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最終更新日：2022年3月17日

もうまくれっこう・もうまくはくり網膜裂孔・網膜剥離

こちらの記事の監修医師
元町マリン眼科
蓮見 由紀子

概要

網膜裂孔とは、網膜に裂孔（あな）ができた状態のことで、網膜が眼底からはがれてしまうと網膜剥離になります。網膜とは、眼の奥にある光を感じるための透明な組織です。網膜が光を感じると、その情報は視覚信号として眼球の奥の視神経へ伝達されます。さらに、視神経は脳の視覚中枢に信号を伝えるための神経細胞へつながっているため、網膜が感じた光の情報は、最終的に脳で映像として認識することが可能になります。網膜裂孔や網膜剥離を生じると、光の情報を脳に伝達することができなくなるため、ものを映像として認識することができなくなります。病変の程度や場所にもよりますが、視野の欠損や視力の低下、重症化すると失明の危険性もある疾患です。

原因

網膜裂孔の原因としてあげられるのは、加齢による硝子体の変化です。眼球の内部は硝子体というゼリー状の組織で満たされていますが、年齢とともに硝子体は少しずつ変化していき、硝子体と網膜の間にすき間ができてしまいます。これを後部硝子体剥離とよび、中年以降に多く見られる網膜裂孔の原因となります。網膜裂孔を放置していると、網膜裂孔の一部が網膜剥離に進行してしまいます。また、眼や頭部に強い衝撃が加わった際にも網膜裂孔や網膜剥離が引き起こされます。特に若年者の網膜裂孔の場合、交通事故などによる外傷が発症原因の大半を占めています。また、強度近視の方は網膜剥離のリスクが上昇します。

症状

網膜裂孔・網膜剥離の代表的な初期症状のひとつが飛蚊症（ひぶんしょう）です。飛蚊症とは、目の前にひも状の浮遊物が生じ（見えるようになり）、これが眼球の動きについて見え続けるという症状です。特に明るい所で症状を自覚する場合が多く、蚊かが飛んでいるように見えることから飛蚊症とよばれます。また、目の前に閃光が走る光視症（こうししょう）も、網膜裂孔の主な症状の一つです。網膜裂孔が網膜剥離に進行した場合には、飛蚊症の症状が一段と強く生じ、視野の欠損や視力の低下などの合併症が出現します。適切な治療を行わずに放置することで次第に視力の低下が進行し、最終的には失明に至る可能性もあります。

検査・診断

頭部の外傷など早急な処置を必要とする場合を除き、症状の問診や病歴の聞き取りを行い、視力検査や眼圧検査などの一般的な眼科検査を行います。さらに、網膜の状態を確かめるための眼底検査を行います。必要に応じて視野を確認する視野検査などを実施する場合もあります。硝子体出血などの影響で眼底検査が十分に行えない場合には、超音波検査を行って眼底や網膜の状態を検査します。

治療

網膜裂孔の治療としては、裂孔や円孔の周囲をレーザーで固める「レーザー光凝固術」が基本となります。レーザーで穴の周りの網膜を眼球壁にやけどを起こして癒着させ、穴を塞ぐことで、裂孔がそれ以上広がったり、損傷部から硝子体の水分が網膜の間に入りこまないようにして、網膜剥離への進行を予防します。しかし、いったん網膜剥離が起きてしまうと、時間とともに剥離の範囲が広がっていくため、外科的手術を行って網膜を復位させます。網膜の中心である黄斑部が剥がれてしまうと、治療をして網膜が復位しても視力や視野が完全には戻らない事があります。網膜の損傷や裂孔部が小さい場合には症状を改善することも可能であるため、早期発見と早期治療が非常に重要になります。

予防/治療後の注意

網膜裂孔や網膜剥離は、加齢や外傷などを原因として網膜に損傷が生じる疾患です。加齢が主な原因となる場合には、疾患そのものの発症を予防することはできません。しかし、比較的軽症のうちに治療を開始することができれば、病状の進行を阻止して、視野や視力の低下も予防することが可能です。飛蚊症などを自覚するという人は、早めに眼科検診を受けることが重要です。目がかすむ、ものがぼやける、疲れ目、飛蚊症など、ほんの些細な症状であっても、網膜裂孔の初期症状の可能性も否定できません。また、たとえ症状がなくても、定期的に検診を受けることを心がけましょう。

こちらの記事の監修医師

元町マリン眼科

蓮見 由紀子

〇診療科　： 眼科、美容皮膚科、泌尿器科（非常勤・週2回）

【経歴】　　
2001年 信州大学医学部卒業
2001年　横浜市立市民病院レジデント
2003年　藤沢市立市民病院眼科専修医
2005年　横浜市大大学院医学研究科博士課程
2007年　米国国立衛生研究所（NIH)研究員
2014年　横浜南共済病院、あおと眼科勤務
2016年　蒼風会追浜駅前眼科院長
​2020年　元町マリン眼科　開院

治療に適した診療科目

眼科

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