最終更新日:2022年11月15日
足の踏み場もない…部屋を片付けられない「ADHD」の女性【医師が解説】

こちらの記事の監修医師
ゆうメンタルクリニック
安田 雄一郎 病院長

精神疾患の一種である「ADHD」。成人女性の発症率の増加が顕著となり、話題となっています。本記事では「ADHD」が疑われる女性の症状と具体的な治療方法をみていきます。
近年話題の「ADHD」…どんな病気なのか?
1番メジャーな精神疾患とはなんだろうか。はるか昔「統合失調症」と「うつ病」が、二大精神病と呼ばれていた。とはいえ多くの方に「統合失調症」はなじみが薄く、現代的に、「うつ病」がもっとも有名ではないだろうか。
さて、しかし。今回のメインはそこではない。いま、これらと同じくらい話題になっている病気がある。それこそが「ADHD」だ。ADHDとは「注意欠如・多動症」の略だ。ADHDの話がでるたびに、「あぁ、注意欠如・多動症ね」などと話せば、熱い尊敬の視線を得られること間違いナシだ。いや、ただウザいやつ、と思われるだけかもしれないけども。
なんにせよADHD、わかりやすくいうと「注意力がなかったり、落ち着かず動きが多くなってしまう病気」だ。あまりに大雑把な表現だが、とにかくそんなイメージでまずは覚えてほしい。「注意欠如」と「多動」のダブルがあるわけだ。とはいえ成人の場合、多動はそこまで問題にはならず、どちらかというと「注意欠如」のほうが問題になることが多い。
この「注意欠如」。その代表的な症状として・物事を順番にこなすのが苦手というものがある。はるか昔「片付けられない女たち」という書籍が流行したが、まさにそのタイプ。「とりあえず順番に部屋を片付けていこう」なんてことは苦手で、その結果、部屋がどんどん汚くなってしまう。
所狭しとモノが置かれる部屋に住む友人女性
具体的な記憶。そういえば学生時代のことを思い出す。ある友人の女性の家に行ったところ、足の踏み場もないほど部屋が汚れていたことがあった。女性の家に対するワクワク感が一瞬で吹き飛んだ。天国から地獄だった。抹茶アイスだと思ったらワサビだった、くらいの勢いだ。あの衝撃的な思い出は、いまでも思い出せる。
室内はもちろん、トイレやお風呂場に至るまで、激しくモノが置かれているのだ。トイレはモノをかきわけて行うにしても、風呂は無理だ。「いやこれ、使えないよね……?」そう確認すると、彼女は「使わないから大丈夫!」とにこやかに言った。なにがどう大丈夫なのか。一切、大丈夫さが湧いてこない。
よく聞いてみると、風呂は銭湯で済ませているらしい。解決になっているのかなっていないのかわからない。あらためて考えると、彼女はADHDだった可能性が高い、と思う。そういう意味では、精神医学の知識を体験できた、貴重なできごとだったと思う。そう思うことで、あの失われたワクワク感に折り合いをつけようとしている気がする。
なんにせよADHDの「注意欠如」により、多くの人は、段取りをつけて物事を進めることができない。
ADHDの治療法
さてこの場合、治療はどうなるのか。クリニックでは、医師の診察のほかに「WAIS」というテストが行われることがある。これは知能指数を測定するテストで、ADHDの傾向があるかどうかの参考にするのだ。そもそもADHD以前に「自分の知能指数がどれくらいか知りたい」という興味で受ける方もいる。
そしてADHDの傾向が疑われる場合、カウンセリングや薬物治療が行われる。それぞれの治療効果は人によってさまざまなので、気になる場合は、まずは近くのメンタルクリニックに聞いてみるといいかもしれない。
ちなみにカウンセリングにおいては、「少しずつ順番に物事を進めていく」ことの訓練が行われることがある。たとえば片付けられない場合、「まずはデスクまわりだけを片付ける」など、できることをひとつひとつ決めていくのだ。これによって少しずつ改善していくことも多い。もしあなたに心当たりがあれば、試してみるといいかもしれない。
ちなみにその学生時代の女性にも、同様のアドバイスをしたことがある。すると答えはこうだった「ふぅん、いつかやってみる」。その後にもう一度訪ねたところ、一切変化していなかった。しかも悪化していた。どんな治療も、本人の意志がないと効果はゼロだと思った。思い出深い記憶である。
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こちらの記事の監修医師
ゆうメンタルクリニック
安田 雄一郎 病院長
精神科医。
東京大学理科Ⅲ類に入学し、同大学医学部卒業。
「つらいときに、すぐ」受診できる心療内科「ゆうメンタルクリニック」と皮膚科・美容皮膚科の「ゆうスキンクリニック」を設立。
現在都内近郊(上野、秋葉原、池袋、新宿、渋谷、品川、大宮、横浜)・大阪にグループ12院を展開する。
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