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最終更新日:2022年4月28日

口腔ケアは歯磨きだけでなく「食・栄養&ライフスタイルの改善」で!〈予防歯科編〉【料理食育研究家のアンチエイジング歯科医が解説!】

こちらの記事の監修医師
六本木しみず歯科
清水百合 院長

※画像はイメージです/PIXTA

歯は、長く健康でいられるために必要な、多くの働きを担っていることをご存知でしょうか。口腔疾患に対しする予防法について、食や栄養素、ライフスタイルという観点からみていきましょう。

日本人の口腔疾患と食・生活環境変化の歴史

甘いもの好きの方、白砂糖を多く含むジュース依存症の方は、歯や骨を溶かすリスクが高く、虫歯を増やしてしまうと言われてきました。

勿論その通りなのですが、「日本には虫歯の子どもが多い」というイメージは、ひと昔前のものです。50年以上前に第二次世界大戦が終結して以降、日本の食生活や文化、環境は大きく変化してきました。

それまでの和食や魚が主だった食生活が一変し、欧米発祥の肉料理など脂質の多い食事が増えました。また世の中の生活の仕方が慌ただしくなり、ファストフードと呼ばれる、ハンバーガーやフライドポテトなどの短い時間で食べられる出来合いの食事の機会も多くなりました。

そのせいで固いものをよく噛む習慣が減り、柔らかいものを噛まずに飲み込む、早食いをする人が増えました。

以前は30歳台以上の年齢の人達が罹患していた歯周病ですが、これらの影響もあって小学生児にも多く見られるようになりました。顎の発育も変化し、細面(ほそおもて)の顔立ちが増えました。

歯科医師は修理屋ではありません。痛い歯や壊れた補綴物(ほてつぶつ)を治して終わりでなく、その後いかにQOLの高い生活を維持できるか、年齢や環境に適したライフスタイルのフォローをするかということも大切で、それが予防歯科の領域でもあると筆者は考えています。

時折お仕事でご一緒する金田賢一氏は、俳優・カタリカであると同時に介護ヘルパー2級の資格を持ち、高齢者に対するさまざまな経験を積んでいらっしゃるのですが、やはり口腔に対して同じような考え方を仰っています。

健康な歯・口腔は、そこからがスタートです。しっかり噛んで唾液を出すことで、食事がよりおいしく味わえます。会話の際もお口を動かすことできちんと相手に聞こえる発声ができるようになりますし、身体を支える足腰は歯と歯を噛み合わせる力にも支えられています。

そのほかにも歯は、長く健康でいられるために必要な多くの働きを担っています。

口腔は、脳や他の臓器とともに、身体全体の機能を(つかさど)るといっても過言ではないでしょう。

甘味料の使い分けをしよう

ここでは口腔疾患に対しての予防法として、甘味料の使い分けについてお話します。

甘いものから歯科疾患が増えるという話ですが、甘味料を使い分けることで口腔二大疾患に対応できる場合があります。

冒頭の白砂糖を多く含むジュースについては、たとえばこれをキシリトールに置き換えると虫歯予防になります。

甘いものの摂り過ぎは子どもの虫歯に限らず、成人以上の年齢ではメタボリックシンドロームなど、さまざまな生活習慣病のリスクにも大きく影響しています。

そのため甘味料の使い分けをすることは、それらのリスクを減らすという目的もあり、その目的を達成させる行為にもなります。

虫歯や歯周病の予防のために歯磨きをし、口腔ケアをするのは常ですが、甘味料の使い分けや栄養素、食材の選び方など、工夫しだいで病気を予防したり改善に導いたりすることもできます。

現在世界中が最も気を付けなければならない疾患の1つ、新型コロナウイルスが発生してからここ数年のコロナ禍において、オーラルケアの重要性について目にしている方も多いと思います。

それらの対策方法として歯磨き・うがいといった口腔を清潔にするだけではなく、食事療法、栄養学からアプローチするという観点もあります。

多くの全身疾患に対し病院で栄養指導がなされるように、口腔疾患に対しても、食事・栄養指導は必要なことに違いはありません。

そこで私は「歯科治癒食育学」と命名した、お口から全身やメンタルのための食事やライフスタイルの学問を作りました。

虫歯や歯周病予防のための直接的な口腔ケア

虫歯や歯周病を予防するための直接的な口腔ケアには以下の7つが挙げられます。ここでは、かいつまんで解説をしましょう。

  1. 歯を磨く
  2. フロスを用いる
  3. 歯間ブラシを用いる
  4. うがい、マウスウオッシュを用いる
  5. オイルプリング
  6. 日々、水分を補給する
  7. 歯科医院でプロフェショナルクリーニングを受ける

1.歯を磨く

歯磨きは通常、幼いころから親から学び習慣化します。そのため歯磨きのしかたも、家庭ごとに多少の違いがあるでしょう。

歯磨きをするうえで一番大切なことは、「いつ磨くか」と「継続できるか」です。

歯磨きをする重要なタイミングは以下の3つです。

①起床後すぐ

朝、何かを口に入れ食べたり飲んだりする前に歯を磨きます。

就寝中に乾燥した口腔内では多くの口腔内細菌が繁殖し、汚れた状態になっているからです。歯磨きをせず食事をすれば、多くの菌を食べ物と一緒に体内に取り込んでしまうことになります。

②食後

できれば朝昼晩の毎食事の後に歯を磨くのが理想なのですが、仕事中などの昼食後、時間がしっかりとれない場合は、マウスウオッシュ(4)などを用い、うがいをしておくことも大切です。

水でうがいをする場合、口腔内の簡単な食物残差や糖分は取れると思いますが、殺菌・抗菌作用成分が配合されたマウスウオッシュを用いることで、口腔内はより清潔になり疾患を予防することができます。また、口臭対策にもいいでしょう。

③就寝前

寝る前には歯磨きをし、口腔内を清潔にして寝ましょう。通常の歯磨きだけでなく、オイルプリング(5)をするのもいいでしょう。

オイルプリングとは、インドのアーユルヴェーダでは白胡麻油を、南国ではココナッツオイルを用いて行われる口腔ケアです。口腔内に食用油を垂らし、時間をかけてくちゅくちゅすることで口腔内を清潔にします。

油をくぐらせた後は吐き出しますが、その後水等でうがいをする必要はありません。この油が清潔な口腔内を保つのに作用してくれるというケアの方法です。家庭内に食品として常備できる食用油の用い方の1つでもあります。

2.フロスを用いる

フロスとは、歯と歯の間についている汚れ、歯垢、プラークなどをかきだす糸のことです。

食べたものが挟まりやすい部分などに用いますが、通常の歯ブラシでは歯と歯の間の汚れを歯磨きでは取り切れないのが普通ですので、全体をフロスで磨くこともよいでしょう。ワックスがついているもの、ついてないものがあります。

3.歯間ブラシを用いる

歯間ブラシは、必要な人が行います。必要な人とは、歯と歯の間の隙間が通常より空いている、歯肉が退縮し、歯と歯の間の歯肉がなくなり、隙間が見えているような人のことです。それぞれの隙間の大きさは異なるはずですので、隙間に適したサイズの歯間ブラシを用います。大き過ぎる歯間ブラシを用いてしまうと、隙間がさらに大きくなるという失敗がおこりえます。歯間ブラシのサイズや使い方などは、歯科医院で聞いてみると良いでしょう。

6.日々、水分を補給する

人間の身体を構成する約60%(成人の場合)は水分です。乳児の場合は更に多い約80%を占めています。そして口腔に存在する水分は血液と唾液です。血液は組織の中の血管内を通っていますので、出血時にしか見られません。

唾液は口腔を潤し、舌や唇をなめらかに動かすための助けになり、食べ物を体内へと運ぶ役割を果たします。唾液の量には個人差がありますが、年齢や環境によっても異なります。

唾液が少ないと、唾液の持つ自浄作用が働きにくくなりますので、口腔内細菌が増殖し、口腔疾患リスクが高くなります。そのため、日々の水分をしっかり摂取することは、直接的な口腔ケアの1つになります。

水分摂取量は、腎臓病などでコントロールを必要とする場合を除き、通常食事以外で、1日に1.5~2L必要だといわれています。身体が冷え、水分を体内に蓄積してしまう水太りや浮腫みがある場合は体質改善が必要ですが、通常は体内の水分は日常の中で汗や涙、尿、皮膚からの乾燥等により交換されています。

間接的な口腔ケアは、食事や生活習慣で

次に間接的な口腔ケアについて、以下の2つの観点から説明します。

  1. 食事・栄養
  2. 生活習慣~運動、睡眠、心~

1.食事・栄養

食事・栄養についてできることは、伝えきれないほど多くあります。誰もが毎日何かを食べ、生きるエネルギーにしているため、日々の積み重ねでカラダが変化していくからです。

Q. 毎日摂取する食べ物はどのように選んでいるでしょうか?

A. 選ぶ基準としては、好きなもの、予算、身近にあるもの、買いやすいもの、家族構成や年齢、既往歴などが挙げられるでしょう。どこで食べるか? などにも関係しているはずです。

日常の食事のちょっとした部分から意識して改善していくことが、東洋医学でいう未病(まだ病気になっていない段階、病気になるかもしれないけれど気を付けていれば発症せず改善するかもしれない段階)のうちに、自分の状態を良い方向へもっていくことに繋がります。

例えば高血圧の方が塩分に気を付ける食生活を送るように、口腔疾患の場合でもそれぞれの疾患の特徴に合わせて食べるものを選択していきます。

その1つが初めにお伝えしました甘味料の使い分けです。普段使いできる甘味料は10種類以上ありますので、虫歯、歯周病、ドライマウス、口内炎、口唇炎……と使い分けることができますね。

さらに歯周病は糖尿病、認知症、早産など多くの全身疾患にも結び付いていることが分かってきていますので、口腔疾患のリスクを減らすための食事改善は、同時に全身疾患予防にもなります。

甘味料の使い分け以外にも、口腔のためにできる食事改善、生活習慣改善は沢山あります。

ここでは簡単にご紹介しておきましょう。

《口腔のために摂取していただきたい食材、栄養素》

主に

・ビタミンD(歯、骨、皮膚粘膜)

・ビタミンC(歯肉、歯周病)

・タンパク質(皮膚粘膜、全体)

・カルシウム(歯、骨)

・亜鉛(味覚障害)

・マグネシウム

・リン

・水(唾液、血液、細胞、ミトコンドリア)

など

2.生活習慣~運動、睡眠、心~

食事以外の生活習慣にも気を付けるとよいでしょう。

現在、超高齢社会となり平均寿命も延びていますが、健康に日々を過ごせる、自立して生活できる健康寿命(足腰が弱り介護が必要になる前の段階)から平均寿命までの年数差が大きいことが問題となっています。

健康寿命を延ばすためには、お口からの健康を維持・増進させると同時に、ライフスタイル全般を見直すことが大切です。

・程度や時間を考えて運動をする

・運動により筋肉を維持・強化する際に補う食生活(相乗効果を考えた摂取方法)

・睡眠、休息をしっかり取る

・ベッドには0時ごろまでに入る(体内時計、自律神経を整える)

・電気を消し暗くして寝る(神経やインスリンそのほかに関係)

・夜中には夜中の身体の働きがあること、自律神経と副交感神経のこと、身体と脳の両者を休めることに気を配る

・ベッドの横にはいつでも飲めるように水を置く(脱水、梗塞予防対策)

・夜中にトイレに起きる場合はトイレの温度を室内と同じにしておく(冬は特に注意)

・仕事や人間関係などのストレスは溜め込まないようにする

・自分の心のよりどころやリラックスできる環境、好きなものを作る

など。

より良い自分に適したライフスタイルを整えられると、疾患リスクを減らすことができますので、忙しい毎日を無理に過ごすのではなく、時には自分のためにできることを考えてみてください。

参考文献:

「アンチエイジング歯科医からの積極的治癒食」フレグランスジャーナル社
「忙しいあなたのための歯科治癒食」東京臨床出版

 

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こちらの記事の監修医師

六本木しみず歯科

清水百合 院長

(一社)オーラルビューティフード協会 代表理事
日本元気キレイ医歯学研究所 代表
六本木しみず歯科 院長(歯科医師・料理食育研究家・アーティスト)

長年の臨床経験と共に患者様の健康・予防に繋がる食・生活習慣やアンチエイジングを指導、口腔からの心身に優しい情報を発信している。
歯科グッズに限らず、コスメ・食品等の企業商品開発、監修、講演、コンサルティング、店舗プロデュースに携わる。全国の歯科医院や企業の研修を引き受け、お口からの健康促進、HAPPYな暮らし方を伝えている。医学会の大会長、著名人とのトークショー等も務める「歯・口のスペシャリスト」。

【メディア出演】
TV「中居正広のミになる図書館」 「林先生の初耳学」
ラジオ「Dr.百合のCOME噛むAging」ほか多々
【執筆、著書】
「アンチエイジング歯科医からの積極的治癒食」フレグランスジャーナル社
「忙しいあなたのための歯科治癒食~dentalスムージーsoup」東京臨床出版 
日刊ゲンダイ「Dr.清水百合の衣食住 気ままな連載コラム」、婦人公論、安心
歯科専門月刊誌「小児歯科臨床」「矯正臨床ジャーナル」「アポロニア21」
公益社団法人東京都学校歯科医会広報誌「歯に良い料理」 連載中
日本歯科新聞エッセイコラム「Dental小町が通る」2022.4月~連載
ほか多々

(一社)日本健康医療学会 常任理事
(一社)健康促進開発機構 理事
元順天堂大学大学院医学研究科加齢医学制御 協力研究員(在籍)
健康医療認定医 / インビザライン認定医


【六本木しみず歯科 HP】
https://roppongi-shimizu-dc.com/
【一般社団法人オーラルビューティフード協会 HP】
https://www.oralbeautyfood.com/

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