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最終更新日:2022年11月4日

医師が研究しなければ日本は衰退する?研究に半生を捧げた医師が抱く後進への危機感

こちらの記事の監修医師
女子栄養大学
香川靖雄

先進国で唯一、論文の数が減少した日本。かつてアメリカに次ぐ世界2位の水準を誇った日本の研究は、なぜ衰退してしまったのか。ミトコンドリア遺伝子の調査など、多くの分野に功績を持つ香川靖雄先生は、研究軽視の大学制度や医学制度に原因があると語ります。現在の日本の学術分野に欠けているものとは何なのか。香川先生の足跡をたどりつつ、お話を伺いました。

先進国で唯一、論文数が減った日本

日本の医学界と研究の現状についてお聞かせください。

今の日本の医学制度は、研修が多く、なかなか研究ができないような仕組みになっています。発表する論文の数も減少してしまいました。

かつての日本の論文数は、アメリカに次ぐ2位というトップレベルでした。ところが、今は世界で10番目です。論文の数が減った先進国というのは日本だけです。

どうして研究が衰退してしまったのですか?

現状の日本の大学制度では、大学を法人化し、国がお金を出さない方針にしています。「自分たちで寄付を集めなさい」という形です。そのため、いっぺんに研究は衰えてしまいました。

反対に、研究が盛んになっている国はありますか?

中国です。科学研究でも、論文の数でも、質でも世界を圧倒しています。今、中国はアメリカよりも上なんです。それは日本の戦後の発展を見て、「どんな困難があっても科学技術を発展させなければ」と思っているのだと私は感じています。

戦後の貧しさの中で研究に見出した活路

先生が医師と研究者を目指すまでの経緯をお聞かせください。

初めは東大の教養学部にいました。戦争の末期に父が亡くなったため、母に万一のことがあれば、私が兄弟を養わなければいけません。当時、給与が良いところといえば鉱山でしたから、鉱山学を選択しました。その後生活が落ち着き、医学部に進むことができるようになりました。

医師を志したのは何故ですか?

医師になって大勢の人たちを助けたいと思ったからです。それは両親が医師だったからですね。

父(香川昇三)は東大の第一内科の講師でした。ただ医師であるというだけではなく、脚気の治療を研究しながら内科医をしていたのです。戦前に母(香川綾)と一緒に、「女子栄養大学」という、栄養士を養成する学校を作りました。私が医学部に進めるようになったのも、残された母が学校を守り育て、その経営が軌道に乗ったからでした。

先生が医学部に進んだ当時は研究が盛んだったのですか?

私の時代は戦後の非常に貧しい時代でした。東大の食堂で食事しようと思っても、米穀通帳がないとダメなんです。そのくらい日本が貧しくて大変な時に、みな非常によく研究をしていました。

日本は資源に乏しく国土も限られた国です。災害も多く起こります。「そういう国が生きていくためには、科学技術しかない」という思いで、盛んに研究をし、技術が進んでいきました。ですから私は、どんなに困難でも、医学部も理学部も、もっと研究を進めていく必要があると思います。

先生の研究分野と、ご専門についてお聞かせください。

医化学の中でも、生体エネルギー学が専門です。「化学」は物質の学問で、「医」は人体の機能や病気を扱います。「医化学」はその両者です。「どうしたら人間の体からエネルギーが出てくるか」ということを私は研究しました。それが「生体エネルギー学」の領域にあたります。

人体のエネルギーの大部分は、細胞の中のミトコンドリアという小さい器官から発されます。そのミトコンドリアにはいろいろな病気が起こります。病気の時にミトコンドリアの遺伝子がどう変わるか、どこが変わったかということを調査し、発見しました。そして、その変化を防ぐための研究をしました。

どのような病気の治療に役立ちますか?一例をお聞かせください。

病気との関係でお話しますと、現代は皆さん年齢を重ねてから出産しますので、ミトコンドリア遺伝子が傷ついてしまいます。そのため、大勢の人が生まれながらにして病気を持ってしまうことが多いわけです。

一方、若い女性の卵子には元気なミトコンドリアがたくさんあります。それを置き換えることで、元気な子どもを作ろうという、一種の「遺伝子治療」が例として挙げられます。私は遺伝子治療学会の会長も務めました。

課題を技術でクリアする欧米の生殖医療。導入を阻む日本の壁とは!?

卵子の「遺伝子治療」は、日本でも行われているのですか?

いいえ、日本ではまだ許可されていません。それは「倫理的な問題があるだろう」ということです。

卵子のミトコンドリアを置き換えると、二人のお母さんができるわけです。ミトコンドリアを別の人からもらい、核の大部分の遺伝子は実際の母親からもらうことになります。ただ、ミトコンドリアの遺伝子は量が非常に少ないものなのです。

世界ではどうですか?

欧米では、ミトコンドリアの提供者は母親ではなく、ただの「臓器提供者」という考えです。欧米では非常に早い時期から、私たちが研究した方法を使って、元気なお子さんが大勢育っています。

出産年齢の高齢化は、特に先進国では時代の流れとして当然起こることですよね。

これから更に女性の社会進出があります。今の日本でも非常に晩婚化が進んでいて、初産の年齢が30歳を超える例が多くなっています。人類というのは、だいたい20代の初めくらいに子どもを生むというのが一番いいんですね。欧米ではそのことに対して、「もし障害児が生まれてしまうのであれば、防いでいこう」という考え方があります。

最先端の領域を扱ってこられたのですね。先生にとって研究の醍醐味とは何でしょうか?

やはり、新しい発見をしていくというところが一番感激します。実験というのは、考えたようには上手くいかないものです。でも時々、大変上手くできて、論文になり、多くの人が喜んでくれる。苦労が多いけれども、乗り越えて問題を解決したとき、うれしく思います。

最後に、日本の若い医師や研究者たちにメッセージをお願いします。

ぜひ「研究が出来るような体制に戻さないと」と、危機感を持っていただきたい。そして、どんな苦労があっても研究を進めてもらいたいですね。

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Opinion Leader

女子栄養大学

香川靖雄

【専門分野・研究課題】
生化学・分子生物学・人体栄養学。
主に生態エネルギー学を中心に、ATP合成酵素とその周辺の反応を研究。特に高齢者の心身機能の低下はミトコンドリアの活性低下が大きな要因であるので、その解明を行っている。

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