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最終更新日:2021年9月25日

何事もうまくいく人が無意識に理解している「脳科学的な事実」

こちらの記事の監修医師
 
西 剛志

何事もうまくいく人が無意識に理解している「脳科学的な事実」
何事もうまくいく人が無意識に理解している「脳科学的な事実」(画像=※写真はイメージです/PIXTA)

脳科学の最新の研究により、「私たちはわかりあえない」ということが明らかになりました。一見残酷にも思える事実ですが、実は「わかりあえない」ことを理解している人ほど人間関係の不安がなく、仕事から恋愛まであらゆる場面において成功しやすくなると言えます。一体どういうことなのか、脳科学の観点から見ていきましょう。

目次

  1. 人間関係で悩む人々に共通する「勘違い」
  2. 美容室で「イメージと違う髪型」にされがちな原因も…
  3. わかりあえない原因は「脳のバイアス」
  4. 「わかりあえない」と割り切ることこそ成功の近道
  5. 「表情」さえ、見え方に大きな個人差

人間関係で悩む人々に共通する「勘違い」

「なんで、あの人は私のことをわかってくれないんだろう?」

「どうして、あの人は何度言っても通じないんだろう?」

こんなことを思った経験はありませんか。

実は私たちの悩みの9割は人間関係から生まれていることがわかっています。そして、人間関係で悩む人にはある特徴があることもわかってきました。それは、「私たちはわかりあえる」という幻想を持っているということです。

このように言うと、えっ、他人とわかりあおうとするのは大切なことじゃないの!?と思われる方がいるかもしれませんが、最新の脳科学の研究では「私たちはわかりあえない」ということがわかっています。そして、ビジネスから恋愛まであらゆる分野でうまくいく人ほど「人はわかりあえない」ことを前提にコミュニケーションを行っています。

美容室で「イメージと違う髪型」にされがちな原因も…

みなさんは美容院に行って、思ったよりも髪を短く切られてしまったという経験はなかったでしょうか? 私自身も以前「短めにお願いします」と言って、終わってみたら想像以上に短くて驚いたことがありました。

これは私にとって「短い」と感じる長さは、相手も当然同じ程度の長さを想定しているだろう、つまり「わかりあえているだろう」と思っていたから、起きた事件です。

本当だったら「短めにお願いします」ではなく、「2cm切ってください」と自分が思う「短さ」を伝えていたら、問題は生じなかった可能性があります。

私たちは人それぞれ違う環境や、体験をしてきているので、自分にとっての「短さ」と相手にとっての「短さ」が、同じになること自体が奇跡に等しいのです。

わかりあえない原因は「脳のバイアス」

私たちがわかりあえないという事実をもっとわかりやすく説明しましょう。まずシマウマの写真を見てみてください。

シマウマ

 

(画像=シマウマ)

シマウマの縞について、「白地に黒いシマか、黒地に白いシマのどちらだと思いますか?」と聞かれたら、皆さんはどう答えますか?

ここで面白いのは、人によって見え方がまったく異なるということです。ちなみに日本人にこの質問をすると、その多くが「白地に黒」と答えます。しかし、黒色人種など肌の色が黒系の人にこの質問をすると、「黒地に白」と言う人が多くなります。

信じられないかもしれませんが、その人の肌の色によって答えが変わることがわかっていて、肌が白系のほとんどの人は、白地がベースだと答えるのです。

このことを専門用語で「脳のバイアス」と言います(バイアスとはもともと「偏っている考え方」という意味で、偏見などを生み出す根源になります)。実は私たちは、肌の色によって見える世界が違うのです。

ちなみに、タイに在住している日本人のサーファーの方で日焼けして肌が真っ黒な方がいらっしゃるのですが、奥様が彼にこの質問をしたところ、「黒地に白でしょ!」と言ったので、奥様が本当にビックリしていました。
ですから「白地に黒だ」と言っている人に、いくら「黒地に白だよ!」と言っても暖簾に腕押しで、どんなに主張してもわかりあえることはありません。

「わかりあえない」と割り切ることこそ成功の近道

私たちは「相手も当然、自分と同じことを思っている」という前提でコミュニケーションすることがありますが、そもそも私たちはそれぞれ違う世界を見ています。

そして「わかりあえるという幻想」を持っている人ほど、相手がわかってくれないことにイライラして、自分の意見を押し通そうとしたり、自分の正しさを主張したり、最終的には執着さえも生まれて、脳がストレスを感じます。

その結果、人間関係の問題が生まれてしまい、ひいては幸福度まで下がってしまいます。

一方で、ビジネスやスポーツ、恋愛などあらゆる分野でうまくいく人たちを見ていると「人はわかりあえない」という事実をよく理解していることがわかります。

彼らは脳科学の勉強をしたわけではありません。それまでの経験として「人はわかりあえる」ということに執着しても、時間ばかりが過ぎていき、ストレスも多く、何の実りも得られなかったことを体験的に知っているからです。

相手に執着するよりも「人はわかりあえない」、だからこれ以上言っても仕方がない、付き合い続けてもお互いにとってストレスになるから別の形を探そうなど、より前向きな姿勢になりやすくなります。

すると幸福度も上がって脳の状態までよくなるので、パフォーマンスが上がり、より素晴らしい成果を出しやすくなるのです。

「表情」さえ、見え方に大きな個人差

もう一つ、脳のバイアスの例をご紹介したいと思います。
みなさんはどちらの絵が「笑っている」ように見えますか?

表情の比較図

 

(画像=表情の比較図)

この質問においても、やはり答えが分かれます。Aが笑っているように見える人は、人の顔を見るときに「目の周辺」を見る傾向があることがわかっています。一方Bを選ぶ人は、人の顔を見るときに「口の周辺」を見ることがわかっています。

一般的に日本人はAが笑っていると答える人が多くなります。なぜなら感情表現が控えめな日本人は、世界と比較すると口を大きく開けて気持ちを表現する人がそれほど多くないため、口元の代わりに目を見てその人の感情を読もうとするからです。

一方で感情表現が大きい人(笑顔が多い、喜怒哀楽が激しいなど。欧米人に多い)が周りにたくさんいる環境で育った人は、口の動きだけで簡単に相手の感情を読めるため、相手を見るときは口の動きを無意識のうちに見てしまうことがわかっています。

ただし日本においてもここ最近は、海外から来た留学生や労働者も多く、英語教育のためにインターナショナルスクールに通う子どもや外国人と結婚する日本人も増えています。周りに感情表現が大きい人たちが多くいる環境で育つと、日本人であっても口を見て感情を読もうとする傾向が現れやすくなります。

実際、外国人の子どもや大人と接する機会が多い4歳のわが子に「どっちの絵が笑っているように見える?」と質問すると、何度聞いても「Bだよ」と答えます。

もし、ある人物を見て「素敵な人だったね!」と伝えたとき、相手から「そうかな?」という答えが返ってきたとしても、それはもしかすると、どちらかが人を見る目がないわけではなく、互いに見えている世界が違う可能性があるのです。

わかりあえないからこそ、理解しようとする姿勢が大切
私たちは「わかりあえる」という幻想にとらわれ、そのせいで人間関係で悩むことがあるかもしれません。しかし、「そもそも私たちはわかりあえない」という真実を理解できれば、心が随分と楽になることがあります。そして、確実に人間関係のストレスが減っていくことも期待できます。

そして、わかりあえないからこそ、相手をより理解しようとする思いやりに繋がることもあるでしょう。

以上、私たちがわかりあえないという事実を生み出す脳のバイアスをご紹介しました。本稿では2つだけ取り上げましたが、実はまだまだたくさんあります。詳しくは先月発売したばかりの『なぜ、あなたの思っていることはなかなか相手に伝わらないのか?』(アスコム)という書籍にも掲載させていただきましたので、ご参考になれば幸いです。

現在、バイアス関連の本が話題となっていますが、脳のバイアスの入門編としてもお役に立てれば嬉しいです。

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こちらの記事の監修医師

 

西 剛志

脳科学者
1975年、宮崎県高千穂生まれ。東京工業大学大学院 生命情報専攻卒。2002年に博士号を取得後、(財)知的財産研究所に入所。2003年に特許庁に入庁。大学院非常勤講師を兼任しながら、遺伝子や脳内ホルモンなど最先端の仕事を手掛ける。

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