の診断が遅れ、合併症が出るまで気づかないことが多いといいます。では、糖尿病は自分自身が糖尿病になったとどのように自覚するのでしょうか。またどう予防したらいいのでしょうか。

初期糖尿病は無症状、健康診断で発覚

教科書的に「糖尿病の初期症状は?」と聞かれると、その一般的な答えは「口渇・多飲・多尿」ということになります。しかし実際には、「口渇・多飲・多尿」といった具体的な症状を自覚される方はかなり少なく、ほとんどの方は無症状です。

ですから、糖尿病が判明するケースというのは、健康診断の結果でご本人も初めて知るといったことが大半だと思います。

しかしながら、健康診断を全く受診することなく、長年の間、糖尿病であることを全く気がつかずに放置していたとすると、「口渇・多飲・多尿」といった症状や「急激に体重が減少した」「急激に視力が悪くなった」といった著しい自覚症状が出現したり、急性心筋梗塞や急性脳梗塞で救急搬送された時に初めて糖尿病であることが判明することもあります。重篤な合併症が起こった時点で、初めて糖尿病を自覚し、治療を開始することになるといったことが、しばしば起こります。

「口渇・多飲・多尿」や「急激に体重が減少した」時の糖尿病の状態とは、採血データで言えばHbA1c値10.0%以上、血糖値600mg/dlといった、極めてコントロール不良な糖尿病であると言えます。また、「急激に視力が悪くなった」となれば、糖尿病網膜症がすでに発症しており、しかも、広範な眼底出血も認めるような進行した(増殖性)の状態です。

このように、糖尿病自体は、軽症なうちは自覚症状がほとんどないために放置されやすく、それに甘んじて長年放置してしまうと、重篤な合併症が併発してしまうことになります。しかも、これらの合併症においては、様々な侵襲的な治療が必要な場合も多く、そういった治療を行っても、症状としては元に戻ることが困難なケースさえも少なからず認めます。

ですから、必ず毎年、まずは健康診断や人間ドックを受診することが大切です。しかも、もし健診結果で、「要治療」や「要精査」といった判定が出た場合は、速やかに糖尿病専門医がいるクリニックや病院を受診することが重要なポイントとなります。

血糖値を下げるにはインスリンしかない

初期における血糖値異常では、多くの場合、食後の血糖値が先に上昇を始めることが多いことをご存知でしょうか。

しかも、特にこの食後高血糖タイプの方の特徴は、内臓肥満型の体型をしている、いわゆるメタボリックシンドローム(メタボ)の方によく見られます。このため、毎年の健康診断にて、空腹時血糖値測定をしていた場合、早期の糖尿病を見過ごすことがあります。また、糖尿病の診断基準を満たさない、境界型の段階であっても、食後高血糖を認める方の場合、糖尿病を発症する前に、心筋梗塞や脳梗塞といった動脈硬化が進行することが知られています。

やはり何といっても太ってしまったら、まずは減量するということが鉄則だと言えます。一方で、痩せ型の糖尿病の方の場合、食前血糖値が上がりやすく、しかも、たとえ少々食後血糖値が高くなっても、メタボの方のような動脈硬化の進展が起こりにくいことも知られています。

基本的に糖尿病とは、「インスリンが十分に働かないために、血液中を流れるブドウ糖(血糖)が増えてしまう病気」です。インスリンは膵臓のβ細胞で作られるホルモンであり、血糖を一定の範囲におさめる働きを担っています。実は意外かもしれませんが、からだの中で、血糖値を下げる作用を持っている物質は、このインスリンしかありません。

一般の人からすると、「血糖値を下げる作用を持っているインスリンが必要量分泌されていれば、血糖値が上昇することはない」ようにイメージされるかもしれません。

ただ実際には、そういった単純なことではなく、成人の通常量のインスリンが分泌されていたとしても、血糖値が上昇することがあります。この状態を「インスリン抵抗性」と呼ばれる「インスリンが働きにくい状態」となってしまいます。

このような状態が起こる要因は、肥満、特に内臓型肥満が挙げられます。つまり、「ポッコリお腹」になると、インスリンが効きにくい状態になってしまうのです。普段糖質だけは控えているといった人でも、メタボ体型の人は、残念ながら糖尿病を発症してしまう人が多いのも事実です。

メタボ体形は、インスリンを酷使している

一方で、糖尿病を発症した時点で、このβ細胞の約半数が過労死(アポトーシス)すると言われています。ですから、糖尿病を発症しないためには、太らないこと、内臓脂肪が増えないようにして、過酷な労働環境にさせないことが極めて大切なのです。

長引くコロナ禍において、在宅勤務が増えたり、運動する機会が減ったりして、体重が増え、ウエストも太くなってしまった方もおられるかもしれません。ぜひ、まずは健康診断の結果を再確認して、改めて今日から積極的に自己管理を行っていくことをお勧めします。

ただ単純に糖質だけを減らしていればよいというのではなく、日頃からきちんと体重管理を行うということに意識を置くことによって、糖尿病の発症を予防することができ、それ以外の生活習慣病やこれらに伴う合併症の発症を抑制していく効果も発揮できます。
コロナ禍かつ年末年始と、非常に難しい時期ではありますが、だからこそ、これからも元気で暮らしていくために、この時期に体重を増やさないようにして、健康増進の取り組みを継続して下さい。

こちらの記事の監修医師

Basical Health産業医事務所

佐藤 文彦

Basical Health産業医事務所 代表
日本糖尿病学会専門医・研修指導医、日本肥満学会専門医、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医などの資格をもつ内科医・産業医。

1998年順天堂大学医学部卒業後、順天堂大学 代謝内分泌学 助教などを経て、2012年41歳の若さで順天堂大学附属静岡病院 糖尿病・内分泌内科 科長(兼 准教授)に就任。同院で、「地方病院の医局員たちの残業の多さを何とか改善できないか」と考え、「医師の働き方改革」に着手。コーチングの手法を活用し、現場の要望を聴き出し、それを反映させた組織開発を独自で行う。3年目には医局員全員が定時に帰宅できる体制を作りあげる。その後、日本IBM株式会社で専属産業医を2年弱務めた後、2018年に独立。現在、健康保険組合やその関連企業での健康増進・予防医療などのコンサルタント業務を行いながら、糖尿病の外来診療、嘱託産業医としても活動する。今年度より、厚生労働省医政局委託事業「医療従事者勤務環境改善のための助言及び調査業務」委員会の委員に就任するなど、日本中の医師が安定的に働き続けられる環境作りに取り掛かっている。趣味は音楽。高校3年生時には、全日本吹奏楽コンクール(普門館)にて金賞受賞。担当楽器はチューバ。