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最終更新日:2022年11月11日

放置されがちな「高血圧」の恐怖…「なにも症状ないから大丈夫」は絶対NG【医師が警告】

こちらの記事の監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい
山本 康博

山本先生 高血圧
※画像はイメージです/PIXTA

食事や運動など、日々の生活習慣が直結するといわれる「高血圧」。しかし、高血圧になっていても「ほとんどの人は自覚がない」と、MYメディカルクリニック横浜みなとみらい院長の山本康博先生はいいます。大病を患うリスクを高める恐ろしい高血圧について、治療法と予防法も含めて山本先生が解説します。

ほとんどの人は自覚なし…「高血圧症」の定義

高血圧とは、血管中を流れる血液が血管の壁にかかる圧が高い状態になることです。血液は心臓のポンプによって押され、全身を巡っています。

心臓が収縮したときの血圧を「収縮期血圧」、心臓が拡張したときの血圧を「拡張期血圧」と呼びますが、収縮期血圧が140mmHg以上、または拡張期血圧が90mmHg以上の場合に「高血圧症」と診断されます。

高血圧症には原因によって2種類に分けられます。明らかな原因がわからないものを「本態性高血圧」、なんらかの原因があって高血圧を引き起こしているものを「二次性高血圧」と分類しています。高血圧症の多くは本態性高血圧で、原因がわからずに血圧が高くなっている人が大勢います。

高血圧ではっきりした自覚症が現れるのは、すでに血圧がかなり高くなっている人が多く、大半の高血圧の人には自覚症状がありません。読者の皆様のなかにも、血圧を測るまで自分が高血圧だと知らなかったという人も多くいらっしゃるかと思います。

高血圧になる人の割合は減少傾向も…「油断禁物」なワケ

2019年の「国民健康・栄養調査」によると、20歳以上の収縮期血圧(最高血圧)の平均は、男性が132.0mmHg、女性が126.5mmHgとされており、10年間でみると男性、女性ともに減少傾向にあるといわれています。

この傾向は、「収縮期血圧=140mmHg以上(高血圧の基準)」の人が占める割合においても同様です。収縮期血圧=140mmHg以上が占める割合は、男性が29.9%、女性が 24.9%となっています。

このことから、日本全体をみると高血圧は改善傾向にあるとも考えられますが、高血圧、糖尿病、脂質異常症の発症率は、40代以降から年齢にともない増加するため楽観視はできません。

40代の段階では服薬などの治療が必要ない高血圧が多いですが、治療が必要になる割合も年齢とともに増加します。

高血圧放置で高まる「大病リスク」

高血圧には頭痛、めまい、肩こりなどの症状が現れることもありますが、自覚症状がまったくない場合も珍しくありません。また、これらの症状は日常でよく起こる身近な症状のため、高血圧が原因とは考えないことが多いと思われます。

高血圧の状態が長期間続くと、脳や心臓の血管の病気、腎臓の病気のリスクが上昇するため、症状の有無に関わらず早急な治療が必要になる場合があります。「血圧が高めと言われていたけど放置していたら、知らないうちに進行して治療が必要になってしまった」という人も少なくありません。

高血圧は血管に与える圧力が高い状態なので、血管にかかる負担が大きくなります。そのため、高血圧を放置すると下記のようなリスクを招くおそれがあります。

脳卒中

脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など)は、高血圧による発症リスクがもっとも高い疾患です。収縮期血圧が10mmHg上昇した場合、男性では約20%、女性では約15%の割合で発症リスクが上がると考えられています。

脳卒中を発症した場合、治療をしても運動障害や言語障害の後遺症が残りやすい、リハビリが長期になりやすいという傾向があります。

心血管疾患

心筋梗塞、狭心症、大動脈解離などの心血管疾患は高血圧によってリスクが上昇します。特に、男性は収縮期血圧が10mmHg上昇した場合、心疾患のリスクが約15%上昇すると考えられています。

慢性腎臓病

高血圧は腎臓に大きな負担をかけます。腎臓の機能が低下すると、血液中の塩分の排泄がスムーズに行われず、さらに血圧が上昇する悪循環を引き起こしますので注意が必要です。

高血圧治療は「生活習慣の改善」が必須

高血圧の治療では、減塩を中心とした生活習慣の改善が必須です。

高血圧治療における1日の塩分摂取量の目標は1日6g未満であり、塩味を好む日本人にとっては、かなり厳しい減塩が求められます。ここまで厳しい減塩をしなくても済むように、20代、30代の若い世代のうちから高血圧対策を意識するようにしましょう。

また、20代、30代は、病気などが原因の高血圧(二次性高血圧)の割合が高いといわれています。二次性高血圧は、原因となる病気の治療が必要です。あまり深刻になる必要はないかもしれませんが、仕事や運動のパフォーマンス向上にもつながることもあるので、家庭血圧を測る習慣を作っておくことをおすすめします。

飲酒、塩分…高血圧に直結する「身近な原因」と対策

高血圧は病気などが原因になることもありますが、以下で挙げるような「生活習慣」が発症に大きく関係します。

塩分摂取量

和食では塩やしょう油などの「塩分が多い調味料」をよく使うため、日本人は昔から高血圧になりやすかったといわれています。

厚生労働省の発表によると、日本人の1日の塩分摂取量は、男性が10.9g、女性が9.3gです。これは目安の「男性7.5g未満、女性6.5g未満」を大きく超えています。塩分の過剰摂取は血圧上昇に直結し、20代、30代の若い世代であっても塩分の過剰摂取が長く続けば、高血圧を引き起こすことがあります。

以下を参考に、早めに減塩対策を始めましょう。

【減塩対策のポイント】

•食材や調味量に含まれる塩分量を確認する
•外食や中食を減らし、自炊を増やす
•加工品はなるべく使わないようにして、自然の食材の風味を活かす
•減塩タイプの調味料、食品を使うようにする
•「だし」「薬味」「スパイス」など、塩味以外の調味料をきかせる
•麺類のスープは飲まない
•しょう油やソースは直接かけない
•漬物は控えめにして、味噌汁の減塩対策を徹底する

肥満、メタボリックシンドローム

肥満の人すべてが高血圧になるわけではありませんが、肥満の人は普通体重の人と比べて2倍〜3倍程度高血圧になりやすいといわれています。また、肥満の人は食べる量が多いため、塩分摂取量も多くなりやすいことも、高血圧のリスク上昇につながります。

食事内容や運動習慣を整えて、適切な体重、体型を保ちましょう。適切な体重の目安としては、BMIを参考にすることが一般的です。BMIが18.5以上25未満になるように、体重管理をしてください。

ただし、BMIが正常範囲内でも、腹囲が大きければ内臓脂肪が溜まっている「内臓脂肪型肥満」の可能性があります。内臓脂肪型肥満は、高血圧、糖尿病、脂質異常症のリスクが高い状態です。

腹囲が男性で85cm以上、女性で90cm以上の人で、血圧、血糖値、血清脂質のうち2つ以上に異常値がみられる場合は、「メタボリックシンドローム」とみなされます。

メタボリックシンドロームは生活習慣病が非常に悪化しやすい状態であり、心臓病や脳卒中など命に関わる病気のリスクも高いです。

肥満やメタボリックシンドロームが多いのは40代以降の男性ですが、若い男性や女性もなる可能性があります。肥満やメタボリックシンドロームになってしまってから体重をコントロールするのは大変ですし、年齢が上がると体重や脂肪を落としにくくなります。若いうちから以下を意識して、肥満やメタボリックシンドロームを予防しましょう。

【肥満、メタボリックシンドローム対策のポイント】

•体脂肪計や体組成計がついている体重計で毎日体重を計測する
•腹囲を定期的に計測する。パンツやスカートのウエストがきついと感じたときは注意
•毎食の食事の総カロリー量をチェックする
•脂質や糖質に偏った食事を控え、いろいろな食材をバランスよく食べる
•間食や夜食を控える
•適度な筋トレで基礎代謝を高め、有酸素運動で脂肪燃焼を促す
•自己管理が難しい場合は、肥満外来や専門のトレーナーに相談する
•お酒の飲みすぎ

お酒を飲むと一時的に血圧が下がることはありますが、継続的な飲酒は高血圧の原因になります。毎日の飲酒量が多いほど高血圧のリスクが高くなり、飲酒量を減らすと血圧が下がりやすくなることもわかっています。

また、お酒のおつまみは「塩味が強い食べもの」が多いため、お酒の飲み過ぎは塩分の過剰摂取の原因にもなりやすいです。アルコール飲料は、種類に関わらず高血圧の原因になり得ます。お酒は必ず適量を守り、1週間に1日〜2日以上の休肝日を作りましょう。

【お酒に関する高血圧対策のポイント】

•お酒の1日の摂取量の目安は、ビールや発泡酒(アルコール度数5%)では「500ml缶 1本」
•休肝日を多くすることで、全体的な飲酒量を減らせる
•飲酒がストレス解消につながることはあるが、飲酒できない人、お酒が好きではない人が無理に飲む必要はない
•おつまみの塩分量に注意。締めのラーメンは食べない

食事内容

高血圧予防のためには、減塩対策や飲酒制限とあわせて「食事内容の見直し」が必要です。肥満予防のため、脂質と糖質の摂りすぎに注意し、食物繊維やミネラルが豊富な野菜・海藻類を積極的に食べるようにしましょう。

【食事内容に関する高血圧対策のポイント】

•野菜や海藻類は、塩分排泄を助けるカリウムやマグネシウムが豊富。食物繊維も豊富なので、ダイエットにも役立つ
•果物類もカリウムが豊富だが、果糖は中性脂肪の増加につながる。肥満や内臓脂肪の蓄積の原因なるので食べすぎには注意
•甘いおやつを数粒のナッツに置き換えると、糖質を制限しやすくミネラルの摂取もできる(ただし、脂質、塩分の量に注意)
•カルシウム不足は高血圧の原因になる。塩分と脂質に注意しながら、牛乳、乳製品、魚類、小松菜などの葉物野菜を食べる
•肉よりも魚中心の食生活にする

ストレスや睡眠不足も高血圧の“引き金”に

運動不足

有酸素運動には降圧効果が期待でき、肥満やメタボリックシンドロームの予防にも役立つため、高血圧の改善と予防には少しきついと感じる程度の有酸素運動がおすすめです。ただし、無酸素運動は血圧が急上昇するので、運動するときには十分に注意しましょう。

1日合計30分以上の有酸素運動を、できれば毎日行いましょう。室内でできる有酸素運動もあるので、天気が悪いときなどにうまく取り入れてください。

タバコの煙

喫煙自体が高血圧の直接の原因になるかどうかは、はっきりとわかっていません。しかし、喫煙は動脈硬化の原因になるため、遠因的には高血圧の原因になり得ます。また、タバコに含まれるニコチンには血圧上昇作用があることがわかっています。

ニコチンは副流煙にも含まれているため、高血圧を含めた生活習慣病を予防するのであれば、家族全員が禁煙することをおすすめします。

加熱式タバコや電子タバコによる健康への影響に関しては、はっきりとわかっていないことが多いですが、「非燃焼・加熱式タバコや電子タバコに対する日本呼吸器学会の見解」では、加熱式タバコや電子タバコは見えにくいエアロゾルを出していて、そのエアロゾルのなかにはニコチンやアセトアルデヒドなどの有害物質が含まれているため、血管への影響をはじめとする「さまざまな健康リスク」が懸念されると示されています。

健康維持のためには、「加熱式タバコや電子タバコであっても喫煙しない」ことをおすすめします。

ストレス

ストレスは、交感神経を活発にして「心身の緊張状態」を作り出し、血圧を上昇させます。このようなストレスによって引き起こされる高血圧は、「ストレス下高血圧(昼間高血圧)」と呼ばれることがあります。

昼間高血圧は健康診断などで発見されにくい高血圧です。知らないうちに血管のダメージが蓄積し、脳卒中や心臓の病気などを引き起こすこともあります。

20代、30代の人は、仕事や人間関係などのストレスを抱える機会が多いです。昼間高血圧になる可能性もあるため、こまめにストレスを解消するようにしてください。また、家庭血圧を測ることは、昼間高血圧の早期発見につながることがあります。

睡眠不足、昼夜逆転の生活

睡眠不足や睡眠リズムの乱れは、自律神経の乱れによる高血圧を引き起こすと考えられていますが、睡眠不足が直接高血圧の原因になるかどうかは、はっきりわかっていません。

ただし、睡眠不足や睡眠リズムの乱れは肥満の原因になり得ることはわかっています。肥満はさまざまな生活習慣病の原因であり、高血圧の原因にもなります

睡眠のトラブルは、さまざま心身の不調を引き起こします。20代、30代は、仕事やプライベートで無理をしやすく、睡眠のリズムが崩れやすいので、十分に注意しましょう。睡眠の悩みは、セルフケアだけでは改善できないことも多いです。なかなか良くならないときは早めに専門の医療機関に相談するようにしてください。

早期の高血圧対策がその後のリスクを下げる

高血圧の状態が長く続くと命にかかわる合併症を発症してしまうリスクがあります。予防するためには、生活習慣の見直しが重要です。家庭用の血圧計でかまわないので、血圧を定期的に測るように心がけ、減塩や減酒、禁煙など生活習慣の改善に努めましょう。

早めの高血圧対策は、そのほかの生活習慣病対策に役立ち、40代以降の高血圧のリスク低下にもつながります。高血圧対策は、運動や仕事のパフォーマンス向上や健康寿命を伸ばすことにも役立つので、できるだけ早く始めるようにしましょう。

※すでに高血圧の治療を受けている人は、医師の指導に従ってください。

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こちらの記事の監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい

山本 康博

東京大学医学部医学科卒業
東京大学大学院医学系研究科内科学専攻博士課程修了
医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい院長

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