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最終更新日:2022年3月25日

気分は落ち込むけれど…医師がうつ病以外の「ある病気」を疑う8つのサイン【専門医が解説】

こちらの記事の監修医師
医療法人社団TLC医療会 ブレインケアクリニック
今野 裕之

※画像はイメージです/PIXTA

「眠れない」「気分が落ち込む」……このような症状があった際、多くの人がまっさきに思い浮かぶのは「うつ病」でしょう。しかし、ブレインケアクリニックの今野裕之名誉院長は、これらの症状について「うつ病以外にも多くの可能性が考えられる」といいます。今回はそのなかでも、うつ病と間違われやすい病気のサインと治療・予防方法についてみていきます。

うつ病以外にも多くの可能性がある「気分の落ち込み」

ある女性は眉間にしわを寄せ、本当に辛そうな様子でした。「1日中気持ちが沈んで苦しい」「不安と焦りで身の置き所がない」「布団に入っても何時間も眠れない」……そんな訴えを何度も繰り返していました。じっとしていることが苦しいのか、たびたび身をよじるように座る姿勢を変えています。

身近な人がもしこのようになったら、あなたはどんな病気を思い浮かべるでしょうか。多くの場合、その訴える内容からまず「うつ病」を想像するのではないかと思います。

しかし、気持ちの落ち込みや不安、不眠といった症状はうつ病だけにおこるものではありません。うつ病以外の心の病気だけではなく、身体の病気や薬による反応などによっても起こります。

今回はそのなかでも、うつ病とよく間違われやすい「双極性障害」について詳しく解説していきます。

「うつ状態」と「躁状態」が現れる…双極性障害の具体的な症状

双極性障害は「気分障害」というジャンルの精神疾患のひとつです。

気分障害として代表的なものが「うつ病」です。うつ病では主に気持ちの落ち込み、不安感など、ネガティブな感情が強く現れます。反対に気持ちが高揚しすぎる、元気になりすぎるという「躁(そう)病」という病気もあります。

双極性障害は、うつ病の症状が出る時期(うつ状態)と躁病の症状がでる時期(躁状態)の両方が交互に(あるいは同時に)現れる病気で、「躁うつ病」とも呼ばれています。具体的には以下のような症状がみられます。

■うつ状態
・気持ちが落ち込む
・不安・緊張
・気力が湧かず、なにもする気が起きない
・興味や関心を持てなくなる
・物事を楽しめなくなる
・自分を責める
・将来に対して悲観的になる
・食欲がわかない
・眠れなくなる
・集中できない
・決断できない
・頭が働かない
・疲れやすい
・体が重たい、だるい
・体重が過剰に増えたり減ったりする
・死んでしまいたいと思う など

■躁状態
・気分が明るくなる
・アイディアが次々に湧いてくる
・人の話に耳を貸さなくなる
・一方的に話し続ける
・根拠のない自信に満ちあふれる
・眠らなくても平気になる
・怒りっぽい
・じっとしていられない
・手当たり次第にいろいろなことを始めるが最後まで終わらない
・買い物や賭け事にお金をつぎ込む
・性的に奔放になる
・誇大妄想
・興奮 など

診察時に「双極性障害」を疑う8つのサイン

双極性障害は、10代〜30代の若い人がなりやすいといわれています。しかし、それ以上の年齢でも発症することはあります。

双極性障害の原因はいまだ不明であり、どのような人がなりやすいかということは十分にはわかっていません。ただし、うつ病のような症状がメインであっても、私が診察の場面で「双極性障害かも」と疑うポイントがいくつかありますのでご紹介しましょう。

・もともと気分が変わりやすい
・外交的な性格
・活動的な時期とそうでない時期がある
・食欲が通常より増している
・焦り、イライラ感がある
・うつ状態で苦しそうだが、口数が多い
・家族に双極性障害の人がいる
・抗うつ薬が効きにくい

うつ病とは使う薬も異なる…双極性障害の治療・予防法

一般的に、双極性障害は薬によって治療が行われます。

双極性障害では、セロトニンやドーパミンなど脳内の感情をコントロールしているホルモンのバランスが悪くなることが発症や症状悪化につながると考えられています。実際、このようなホルモンの量や働きに作用する薬を使うことで、症状が改善します。

ちなみにうつ病と双極性障害では、薬物治療の内容が大きく異なります。うつ病の場合は主に「抗うつ薬」が使用されますが、双極性障害の場合には気分の波を安定させる「気分安定薬」や、神経のたかぶりを抑える「抗精神病薬」などが用いられます(ただし、うつ状態がひどい場合などは注意しながら抗うつ薬を使うこともあります)。

症状が改善しても薬をやめてしまうと再発を繰り返す可能性が高く、再発を繰り返すたびに気分の変化のサイクルが短くなっていく傾向があるため、ある程度薬は飲み続ける必要があります。

また、ストレスは病気の再発につながるので、物事を否定的に考えやすい人には「認知行動療法」などの精神療法が行われることがあります。これは事実に基づいて物事を多面的に考えられるようにするトレーニングです。心理士の指導のもとに行いますが、本やインターネット、アプリなどでも学ぶことができますので興味がある方は探してみてください。

症状の改善・再発予防のためには、生活リズムを整えることが大変重要です。不規則な生活をしていると睡眠が浅くなって脳が十分に休息を取れません。生活リズムを整え、睡眠時間をしっかり確保しましょう。

セロトニンやGABAなど、気持ちを落ち着かせる作用があるホルモンは、タンパク質やビタミンB群などを材料として作られます。このような栄養を多く含む食材(魚・豆類・卵・肉など)を中心に、栄養のバランスを考えた食事を心がけてください。無理のない範囲で定期的な運動も続けましょう。

スマホやパソコン、テレビなどは必要がないときは見ないようにしてください。光や音によって脳が刺激され、疲れてしまいます。

心当たりがあれば一度病院で診察を

うつ状態のときは本人も苦しいので、医療機関の受診は比較的スムーズです。一方、躁状態では本人は元気に動けていると思っているので、病気であるという意識(病識といいます)を持ちにくく、病院に行くのを嫌がって受診が遅れがちです。

しかし躁状態は健康なときと比べて理性的に考える力や行動を抑制する力が低下していますので、そのときはいいと思ってやったことをあとから非常に後悔することも珍しくありません。また、重症化すると激しい興奮状態に陥って入院が必要になることもあります。

重症になればなるほどたくさんの薬が必要になり、回復にも時間がかかるようになりますので、できるだけ早期に治療を始めることが大切です。薬で症状をコントロールすることができれば普通に日常生活を送れるようになりますし、うまく症状と付き合って社会的な成功を収めている方もたくさんおられます。

「睡眠時間が短くなっても元気に活動できる」「以前と比べてイライラしやすくなった」などの変化があれば、もしかしたら躁状態かもしれません。少しでも気になるようなら、気軽に精神科を標榜する医療機関で相談してみてください。

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こちらの記事の監修医師

医療法人社団TLC医療会 ブレインケアクリニック

今野 裕之

ブレインケアクリニック名誉院長
一般社団法人日本ブレインケア・認知症予防研究所代表理事・所長

順天堂大学大学院卒業。博士(医学)・精神保健指定医・精神科専門医・認知症診療医・抗加齢医学専門医・リコード法(米国発のアルツハイマー病の統合治療プログラム)認定医。より根本的な認知症治療を実践するため2016年にブレインケアクリニック開院。各種精神疾患や認知症の予防・治療に栄養療法やリコード法を取り入れ、一人ひとりの患者に合わせた治療を行う。認知症予防の普及・啓発活動のため2018年に日本ブレインケア・認知症予防研究所を設立。2019年より現職。著書に「最新栄養医学でわかった! ボケない人の最強の食事術(青春出版社)」、その他監修など多数。

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