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最終更新日:2022年4月14日

知らない内に…命にかかわる「大動脈瘤」破裂を事前に防ぐ方法

こちらの記事の監修医師
名古屋徳洲会総合病院 心臓血管外科
大橋 壯樹 先生

(画像=Human heart anatomy form lines and triangles, point connecting network on blue background. Illustration vector/stock adobe.com)

車の運転中に意識を失って交通事故を起こした。

朝目を覚まさないので起こしに行くと命を落としていた。

白熱した会議中、胸の痛みから意識を失って倒れた――。

それまで持病もなく、元気に過ごしていた方に、このような突然死を来す病気はいくつかあります。

その中でも近年の高齢化社会、高血圧患者の増加にともなって増え続け、注目されるようになったのが大動脈瘤です。

この病気の特徴は、発症するまでほとんど症状がないことです。大動脈瘤破裂が起きると、半数が病院に辿り着けずに命を落とします。残りの半数は激烈な痛みにより、ショック状態で救急搬送されますが、緊急手術をしても助かるのは20~30%と言われています。

救命できても何らかの後遺症を残し、元の元気な体に復帰できない場合もあります。

ここでは、この「突然やって来る恐ろしい病気」について解説していきます。

大動脈の働き

人間は考え、動き、生き続けるための活動をしています。生きるためのエネルギー源となるのが、血液であり、血液を常に全身の臓器に供給している血管の主要な部分が大動脈です。

心臓から出た血液は大動脈を通り、瞬く間に全身の臓器にくまなく流れていきます。水道管が全家庭に配管しているように、動脈も常に充満してある程度の圧(血圧)をもって全身に供給しています。

圧がなくなると臓器に供給できなくなり、全身の機能はストップします。

大動脈瘤とはどんな病気?

血管の壁がもろく薄くなって、大きく膨らんでくる病気です。

風船のように膨らむものから、全体的に膨らむものまであります。

大動脈瘤の原因は?

動脈硬化が殆どです。動脈硬化により血管の壁が薄く脆くなり、だんだんと大きく膨らむと言われています。

高血圧の患者さんの場合、血管に常に高い圧がかかるため、なりやすくなります。

また、排尿困難、便秘などでおなかに力をかける場面が多いことも原因として挙げられます。

まれに打撲や外傷により血管に傷ができることで、血管が膨らむ事もあります。また生まれつき血管の壁がもろい場合もあります。

そのほか、血管の炎症、感染も原因となります。

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好発部位

最もよく見られるのは腹部(腹部大動脈瘤)です。次に胸部大動脈瘤で、心臓に近い部位から、背中の部位まであります。

症状

破裂していない場合はほとんどが無症状です。

治療をしないと…

無症状だからと放っておくと、動脈瘤が破裂する危険性があります。

破裂した場合、血管外に血液が放出され、血管の中の血液がなくなり、低血圧、ショック状態となります。いわゆる大動脈瘤破裂です。

破裂したら?

症状は無症状から一変します。

血圧が低下し、突然ショック状態になります。

破裂し出血した部位によっては、血を吐く、血の便が出ることもあります。

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破裂した動脈瘤破裂した動脈瘤(手術中)

診察だけでは分からない

診察で大動脈瘤と診断できるケースはほとんどありません。

痩せている場合は、お腹を触診して拍動する動脈瘤を診断することがありますが、それも確実な方法ではありません。

超音波検査、CT検査で診断

大動脈瘤は人間ドック・健康診断でCT検査、超音波検査をすると確実に診断できます。胸部単純レントゲン写真では胸部大動脈瘤は診断が可能ですが腹部大動脈瘤の診断はできません。

最近では人間ドック・健康診断で動脈瘤を指摘され、病院で治療することになるケースが増えています。

あるいはお腹の病気、肺の病気でCT検査をしたところ偶然大動脈瘤が見つかるケースもよくあります。

腹部CT(腹部の動脈瘤3D画像)
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治療をするには

治療の原則は、破裂をさせないことです。よって、破裂する危険性がある場合には、動脈瘤を人工血管に置き換える必要があります。破裂の危険性は、瘤が大きくなればなるほど高くなります。

一般的に腹部では5cm以上、胸部では5~6cm以上、末梢血管では3~4cm以上であれば破裂の危険性は少なからずあります。また、瘤が拡大傾向にある場合も破裂する危険性が高くなります。

このような場合、破裂を予防するために手術が必要となります。薬で動脈瘤を小さくすることは不可能です。

手術方法

外科手術

破裂しやすい動脈瘤の部分を人工血管に置き換える手術です。動脈瘤の前後で大動脈を遮断し、出血しないようにしてから、人工血管を手縫いで縫合します。

胸部大動脈瘤はいずれも人工心肺装置を使用します。心臓に近い上行大動脈瘤は心臓を停止させたり、脳への血流を一時的に遮断する必要があります。背中にある胸部下行大動脈瘤も開胸して行います。

カテーテル治療(ステントグラフト手術)

お腹、胸を切らずにそけい部を3cm切り、足の動脈よりカテーテルによってステントグラフトという膨らむ人工血管を動脈瘤の中から橋渡しをして埋め込む方法です。

高齢で大きな手術や全身麻酔をすれば身体に危険を及ぼす場合には、この方法が採用されることがあります。

従来の外科的人工血管手縫い手術とカテーテルによるステントグラフト手術の2方法にはそれぞれ長所と短所があります。

外科手術は確実ですが、患者さんへの負担が大きくなります。ステントグラフトは患者さんへの負担が少ないものの確実性に欠けます。正常血管に密着させるだけであるため、完全に動脈瘤の破裂を防止することは難しい場合があり、再発に気をつけなければならないのです。

手術治療とステントグラフト治療の比較

予防方法

動脈瘤があると言われている方は、手術が必要なほど大きくなくても、これ以上大きくしないように気をつける必要があります。

半年或いは1年に1回、CTで大きさに変化がないかチェックする必要があります。

高血圧の方は降圧剤で血圧を高くしないように調整します。そのほか、突然血圧があがるようなこと(例えば激しい動作、ストレス、トイレ、寒冷)をなるべく少なくすることが大事です。

しかし、それで破裂を完全に予防することは不可能です。大きくなっている場合は、手術をお勧めします。ご高齢、高血圧、糖尿病、他の循環器病、家族に動脈瘤のいらっしゃる方は、将来動脈瘤ができる危険性が高くなります。人間ドックなどでチェックし、動脈硬化にならないよう生活習慣に気をつけましょう。

 

こちらの記事の監修医師

名古屋徳洲会総合病院 心臓血管外科

大橋 壯樹 先生

昭和35年 徳島県生まれ
昭和54年 徳島県立城北高校卒
昭和61年 大阪大学医学部卒
昭和62年 大阪府立病院外科レジデント
平成元年 国立循環器病センター心臓血管外科レジデント
平成6年 メルボルンアルフレッド病院心臓胸部外科フェロー
平成8年 亀田総合病院心臓血管外科医長
平成10年 名古屋徳洲会総合病院心臓血管外科部長

専門分野
大阪大学医学部臨床教授
名古屋市立大学医学部臨床教授
日本外科学会指導医・専門医
日本胸部外科学会指導医、評議員
日本循環器学会専門医
心臓血管外科専門医認定機構修練指導者

植込型補助人工心臓認定実施医
ダヴィンチロボット心臓手術認定医