最終更新日:2021年11月21日
腰痛を和らげる方法や早く治す方法とは?自宅でできる対処法を紹介

こちらの記事の監修医師
医療法人これのの会 みずい整形外科
水井 睦

男女問わず幅広い年代の人が悩まされている腰痛。「急な腰痛で動けない」「腰が痛くて起き上がれない」という経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。
本記事では、腰痛が起こりやすい人の特徴や自宅で簡単にできる対処法をご紹介していきます。腰痛を予防する方法もお伝えするので、ぜひ併せて参考にしてください。
腰痛が起こりやすいのはこんな人

特に腰痛に悩まされやすいのは、次のような人です。
- 反り腰の人や姿勢が悪い人
- 加齢により筋力が低下している人
- 座りっぱなしのデスクワークの人
- 重いものをくり返し運ぶ運送業の人や介護職の人
- スポーツ(ゴルフやダンスなど)で腰を捻ることが多い人
- 雪かきなど前かがみの姿勢をとることが多い人
- 妊娠中の女性や出産後の女性
そもそも腰痛は、腰周辺の筋肉や筋膜に慢性的な負担や急激な負荷がかかったときなどに起こりあす。そのため、姿勢が悪い人やデスクワークで同じ姿勢でいることが多い人、前かがみの姿勢をとることが多い人、肉体労働の人などは腰痛が起こりやすいと言えます。
また、反り腰になっている人は背骨の後ろ側にある椎間関節がぶつかることで炎症を起こし、いわゆる「のけぞり腰痛」が生じることがあります。特にお腹が大きい妊娠中の女性や、出産後に赤ちゃんの世話をする人、子供を抱っこする機会が多い人などは要注意です。
さらに、椎間関節は腰を捻る動きによっても負荷がかかります。そのため、加齢などで筋力や柔軟性が衰えているところにスポーツなどで急激な動きが加わると、腰痛を引き起こす原因になることも少なくありません。
腰痛がひどい時に自宅でできる対処方法とは?

「病院に行くほどではないけど、腰痛がつらい」という人のために、ここでは自宅でできる簡単な対処法をご紹介します。具体的な方法は次の5つです。
- 急性は冷やし、慢性は温める
- ストレッチを行う
- ツボ押しを行う
- 湿布を貼る
- 寝方を工夫する
では、それぞれの項目について詳しく見ていきましょう。
腰痛の対処法1:急性は冷やし、慢性は温める
腰痛の対処方法は、急性腰痛か慢性腰痛かによって大きく2つに分かれます。
物を持ち上げたときや腰を捻ったときなどに突然腰が痛くなる、いわゆる「ぎっくり腰」などを急性腰痛と言い、狭い範囲に鋭い痛みが生じるのが特徴です。
急性腰痛の場合はダメージを受けた部分が炎症を起こしているため、まずは水で濡らしたタオルや氷のう、保冷剤などで患部を冷やして炎症を和らげるようにしましょう。炎症が治まらないうちに温めてしまうと、症状が悪化するケースもあるため注意してください。
一方、慢性腰痛とは悪い姿勢や運動不足、肥満、蓄積された疲労など、さまざまな理由により6ヶ月以上、慢性的に腰の痛みが続いている状態を指します。
慢性腰痛の場合は、腰まわりの血行を良くすることで痛みが緩和されることがあります。湯船に浸かって全身を温めたり、湯たんぽや使い捨てカイロなどを腰に当てて温めたりするのがおすすめです。また、寒い場所に長時間滞在すると血行が悪くなることがあるため、なるべく避けるようにしましょう。
腰痛の対処法2:ストレッチを行う
腰痛があったとしても多少動けるような場合は、腰まわりのストレッチにより痛みが緩和されることがあります。ここでは、腰痛改善のための簡単なストレッチ方法をご紹介するので、ぜひ無理のない範囲で行ってください。
腰痛改善のストレッチ方法
- 両脚を肩幅より少し広めに開きます。
- 両手を後ろに回して腰に手を当てます。指先は地面に向けましょう。
- 息を吐きながら、3秒ほどかけて手のひらでゆっくり骨盤を前に押し込みます。このとき、ひじを内側に寄せるのがポイントです。重心はつま先に置き、ひざが曲がらないよう注意しましょう。
上記のストレッチを3秒×10回、できれば毎日行うのがおすすめです。ただし、おしりや太ももにかけて痛みやしびれなど、なんらかの違和感が出た場合はすぐに中止してください。
腰痛の対処法3:ツボ押しを行う
即効性のある腰痛対策を探している人には、ツボ押しがおすすめです。東洋医学では、私たちの体には各器官とつながるツボ(経穴)が361個あり、特定のツボを押すことで不調を感じている部分に効き、症状が緩和されると言われています。
ここではツボ押しをする際のポイントと、腰痛改善の効果に期待できるツボ3つをご紹介します。
ツボ押しをする際のポイント
ツボ押しに使う指は、力を加えやすい「親指」がおすすめ。ツボに親指を当て、リラックスしながら深呼吸し、息を吐くタイミングに合わせてグーっとイタ気持ちいい程度の力で5秒ほど押しましょう。
ツボに対して指が垂直になるように押すのがポイント。押す回数は5回から10回ほどを目安にしてください。
腰痛改善の効果に期待できるツボ
腰痛改善の効果に期待できるツボを3つ紹介します。
【腰腿点(ようたいてん)】
腰腿点は手の甲に2箇所あります。1つは人差し指と中指の骨が接合する少し手前あたりのくぼみ、もう1つは中指と薬指の骨が接合する少し手前あたりのくぼみです。腰痛や生理痛のほか、便秘にも効くとされています。
【腎兪(じんゆ)】
腎兪は腰のあたり(背中側)に存在するツボです。へその高さで、背骨から左右に指2本分(約4センチほど)外側にあります。重いものを運ぶ日などは、あらかじめ腎兪のあたりに使い捨てカイロを貼っておくと、ぎっくり腰の予防になるとも言われています。
【委中(いちゅう)】
ひざの裏側の真ん中あたりにあるツボです。親指で押しづらい位置にあるため、両手でひざをはさみ、中指で押すと良いでしょう。湯船に浸かりながらでも押しやすいツボです。
腰痛の対処法4:湿布を貼る
腰痛を対処するには、湿布を貼るのも効果的です。急性の腰痛には炎症を抑えるための冷湿布を、慢性の腰痛には血行を改善するための温湿布を貼りましょう。
ただし、皮膚が弱い人は湿布でかぶれてしまうこともあるため要注意。「長時間貼りっぱなしにしない」「就寝時は貼らない」などの配慮が必要です。
腰痛の対処法5:寝方を工夫する
腰痛持ちの人は、腰が反りやすい「仰向け寝」や、腰に負担がかかりやすい「横向き寝」をすると痛みを感じる傾向があるため、寝方を工夫する必要があります。
まず、仰向けに寝る習慣がある人は、両ひざの下に丸めたバスタオルやクッションを置いて、ひざを軽く曲げた姿勢で寝るのがおすすめです。こうすることで反り腰になるのを防げます。
また、横向き寝の習慣がある人は、抱き枕や細長く丸めた毛布などを抱いて寝ると良いでしょう。背骨を正常な位置でキープしやすく、腰回りの筋肉にも負担がかかりづらくなります。
腰痛で起き上がれない・動けない場合の対処法

ぎっくり腰など、自分で起き上がれないほどの腰痛に見舞われたときには無理に動かず、まずは楽な姿勢で横になり、しばらく安静にしましょう。
休んでいるうちに少し痛みが和らいで動けるようになったら、痛みを感じる部分を10分から15分ほど冷やして様子をみてください。
腰痛を予防する方法

日常生活の中で腰痛を予防するおすすめの方法は、次の3つです。
- 日常の動作(姿勢やくしゃみ、寝方など)に気をつける
- 筋肉を柔軟にするストレッチや筋トレを行う
- 疲労やストレスをため込まない
では、それぞれの項目を詳しく見ていきましょう。
腰痛の予防法1:日常の動作(姿勢やくしゃみなど)に気をつける
腰痛は普段の姿勢や習慣がきっかけで起こっている場合が少なくありません。そのため、腰痛予防のためには日常の何気ない動作に気をつけることが肝心です。
猫背や反り腰、背もたれに寄りかかって座るなどの姿勢は、腰に余計な負担がかかります。あごを引いて背筋を伸ばし、良い姿勢を心がけましょう。
また、もともと腰が弱い人はくしゃみをしたときの衝撃で腰痛を起こすこともあります。そのため、くしゃみをするときは両ひざを曲げたり、自分のひざや机などに手を置いたりして、衝撃をうまく逃がすようにするのがおすすめです。
腰痛の予防法2:筋肉を柔軟にするストレッチや筋トレを行う
腰痛は筋力の低下や筋肉のこわばりが原因で起こることもあるので、予防のためには筋肉の柔軟性をアップするストレッチや筋トレを行うのがおすすめです。
デスクワークで座りっぱなしになることが多い人は、仕事の合間に座ったままゆっくりと上半身を前に倒し、背中から腰まわりの筋肉を伸ばしておくと良いでしょう。
また、寝転んだ状態で両ひざを両手で抱え込み腰回りを伸ばすストレッチは、お風呂上がりや就寝前にぴったりです。
筋トレは、まずは軽めのウォーキングや水中ウォーキングなどからスタートしましょう。ある程度体力や筋力がつき、慣れてきたら背筋を鍛えるトレーニングを取り入れるのがおすすめです。
腰痛の予防法3:疲労やストレスをため込まない
精神的な疲労や心理的なストレスがたまっていると腰痛が治りにくいケースがあります。そのため、腰痛を防ぐためにはきちんと睡眠や休息をとり、ストレスもため込まないようにすることが大切です。
「今日は仕事で疲れたな」「最近イライラすることが多い」と感じたときには、ぬるめのお湯にゆったりと浸かりましょう。副交感神経の働きが高まり、心身ともにリラックスできるはずです。
中には病気が原因で腰痛が起きているケースも

腰痛の多くは、腰まわりの筋肉や筋膜に慢性的な負担や急激な負荷がかかることが原因で起こりますが、中には病気が原因になっていることもあるため注意が必要です。
ここでは、腰痛の症状が現れる病気について紹介していきます。
腰椎椎間板ヘルニア
腰椎椎間板ヘルニアとは、腰痛、おしりから足にかけての痛みやしびれなどが現れる病気です。足に力が入らなくなったり、背骨が横に曲がって動きにくくなったりするケースもあります。
骨と骨の間でクッションの役割をしている椎間板という軟骨が、何らかの原因で正常な位置からズレ、脊髄や神経根を圧迫することで生じます。
病院での治療は、主に消炎鎮痛剤の内服や坐薬、痛みや炎症を抑える注射などで、場合によってはコルセットを装着することもあります。
泌尿器の病気│尿管結石、腎臓結石、腎盂腎炎、膀胱炎など
尿管結石や腎臓結石、腎盂腎炎、膀胱炎など、泌尿器の病気には腰痛の症状が現れるケースがあります。
これらの病気は放っておくと悪化するため、腰痛のほかに排尿痛や血尿、頻尿、吐き気、発熱、寒気などの症状が見られる場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。
婦人科の病気│PMS、卵巣腫瘍、子宮外妊娠など
女性の場合は、PMS(月経前症候群)や卵巣腫瘍、子宮外妊娠、卵巣捻転など、婦人科系のトラブルが原因でひどい腰痛が生じるケースも珍しくありません。
卵巣腫瘍や子宮外妊娠などは、初期段階では腰痛以外の症状がない場合もありますが、下腹部痛や不正出血が起こることもあります。気になることがあるようなら、一度婦人科を受診するのがおすすめです。
腰痛で病院を受診する目安とは?

もし軽い痛みだとしても、6週間以上腰痛が続く場合は、原因を特定するためにも一度整形外科を受診することをおすすめします。
また、痛みを感じる部分が赤く腫れている場合や、安静にしていても激しい痛みが治まらない場合は早期の治療が必要なケースもあるため、速やかに整形外科を受診しましょう。
まとめ:正しい対処法を身につけて腰痛を緩和しましょう

腰痛の対処法における1番のポイントは「急性腰痛は冷やす」「慢性腰痛は温める」ということです。逆になると症状が悪化するケースがあるため注意してください。
また、腰痛は筋肉の衰えや柔軟性の低下で起こることもあります。ぜひストレッチや筋トレなどを取り入れながら、腰痛が起こりにくい体を目指していきましょう。
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こちらの記事の監修医師
医療法人これのの会 みずい整形外科
水井 睦
略歴
平成7年 北里大学医学部卒。形成外科・一般外科・麻酔科等を経て、横浜市立大学医学部整形外科入局。大学病院・国立病院・共済病院他、さまざまな病院に勤務。
日本整形外科学会認定専門医
日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医
日本整形外科学会認定リウマチ医
日本体育協会認定スポーツドクター
身体障害者福祉法指定医
義肢装具等適合判定医
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