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最終更新日:2022年4月1日

口腔乾燥症(ドライマウス)、大人だけでなく子どもにも…“口腔内の 水分”について歯科医師か゛解説

こちらの記事の監修医師
六本木しみず歯科
清水百合 院長

(写真=PIXTA)

口腔乾燥症とは

口腔乾燥症は別名ドライマウスと呼ばれています。お口の中の水分は唾液。唾液分泌が減り、乾燥した状態のことを口腔乾燥症、ドライマウスといいます。では唾液はどこから出てくるのでしょう?

唾液のしくみ~大唾液腺と小唾液腺

人体には唾液腺という構造があります。唾液腺には大きいものと小さいものがあり、それぞれ大唾液腺、小唾液腺と呼ばれています。そこでつくられた唾液は口腔内に分泌されます。

大唾液腺は3つに分類されています。

  • 耳下腺
  • 顎下腺
  • 舌下腺

小唾液腺は口腔粘膜やのどの粘膜にあります。唾液分泌がご自身ではっきりわかる人は、口の中の頬の内側や、下の前歯の裏側に位置する歯肉の一部分から、唾液が出てくるのがわかることもあります。

症状・特徴

1.摂食時の手助けをしている水分

一般的に口腔内の水分・唾液は口腔内を保湿し、歯肉や口腔内の粘膜、舌、頬粘膜等を潤わせ摂食時の手助けをしています。食べ物の塊は、上下の歯で咀嚼され舌や頬粘膜にぶつかりながら小さく砕け、咽頭の奥へ入っていきます。咀嚼された食物が特にかたい固形物の場合は、柔らかい歯肉、粘膜、舌にあたると傷つけることがあります。また嚥下の際には水分とともにごくんと飲み込まれていくのが常ですので、ドライマウスの場合、飲み込みにくいという症状が出ます。特に小さいお子さんや高齢の方は慌てて食べようとしたり、飲み込む力が弱かったりと、口腔内の水分が少ないことが悪い方へと作用してしまう場合がありますので注意が必要です。摂食障害、嚥下障害のことです。

2.水分は口腔内細菌の増殖を防いでくれる

口腔内細菌は大きく、虫歯菌と歯周病菌に分けられますが、それぞれにも多くの種類が存在します。そしてこれらが集まった口腔内の細菌の状態を、『口腔内細菌叢(口腔内フローラ)』と呼びます。口腔内細菌叢はどんな人の口腔内にも存在していますが、その数や種類によって善玉菌、悪玉菌、日和見菌のバランスが変わり、口腔内を良い状態に保ったり病気へと導いたりします。みなさんがよくご存じの「腸活」という言葉がありますが、こちらは腸内を整えること。腸内細菌叢(腸内フローラ)の話ですね。

少し話が飛びますがこの2つの細菌叢は決して無関係ではなく、口腔内細菌叢と腸内細菌叢はお互いに関連しながら身体全体へ影響を与えています。そのため、両者を整えることが健康へ導くための良い方法と言えます。

口腔内細菌叢のバランスを崩し、疾患リスクが高まると、口腔内で起こる虫歯や歯周病といった症状だけでなく、全身でのさまざまな疾患も引き起こしていきます。

全身疾患例としては以下が挙げられます。

  • 糖尿病
  • 認知症
  • 心臓疾患
  • 不妊症、流産、早産
  • リウマチ
  • そのほか

口腔内細菌のうち、虫歯菌が多い場合は虫歯になりやすく、歯周病菌が多い場合は歯周病にかかりやすくなります。どちらも歯磨きや、クリニックでの定期健診、プロフェショナルクリーニング等をおこない予防をします。ところがドライマウスの場合、口腔内の水分が通常よりも少ないことで、ケアをしていない時間帯にこれらの菌の増殖が激しくなり、菌の数が増えてしまいます。

つまり口腔内の水分量を正常に保つことは、口腔内細菌のむやみな増殖を防ぐ1つの方法になるということです。

3.ウイルス等から守ってくれる

口腔内が乾燥していると、外的要因からの影響を受けやすくなります。ここでいう外的要因とは、風が吹いてくること、気温・湿度の変化、インフルエンザや新型コロナウイルス、花粉、ホコリ等のことです。

実は口腔内にある水分=唾液には素晴らしい作用が沢山あります。その1つが、抗菌・抗ウイルス作用。

物理的に入ってきたホコリや花粉、ウイルス等が口腔内にくっつき体内へ飲み込まれていく際に、唾液の抗菌・抗ウイルス作用が働くと、感染のリスクを低下させることができます。

うがいや歯磨きをして口腔内を清潔に保つだけでなく、唾液による疾患予防を心掛けられるといいですね!

4.口臭を防ぐ

口臭は食べた物のにおいが残る場合や、その後の消化の状態などによって、胃腸が弱っている場合などにも起こりますが、歯磨きが足らず食物残差が腐敗し、口腔内の水分が減り乾燥した状態で菌が増殖すると口臭がひどくなります。菌の増殖により、歯垢・プラークが増え、においの原因になるからです。

ドライマウスもしっかりケアしましょう。

唾液のはたらき

唾液には「潤す、保湿」や「抗菌・抗ウイルス作用」以外にも沢山の作用や働きがあります。ここで改めてまとめて見てみましょう。

唾液の作用(唾液の作用はたくさんある!)

  • お口の中を潤し、動かしやすくする
  • 発音しやすくする
  • 入れ歯などの適合を良くする
  • 食べたり(摂食)飲みこんだり(嚥下)を手伝う
  • 保湿、口腔内を潤す
  • 味覚に関係(食べ物の味や、異物や毒の排除)
  • 外部からの細菌侵入をおさえる(IgA抗体)
  • 抗菌作用、抗ウイルス作用
  • 発がん抑制作用(カタラーゼ、アミラーゼ)
  • 抗酸化作用(ラクトペルオキシダーゼ)
  • アンチエイジング、成長、治癒触診(パロチン)
  • 消化促進作用
  • そのほか

乾燥の原因は?

日常生活において、お口ぽかん(開口状態)をよく見かけます。口を開けたままでいると、さまざまな物質が口から侵入します。乾燥もしますね。お口ぽかんは乾燥の原因の1つです。

「そもそも『お口ぽかん』はどうしてなるの?」ということについてもお話しないといけないと思いますが、そちらについては下記リンク頁をご覧下さい。どなたにも読みやすいように書きました。

https://ishachoku.com/supervised-article/10398/

また、お口ぽかん以外の乾燥の原因には、

  1. 病気
  2. 加齢、老化
  3. 抗うつ剤や降圧剤などの副作用
  4. 緊張やストレス
  5. 喫煙
  6. そのほか

が挙げられます。

唾液や唾液腺に関連する疾患の種類

  • 唾石症…唾液腺が石で塞がる病気
  • シェーグレン症候群(自己免疫疾患)
  • 糖尿病…歯周病と関係が深い全身疾患
  • 腫瘍
  • おたふく風邪
  • 甲状腺疾患

など

対策法

直接の対策としては以下が挙げられます。

1.唾液分泌を促す→沢山噛む。早食いしない。口をよく動かす。
 マッサージをする。ファーストフード等の柔らかい物ばかりを食べない。

2.水分をしっかり摂る。

  • 歯磨きをして口腔内環境を整えます。歯磨きは、起床後の食事前、食後、就寝前にしましょう。
    特に朝起きてすぐ何かを飲んだり食べたりするのはやめましょう。寝ている間に口腔内が乾燥し増殖した菌をそのまま食べたり飲んだりしない方が良いですね。
  • こまめにうがいをしたり、薬用成分配合のマウスウオッシュを用いたりしましょう。
  • 舌も磨きましょう。鏡で見るとわかるように、舌の表面には凸凹や溝があります。この凸凹を構成するのは、味を神経から脳へ伝えて味覚を感じるための味蕾細胞などです。また、生まれつき舌に切れ目の入った溝舌の方もいます。胃腸が弱めな方などに見られますが遺伝的な要因もあります。特に口腔内を清潔にすると良いでしょう。

    舌は普段は軽く柔らかく舌ブラシをあてて磨きます。特に乾燥してしまったときは、先に水分をつけ、ブラシで舌を傷つけないように注意しながら磨きます。舌の表面には食物のカスや菌がつき、白くなっていることもあります。
  • 病的に乾いたと思うときは口腔内ジェルや蜂蜜を塗りましょう。
  • 歯科医院へ相談、歯科ドッグ検査、定期検診に行きましょう。

 

更に大きな身体全体の対策として、抗酸化作用、抗糖化作用を用い、体質改善からしていくことが挙げられます。治療と同時に、予防歯科、アンチエイジングをする領域になります。

* 酸化とは、身体が老化、疾患リスクが高まる原因となる余分な活性酸素が増えることです。活性酸素は通常2つの対で存在するときは安定していますが、余分に1つ残ると不安定なものとして酸化への道をたどります。

これを妨げるのが抗酸化作用です。

* 糖化とは、体内の糖分と古くなった蛋白質が結合した状態のことで、みずみずしかった皮膚が加齢とともにしなびて黒ずんだり小さく縮んでいるのも糖化の状態です。この糖化という状態をなるべく引き起こさないようにします。これを抗糖化作用といいます。

酸化、糖化の原因はさまざまあります。抗酸化作用や抗糖化作用で対策とする場合は、日常の生活習慣の改善や食事療法などをおこないましょう。

まとめ

唾液は昼と夜で性状が異なり、その理由は交感神経、副交感神経が優位となる時間帯の違いにあります。加えて、唾液の量は健康人でも個人差があります。年齢による量の違いは、例えば小児でよだれを垂らしている子を見かけることでもわかるでしょう。

まずは毎日の歯磨きを継続し、乾燥したと感じる場合はうがいや水分補給をし、気になる場合は歯科医院へ相談にいきましょう。口腔内の病気、メンタル疾患、全身疾患など、どれも早期発見・早期治療をしたいところです。

参考文献:

「忙しいあなたのための歯科治癒食」東京臨床出版(株) 清水百合著
「アンチエイジング歯科医からの積極的治癒食」フレグランスジャーナル社 清水百合著

 

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こちらの記事の監修医師

六本木しみず歯科

清水百合 院長

(一社)オーラルビューティフード協会 代表理事
日本元気キレイ医歯学研究所 代表
六本木しみず歯科 院長(歯科医師・料理食育研究家・アーティスト)

長年の臨床経験と共に患者様の健康・予防に繋がる食・生活習慣やアンチエイジングを指導、口腔からの心身に優しい情報を発信している。
歯科グッズに限らず、コスメ・食品等の企業商品開発、監修、講演、コンサルティング、店舗プロデュースに携わる。全国の歯科医院や企業の研修を引き受け、お口からの健康促進、HAPPYな暮らし方を伝えている。医学会の大会長、著名人とのトークショー等も務める「歯・口のスペシャリスト」。

【メディア出演】
TV「中居正広のミになる図書館」 「林先生の初耳学」
ラジオ「Dr.百合のCOME噛むAging」ほか多々
【執筆、著書】
「アンチエイジング歯科医からの積極的治癒食」フレグランスジャーナル社
「忙しいあなたのための歯科治癒食~dentalスムージーsoup」東京臨床出版 
日刊ゲンダイ「Dr.清水百合の衣食住 気ままな連載コラム」、婦人公論、安心
歯科専門月刊誌「小児歯科臨床」「矯正臨床ジャーナル」「アポロニア21」
公益社団法人東京都学校歯科医会広報誌「歯に良い料理」 連載中
日本歯科新聞エッセイコラム「Dental小町が通る」2022.4月~連載
ほか多々

(一社)日本健康医療学会 常任理事
(一社)健康促進開発機構 理事
元順天堂大学大学院医学研究科加齢医学制御 協力研究員(在籍)
健康医療認定医 / インビザライン認定医


【六本木しみず歯科 HP】
https://roppongi-shimizu-dc.com/
【一般社団法人オーラルビューティフード協会 HP】
https://www.oralbeautyfood.com/

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