最終更新日:2021年7月21日
大人も子供も、今すぐ「口呼吸」をやめましょう

こちらの記事の監修医師
四日市ヘルスプラス診療所
末光 智子


現代人は口呼吸になりがち。気がつくとずっと口が開きっぱなしになっていることがあります。口呼吸が続くことで、実はカラダにさまざまなマイナスの影響があります。舌を正しく使う鼻呼吸を行い、カラダの調子を調えましょう。
ぽかんと口を開ける「口呼吸」は万病の元
現在、昨年からの新型コロナの感染対策で、マスク生活が長引いています。マスクの下の呼吸、あなたはどんな呼吸をしていますか?口がぽかんと開く、「口呼吸」になっていませんか?
呼吸というのは、基本は「鼻呼吸」です。鼻から吸って、鼻から吐く。顔の緊張をとる意味では、口から吐くことがいい場合もありますが、基本の呼吸は「鼻呼吸」であることを知っていてください。
現代人は口呼吸になりがちで、気がつくとずっと口が開きっぱなしになっていることがあります。子供でも、ずっとお口が開いている「お口ポカン」の子が増えています。中には「呼吸は口でするもの」と思っている人もいます。しかし、口呼吸が続くことで、実はカラダにさまざまなマイナスの影響があります。
「口呼吸は万病の元」と言われるほど、口呼吸の弊害はいろいろ。一番は、口腔内のリンパ組織の乱れや鼻粘膜の萎縮、口腔内雑菌の繁殖によって引き起こされる免疫異常、そしてその免疫異常によって起こるさまざまな不調です。
「鼻呼吸」と「口呼吸」で何が違うのか?
なぜ、そんなに「鼻呼吸」と「口呼吸」で違いがあるのでしょうか。
鼻には、鼻毛や線毛といった防御機構があり、空気中の花粉やチリなどを効率よく除去できます。また、加温・加湿機能も備えています。この鼻を空気が通ることで、キレイで温まった空気を肺へと送り込むことができます。
一方、口には鼻のような防御機能や、加温・加湿機能はありませんので、吸った空気がそのまま肺へと送り込まれます。冬の冷たい空気だと、冷たいまま気管や肺へ送られてしまい、気管にある防御機構である線毛の動きが鈍ったり、免疫を担う白血球の働きが弱まったりします。鼻呼吸と口呼吸の空気の温度差は、喉の奥で3?4℃も違うと言われています。
口の中を空気が出入りすることで、口の中の温度が下がったり、乾燥して唾液も減ったりしてしまいます。そうすると、虫歯や歯周病、扁桃炎など、口の中で炎症が起こりやすくなります。
呼吸は1日に2万回前後行われています。これを「鼻呼吸」で行うか、「口呼吸」で行うかで、口の中や肺などカラダへ及ぼす影響が違ってくることは、想像して頂けるのではないでしょうか。
口のトラブルが他に影響することも
以前は、例えば歯周病は口の中だけの問題と思われてきましたが、最近では歯周病を始めとする口腔内の炎症が、糖尿病や心疾患といった、口とは一見関係がなさそうな疾患とも関係していることがわかってきました。
歯周病が危険因子となる可能性がある全身の病気としては、
- 狭心症や心筋梗塞のような循環器疾患
- 糖尿病
- 早期低体重児出産
- 誤嚥性肺炎
などがあります。
歯周病というと、中年?高齢者の問題と思っている方もいるかもしれませんが、決してそうではありません。(3)低体重児出産を挙げたように、例えば妊婦さんの口の中の状態がおなかの赤ちゃんにも影響してきますから、若い方であっても口の中のケアは大切です。そして、口の中の状態を良くするために、まず見直して頂きたいのが「口呼吸」なのです。
舌の位置も大事
また、ただ口を閉じて呼吸をする、というだけでなく、舌の位置も大切です。口が閉じているとき、口の中で舌はどの位置にありますか?
上顎にぴったりとくっついている位置が、舌の本来の理想的な位置になります。舌がだらんと下顎の方へ下がっているのがふつう、という方も多いでしょう。実はこれは「低位舌」といって、舌がたるんでいる状態です。舌は筋肉でできていますので、鍛えることができます。
まずは、口を閉じて舌を上顎につける位置で鼻呼吸をする。これを練習してみましょう。ふだん口呼吸がふつうになっている方は、鼻呼吸が少し苦しく感じたり、舌を上げておくのが大変に感じたりするかもしれません。慣れないうちは少しずつでもいいですので、毎日やってみましょう。舌を「べーっ」と出す動きも、舌を鍛える上でとても有効です。
また、寝ている間に知らないうちに口が開いてしまう人も多いです。こんな場合には口にテープを貼って寝ることもオススメです。鼻呼吸で眠ると睡眠も深くなります。
舌を鍛えて鼻呼吸をすることは、健康に大切なだけでなく、うれしい小顔効果もありますよ。
また、子供であれば「口呼吸」が続くことは、免疫が低下して感染症にかかりやすくなるだけでなく、歯並びにも影響してきます。歯並びは、舌が上顎にぴったりくっついて歯を前に押す力と、口元の筋肉が歯を後ろに押さえる力のつり合うところで作られます。この両方の力をしっかり作るためには「鼻呼吸」ができること、舌を鍛えてしっかり上顎につくことの両方が必要です。
前回、今回と「呼吸」をテーマに記事をお届けしましたが、いかがだったでしょうか。
呼吸は本当にパワフルで、私たちが思う以上に全身の健康にもココロの安定にも大切です。寝た姿勢でも、年を取っても、いつでもできる、この呼吸を利用しない手はありません。呼吸を通じて自分の心身を自分で調整できるようになると、どんな時でも大丈夫と思える、自分の心身への信頼が育ってきます。
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こちらの記事の監修医師
四日市ヘルスプラス診療所
末光 智子
内科医。自治医科大学卒業後、愛媛で地域医療に従事。結婚後、三重県在住、四日市ヘルスプラス診療所(四日市消化器病センター 分院)勤務。日本内科学会認定総合内科専門医、日本医師会認定産業医。Body Element System Japan認定ピラティスインストラクター、ジョイ石井認定イメージングカウンセラー、プロフェッショナル・ファスティングマイスター。著書「すこやかで幸せになるために ココロとカラダを調える」(出版社:ギャラクシーブックス)
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