最終更新日:2021年12月8日
普段の食事から意識したい…副腎の回復に必要な3つの栄養素

こちらの記事の監修医師
末光 智子

目次
前回は、「副腎ケア」に大切な栄養と食事について解説しました。「副腎疲労を知る」第13回の今回は、副腎の回復に必要な脂質・ビタミン・ミネラルについて、詳しくみていきます。
副腎の回復に必要な脂質・ビタミン・ミネラルについて
「副腎疲労を知る」シリーズ第13回。今回は、前回に引き続き、副腎疲労からの回復に、とても大切な栄養面からの副腎ケアのポイントを解説します。
前回、副腎ケアにおける栄養のポイントを主に5つ挙げていました。
- タンパク質、脂質、炭水化物を、なるべく毎食取り入れる
- 適切な塩(ミネラルを含む海塩)を摂る
- 良質な脂質を摂る
- 質の悪い油を避ける
- ビタミン・ミネラルを意識する
今回の記事では、3?5の脂質・ビタミン・ミネラルについて解説していきます。
健康な体を維持するために必要な脂質・ビタミン・ミネラル
脂質の摂取は健康によくないと思っていませんか? 健康な体を維持するためには脂質の摂取を「避けなければならない」と思われがちですが、脂質は3大栄養素のひとつであり、体にとって大切な役割を担っています。
私たちの身体を構成する細胞ひとつひとつの細胞膜をつくり、副腎疲労のキーであるコルチゾールをはじめとするホルモンの原料です。また脳の成分の約60%は脂質です。こんな風に良質な脂質は生きていくうえで欠かせません。
体にとってとても大切な脂質ですが、脂質ならなんでもいいという訳ではありません。「どんな脂質をふだん摂っているか」によって、脂質が元気な体のもとにもなれば、さまざまな不調や病気、肥満など、体にもココロにも有害にもなり得るのです。まずはこの点をしっかり押さえましょう。
脂質にはいろんな種類がありますが、現代人のほとんどは炎症を起こしやすいオメガ6系の油(多くのサラダ油、大豆油、紅花油、ゴマ油など)やトランス脂肪酸を過剰に摂取していて、良質な脂質のひとつで、炎症を抑える効果があるオメガ3系の油やよい飽和脂肪酸とのアンバランスが生じています。
オメガ6系油の過剰摂取は、腸の炎症やアレルギー、アトピー、自己免疫性疾患などの炎症と関連してきます。副腎ケアでまずは腸のケアをしましょうと以前の記事で書きましたが、腸のケアとしても炎症を起こしやすい油を避けることはとても重要です。
しかし、残念ながら加工食品や外食などから知らず知らずこのオメガ6系の油を摂取してしまっています。
例えば、コンビニおにぎりの食品表示ラベルをみたことがありますか? 「原材料名」のなかに「食用植物油脂」と書かれていることが多いです。
「おにぎりに油?」と驚いたでしょうか。通常、家でおにぎりをつくるときに油を使うことはありませんね。しかし、一見油が使われていないようなものにも風味づけなどのために油が使われていることがよくあります。
「食用植物油脂」と書いてある場合、詳しい油の種類はわかりませんが、ほとんどの場合、安価で大量に入手しやすいオメガ6系の油です。こうした食品表示ラベルを確認するクセをつけてみて下さい。「こんなものにまで油が……」と驚くことでしょう。
ふだん使う油としては、加熱調理には酸化しない良質な飽和脂肪酸(ココナッツオイル、グラスフェッドバター・ギーなど)や青魚、クルミなどに含まれるオメガ3系の脂質を上手に摂取しましょう。
オメガ3系の油である、えごま油、亜麻仁油なども上手に取り入れて頂きたいですが、酸化しやすい油ですので加熱せずに摂取することや保管に注意が必要です。
一方、すでに書いたオメガ6系(いわゆるサラダ油など、多くの植物油)の油に加えて、マーガリンやショートニングに代表されるトランス脂肪酸の摂取は、避けるようにしましょう。
ふだんの食事からビタミン・ミネラルの摂取を意識する
ビタミン・ミネラルはいずれも大切ですが、副腎ケアの観点からとくに意識したいビタミン・ミネラルとして、ビタミンB群、ビタミンC、マグネシウム、亜鉛を解説します。
<ビタミンB>
ビタミンB群にはいくつもの種類のビタミンBが含まれています。ビタミンB1は細胞内で糖質からエネルギーを産生するミトコンドリア回路を回すために不可欠です。また、ナイアシン(ビタミンB3)、パントテン酸(ビタミンB5)、ビタミンB6は、副腎ホルモンの代謝経路でエネルギー生成したり、代謝経路で不可欠な酵素を形成したり、酵素を補助したりするためにも必須の栄養素です。
他のビタミンB群も含めて、これらは協働して働くためどれかひとつだけを摂ればよいというものではありません。ビタミンB群を含む、全粒穀物や肉、魚、卵、ネギ、ニラ、ブロッコリーなどのアブラナ科の野菜などを意識してふだんの食事に取り入れましょう。
<ビタミンC>
ビタミンCは副腎ホルモンの代謝やホルモンが実際に作用していく経路の反応において、大切な役割をはたしています。副腎ホルモンの産生が多いほどビタミンCは多く使われます。
ビタミンBとビタミンCは水溶性で、素早く使われたり、体の外へと排出されたりするため、まとめてたくさん摂るのではなくこまめに補充していくことが大切です。食事のたびになるべく意識して摂取しましょう。
<マグネシウム>
マグネシウムは副腎にとっても、また体全体の細胞のエネルギー産生という点でも、とても重要なミネラルです。現代人は食事からの摂取が減っていることに加えて、ストレスによる消費も増大しているためマグネシウム不足が顕著です。
マグネシウムは玄米や豆、ナッツ、種、昆布などの海藻や、にがり、天然塩に含まれます。こうした食品からの摂取以外にも経皮吸収効率も高いため、バスソルト(エプソムソルトなど)を活用してマグネシウムを積極的に補充することをおススメします。
<亜鉛>
亜鉛には腸の炎症を改善したり、免疫を調整したりする効果があります。また、細胞の新陳代謝を活発にしますので、骨や皮膚の形成や妊活にも必須のミネラルです。コロナの対策としても大切なミネラルのひとつで、冬の時期には牡蠣を食べるなど、意識して摂取しましょう。
これらのビタミンやミネラルは、食事からの摂取が基本です。しかし、日々摂取する食事からの栄養はまず今、毎日を生きることに使われます。
ストレス下では栄養素の需要が高くなり、使い切ってしまう場合が多いです。そういった場合、サプリメントでの補充も回復の助けになります。質や含まれる栄養素の量も意識してサプリメントを選びましょう。自分で難しい方は栄養療法に詳しい医師や専門家に相談してみて下さい。
次回は、食事以外の生活習慣やメンタル面での副腎ケアについて解説します。
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こちらの記事の監修医師
末光 智子
内科医。自治医科大学卒業後、愛媛で地域医療に従事。結婚後、三重県在住、四日市ヘルスプラス診療所(四日市消化器病センター 分院)勤務。日本内科学会認定総合内科専門医、日本医師会認定産業医。Body Element System Japan認定ピラティスインストラクター、ジョイ石井認定イメージングカウンセラー、プロフェッショナル・ファスティングマイスター。著書「すこやかで幸せになるために ココロとカラダを調える」(出版社:ギャラクシーブックス)
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