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最終更新日:2022年4月14日

これは“がん”の兆候?…体重減少がわかったときの病院の上手なかかり方【総合診療医が解説】

こちらの記事の監修医師
国際医療福祉大学成田病院 総合診療科
梶 有貴 先生

(写真=PIXTA)

内科初診外来でたびたび相談を受けるのが、「体重が減ってきたのですが、私はがん(悪性腫瘍)なのでしょうか?」という質問です。確かに、体重減少の原因をインターネットで検索してみると、目につくのはさまざまながんの名前。それを見て頭が真っ白になるかもしれません。ただ、すぐに「体重減少=がん」と考えるのはちょっと待ってください。今回は体重減少がわかったときに診療の現場で考えていくことを総合診療医の視点でご説明していきます。

医学的に問題な「体重減少」とは?

体重減少とはそもそもどういった現象なのでしょうか。

簡単に言えば、身体にカロリーが取り込まれる量よりも代謝(消費)される量が多くなったとき、体重は減少していきます。これはいわゆるダイエットをイメージしてもらえればいいのですが、食事を減らしてカロリーとして取り込まれる量を減らし、積極的に運動して代謝される量を増やせば、理論上は誰でも体重を減らすことはできます(あくまで「理論上」ですが)。

ダイエットのように自分で“意図して”体重が減ってきているならそれは問題がないことが多いでしょう。しかし、自分が“意図していない”にも関わらず体重が減少しているのならば、カロリーの取り込みと代謝のバランスを狂わす何かの病気があるかもしれないと考えます。

また、そもそもどの程度体重が減れば問題視した方がよいのでしょうか。

医学の世界では、「6か月以内に普段の体重の5%以上減少」する場合を重要な体重減少と判断することが多いです。この5%というのは、普段の体重が60kgの人であれば3kg、80kgの人であれば4kgがそれに当たりますので自分の体重ではどのくらいに当たるのか把握しておくとよいでしょう。

ちなみに普段、自分の体重なんて計っていないよ、という方もいらっしゃるかと思いますが、健康診断の結果や温泉やサウナなどに行ったときの体重計でもよいのでぜひご自身の体重は定期的に把握しておくとよいでしょう。ただ、どうしてもわからない場合は、その場合は周囲から痩せたねと指摘されたり、服やベルトのサイズが余ったりするようであれば要注意です。

「意図しない体重減少」+「食欲あり、なし」

意図しない体重減少がわかった方に、次にお伺いするのが「食欲はどうですか」という質問です。さきほど、体重減少は、カロリーが取り込まれる量よりも代謝される量が多くなったときに起きると説明したので、体重減少のある方は食欲が落ちているのでは? と考えるかもしれません。

実は、食べても食べても体重が落ちてしまうという方は確かにいらっしゃいます。例えば、カロリーを口から取っても十分に吸収されない病態の吸収不良症候群という病気の方や一部の糖尿病の方がそれにあたります。また、代謝が異常に亢進する甲状腺機能亢進症という病気では食欲はむしろ亢進しているにも関わらず体重が減る、ということもあります。

さて、意図しない体重減少で、さらに食欲も落ちている方、これが最も問題となります。原因としては、がん、がん以外の消化器疾患、うつ病や認知症などの精神疾患、甲状腺や副腎といった内分泌疾患や薬剤など、多岐に渡ります。

がんは意図しない体重減少の原因の15~37%を占める主要な原因の一つではありますが、全体からみると意外とがん以外の原因の疾患も多いのだということは知っておいてください。

それでもがんが疑われるときは

ほかのどの原因となる病気にも当てはまりそうになく、がんが疑われる場合は様々な検査を予定してどこにがんがあるのか調べていくこととなります。もちろん、がんは体重減少の病気の中でも最も深刻な病気なのですが、“体重減少”という情報のみを手掛かりとして、がんがある臓器を特定していくのは実は一筋縄にはいきません。

考えられる検査は、血液や尿検査、便潜血の検査、超音波検査、CTやMRI検査、胃カメラや大腸カメラ…と考える検査を挙げていくと枚挙にいとまがありません。これら全てを実施するとなると、時間的・金銭的な負担だけではなく身体的・心理的な負担も増えていきます。

検査に伴う合併症を引き起こす可能性はもちろん、検査でがんが疑わしい異常が発見されてもさらなる精密検査では実際はがんがないことがわかり結果的に心理的な負担がかかっただけとなる(これを偽陽性といいます)可能性や、実際は命に関わるような重要ながんではないにも関わらず診断されて検査や治療が追加されさらに負担が増える(これを過剰診断と言います)可能性もあります。

そのため、できるだけ必要最低限の検査で診断までたどりつくための“最短ルート”を辿る必要があり、そこが医師の腕の見せ所になります。

ただ、“最短ルート”を辿るには医師だけの力では足りません。そのためには、患者さんのご協力が重要となります。がんがある患者さんが初めて受診されたとき、意図しない体重減少以外にも少なくとも1つ以上の症状や徴候、検査値の異常(痛みや吐き気、腹部膨満、肝肥大、蒿カルシウム血症など)が見つかることが多く、そこを手掛かりとして検査を組み立てていくのです。

そのため、できるだけ些細な症状でも結構ですので、気がかりな症状を担当医に話すようにしてみてください。また、最近の健康診断や人間ドック、がん検診の結果などをお持ちでしたらぜひそちらを持参して担当医に見せるようにしてください。それががんを特定するための重要な手がかりとなるかもしれません。

以上、体重が減少してきたときの上手な医療機関のかかり方について総合診療医の視点でまとめました。体重が減ってきても、まずは深呼吸してこの記事を思い出してもらえれば幸いです。

こちらの記事の監修医師

国際医療福祉大学成田病院 総合診療科

梶 有貴 先生

筑波大学卒業後、筑波大学水戸地域医療教育センター・水戸協同病院にて総合診療の研鑚を積んだ。2020年より国際医療福祉大学の医学部の附属病院として開院した国際医療福祉大学成田病院で総合診療医として臨床と教育を行っている。