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最終更新日:2022年2月10日

「コロナ後遺症」とは何なのか?コロナ後遺症の特徴・症状・治療法

こちらの記事の監修医師
堀田修クリニック
堀田 修

(写真=PIXTA)

これまでの新型コロナ株に比べて弱毒のオミクロン株の登場にともない、世界ではコロナとの共生に向けて方針を転換する国が増えてきています。今後、変異を繰り返すことによりコロナウイルスの弱毒化が進むことが予測されますが、新しい変異株が流行を繰り返す限り、残ってしまう問題が「コロナ後遺症」です。

「コロナ後遺症」の症状・状態とは?

コロナ後遺症はPCR検査により新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が検出されなくなった後も体調不良が数ヵ月以上残る状態で、症状は倦怠感、慢性咳嗽、頭痛、気分の変動、集中力低下、うつ、不安、幻覚、胸の痛み、呼吸困難、動悸、息切れ、味覚・嗅覚の消失、耳鳴り、眩暈、しびれ、胃腸の不調、食欲不振、湿疹など多岐にわたります(※1)。また、コロナ後遺症はコロナ感染症(COVID-19)が軽症であった人にも起こります。

現段階でコロナ後遺症の原因は不明であり確立された治療法はありません。しかしながら、わが国では慢性上咽頭炎の治療である上咽頭擦過療法(EAT、通称Bスポット療法)が有効であることが多数のコロナ後遺症患者を診療した医師らによりこれまでに確認されており、コロナ後遺症に対してEATが考慮に値する治療法であることが示唆されています(※2)

“インフルエンザ後遺症”はないのに、「コロナ後遺症」があるのはなぜ?

ウイルス感染をきっかけに疲労感が持続する病態は以前より“ウイルス感染後疲労症候群”として知られており、コロナ後遺症はそのひとつと考えられます。ところで、日本では毎年1000万人もの国民が感染するインフルエンザでは後遺症は問題にならないのに、2年間で約200万人程度のCOVID-19で、なぜこれほどまでにコロナ後遺症の患者数が多く、問題になるのでしょうか? その理由はコロナウイルスの特徴にあります。

SARS-CoV-2は主に空気を介して鼻から侵入します。SARS-CoV-2のレセプターであるACE2が鼻と上咽頭粘膜の繊毛上皮細胞に豊富に存在し(※3,4)、口腔粘膜の扁平上皮細胞には存在しないことはそれを裏付けています。鼻奥に位置する上咽頭はリンパ組織が豊富で、侵入したウイルスとの戦いにおける最前線といえる重要な部位です。

ココが上咽頭(画像=PIXTAより作成)

興味深いことに上咽頭の炎症は脳の勘違いにより通常、鼻の奥の痛みではなく「のど痛」として自覚されます(※5)。そのため「のど(中咽頭)は赤くないのにのどが痛い」という特徴があります。従来から「のど風邪」として知られる季節性コロナウイルスの感染において急性上咽頭炎は必発ですが、COVID-19においてもこの点は同様であり、特にオミクロン株ではその傾向が顕著です。すなわちコロナウイルスは上咽頭に炎症を生じやすいウイルスというわけです。

上咽頭粘膜下のうっ血は急性上咽頭炎の特徴の一つですが、ウイルスが消失した後もうっ血が残存する病態が慢性上咽頭炎です。上咽頭の慢性的なうっ血状態である慢性上咽頭炎が自律神経系をはじめとする脳機能に影響を及ぼすことは1960年代すでに日本の耳鼻咽喉科医により報告されていましたが(※6, 7)、最近までこの概念はあまり知られていませんでした。

ところが、コロナ後遺症の診療に携わる医師らにより、コロナ後遺症の患者には激しい慢性上咽頭炎が高頻度に存在することが確認されて、にわかに注目されるようになりました。

慢性上咽頭炎の診断と治療

塩化亜鉛溶液に浸けた綿棒を用いて上咽頭を擦過する「EAT」が慢性上咽頭炎の診断ならびに治療として用いられます。慢性上咽頭炎が存在するとうっ血のためEATにより出血を認めます。この出血の程度がうっ血の程度、つまり慢性上咽頭炎の重症度の指標となります(※8)

EATとは?(画像=PIXTAより作成)

通常は10回程度の治療が必要ですが、特に重度の慢性上咽頭炎がある場合には初回EATの効果はしばしば劇的で、患者さんが驚くほどの改善を自覚します。しかし、この治療の難点は炎症の程度に比例してEATのときに痛みを伴うことです。激しい炎症があると痛みも強いですが炎症の改善とともにEATときの痛みは軽くなります。

EATは医療行為であるため実施できるのは医師のみです。EATを実施している医療施設は全国的にもまだ少ないですが最近増えており、以下のサイトに実施施設の一覧が載っています。

上咽頭のセルフケア方法

EATは医療機関を受診しないと受けることができませんが、上咽頭のセルフケアもある程度の改善は期待できます。セルフケアでおすすめが①「鼻うがい」と②「首後ろの湯たんぽ」です。

①「鼻うがい」のやり方

用意するもの:お湯(一度沸騰させたもの)、塩、ボトル

 

<やり方>

①片方の鼻の穴に、食塩水の入ったボトルの先をあてる。

②ボトルの先を当てていない、もう一方の鼻の穴を少し下側に傾ける。

③ボトル本体を押し、塩水を鼻の中に入れる。

④もう片方も同じ要領で行い、完了。

 

<ポイント>

塩水を鼻に入れるときに「あー」と声を出しながら行うと、塩水が耳に入りにくく、鼻うがいに不慣れな人でもやりやすい。

食塩濃度0.9%の生理食塩水で鼻腔と上咽頭を洗うのが一般的な方法(写真=PIXTA)。

 

②「首後ろの湯たんぽ」のやり方

用意するもの:湯たんぽ、お湯、タオル

 

<やり方>

①湯たんぽにお湯を注ぐ。

②湯たんぽをタオルで包む。

③湯たんぽを首の後ろにあて、5分ほど仰向けに寝る。

 

<ポイント>

首の後ろを温めることで喉周辺の血流が整い、上咽頭のうっ血が解消されます。湯たんぽの素材はゴムなどのやわらかい素材がおすすめです。

 

【参考文献】

※1) Blomberg B, et al: Long COVID in a prospective cohort of home-isolated patients.

Nat Med. 2021; 27:1607-1613.

※2) 平畑光一:新型コロナ後遺症.医事新報. 2021; 5078:18-26

※3) Ahn JH, et al. Nasal ciliated cells are primary targets for SARS-CoV-2 replication in the early stage of COVID-19. J Clin Invest. 2021;131: e148517.

※4) Nishi K, et al. Epipharyngeal abrasive therapy down-regulates the expression of SARS-CoV-2 entry factors ACE2 and TMPRSS2. In Vivo.2022;36(1):371-374.

※5) 杉田麟也:上咽頭の診断方法と治療:細胞診による病態把握. 口咽科. 2010;23(1):23-35

※6) 山崎春三:鼻咽頭症候群および症候と病理学的研究.耳喉.1961;33:97-101,

※7) 堀口申作:全身諸疾患と耳鼻咽喉科―特に鼻咽腔炎について.日耳鼻. 1966; 69:1-82

※8) 7) Hotta O, et al. Possible mechanisms underlying epipharyngeal abrasive therapy (EAT) with ZnCl2 solution for the treatment of autoimmune diseases and functional somatic syndrome. J Antivir Antiretrovir. 2017; 9:81-86,

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こちらの記事の監修医師

堀田修クリニック

堀田 修

認定NPO法人日本病巣疾患研究会(JFIR)理事長
医療法人モクシン 堀田修クリニック(HOC)院長
医学博士
特定非営利活動法人日本病巣疾患研究会 理事長
IgA腎症・根治治療ネットワーク代表
日本腎臓学会評議員
東北医科薬科大学腎臓内分泌内科臨床教授

1988年IgA腎症の根治治療として扁摘パルス療法を考案。
2001年、2002年扁摘パルスにより、早期の段階に治療介入を行えばIgA腎症が治りうる疾患であることを米国医学雑誌(AJKD)に報告。
その後は同治療の普及活動と臨床データの集積を続ける。

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