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最終更新日:2022年4月21日

コロナワクチン「18歳以上の全村民の3回目接種率」は90%以上…現場の医師が明かす「福島県平田村」の先進的な取り組み

こちらの記事の監修医師
ひらた中央病院
小橋 友理江

(写真=PIXTA)

新型コロナの感染拡大が止まらない。本稿を書いている、BA.2株が多数を占めるようになってきた4月のはじめの段階で、再び新規陽性者数が増加してきている。福島県においては、今週は新規感染者の過去最多を更新し続けた。このような状況の中、福島県平田村は、新型コロナ対策に関連した様々な先進的な取り組みを行っている。今回は、平田村の現場での取り組みを紹介させていただきたい。

「抗体価の推移」は複数のパターンに分けられる

抗体検査でわかってきた「抗体価の上がり方、下がり方」のパターン

▲左:抗体検査の誠励会の特設会場の様子/右:検体を数えてくださる職員の皆様

福島県立医科大学が主幹施設としてAMEDから助成を受け、長期的な新型コロナの抗体検査が福島県で行われている。医療法人誠励会、相馬市、南相馬市、平田村からのべ2500人以上が参加してくださっている。検査は全5回の予定であり、現在、半分ほどが終了している。2500人中、1400人ほどが平田村から参加してくださっているが、3ヵ月おきに訪れる検査期間の約1ヵ月間、平田村では、医療法人誠励会の特設会場などで、連日のように訪れる多くの方の、採血が行われている。

現在まで採血に協力をしてくれた方々のおかげで、抗体価の長期的な推移は、何パターンかに分けることができるということがわかってきた。具体的には、抗体価の上がり(2回目接種から数週間後の抗体価:ピーク)は、高い人、中くらいの人、低い人、というように分けられる。さらに抗体価のピークを迎えた後に、抗体の下がりが早い人と遅い人がいることもわかっている。これらの抗体価の推移のパターンに一番影響を及ぼすのは、年齢である。ただ年齢は抗体価のピークには強く影響を及ぼすが、ピークを迎えた後の抗体価の下りには、ピークほどには影響を及ぼさないこともわかってきた。

「抗体価=感染しにくさ」と考えて本当に良いのか?

避けては通れない「細胞性免疫」についての議論

抗体が低く推移するグループの人に比べて、高く推移するグループの人のほうが、感染防御力が高い可能性がある。しかし、抗体価だけで、新型コロナの免疫についてすべてを語れるわけではない。その理由の一つとして、新型コロナなどのウイルスに対する免疫は、大きく分けて抗体の免疫(液性免疫)と細胞性免疫の二種類があることがあげられる。

ウイルスが細胞に侵入するまでの防御の主役は、液性免疫(抗体)である。一方でウイルスが細胞に侵入した後の防御は細胞性免疫が担うと言われていることからも、重症化を防ぐのには、細胞性免疫が重要である可能性がある。また、細胞性免疫のほうが液性免疫(抗体)より長く持続するため、長期的な感染防御に関係してくる可能性も言われている(※1)。細胞性免疫と液性免疫の両方を測ることで、新型コロナに対する免疫の、より良い評価ができる可能性があり、今後この調査においても、抗体に加え、細胞性免疫の評価を行う予定である。1000人規模の報告は、海外からは少ないながらもあるものの(※2)、日本からは、限られている(※3)。結果については専門家の先生方、現場で働いている方、医療者、住民を含め皆に情報の共有と議論を行い、新型コロナに対する免疫について、地域がより良く理解できるようになることを目指している。

5町村合同での「小児ワクチン接種」

▲小児ワクチン接種対策についての、5町村と誠励会合同の会議

抗体検査以外にも、平田村が特に力を入れているのがワクチン接種である。その速さと接種率は、役場や病院の皆様の努力のおかげで、県内でも有数を誇っている。具体的には現時点で、65歳以上の全村民における3回目接種率は約94%、18歳から64歳の全村民における3回目接種率は約87%である。5歳から11歳の小児ワクチン接種については、医療資源が少ないこの地域で、医師確保などの問題や副反応に対する対応の問題を解決するために、石川群内5町村の合同のワクチン接種が、4月から行われている。

医療法人誠励会、石川郡内5町村、医師会などの連携のもと行われているこの5町村合同ワクチン接種は、大人より十分な説明時間を設けたり、無料で保護者が利用できるコールセンターを独自に設けたり、副反応について詳細なフォローを行ったり、きめ細かい内容となっている。村役場や医療法人誠励会の皆様は、感染者が多発している中で、ワクチン接種や抗体検査の準備を休みなく行ってくださっており、本当に頭が上がらない。

組織を超えた協力体制

新型コロナは、大きな枠組みでは災害と言うことができるだろう。災害時には、組織を超えた横断的な協力体制が必要と言われている。地域社会においては、多くの組織が協力しなければ行えないことが、災害時には多すぎる。実際に、横断的な組織間の協力は、地域の任務遂行能力を増加させるという報告もある。しかしながら、組織を超えた横断的な協力体制は、一朝一夕には達成できず、常日頃から組織を超えた横断的な協力を行い、繋がりを育てていくことが、有事のときに力を発揮するために重要なのかもしれない。これからも平田村は、組織を超えた横断的な協力体制を維持しながら、地域一丸となって新型コロナに対する対策を行っていく。

 

※1 Cassaniti I, et.al. SARS-CoV-2 specific T-cell immunity in COVID-19 convalescent patients and unexposed controls measured by ex vivo ELISpot assay.

※2 Wyllie D, et.al. SARS-CoV-2 responsive T cell numbers and anti-Spike IgG levels are both associated with protection from COVID-19: A prospective cohort study in keyworkers

※3 Uwamino Y, et.al. Dynamics of antibody responses, cellular immunity, and breakthrough infections among Japanese healthcare workers during the 6 months after receiving two doses of BNT162b2 mRNA vaccine.

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こちらの記事の監修医師

ひらた中央病院

小橋 友理江

麻酔科医・内科医

2014年、和歌山県立医科大学 医学部卒業。麻酔科医・内科医。公衆衛生学修士。越谷市立病院で初期研修、東京都立多摩総合医療センターで後期研修(麻酔)。2018年帝京大学公衆衛生学大学院修士課程。2019年より福島県立医科大学博士課程(放射線健康管理学講座)。サンライズジャパンホスピタル(カンボジア)での勤務などを経て、2020年より、ひらた中央病院の非常勤 医師として診療や発熱外来、ワクチン接種などに携わりながら、新型コロナの抗体検査に携わっている。

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