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網膜色素変性症【イシャチョク】

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最終更新日:2022年3月18日

もうまくしきそへんせいしょう網膜色素変性症

こちらの記事の監修医師
元町マリン眼科
蓮見 由紀子

概要

網膜色素変性症は、眼の重要な組織である網膜の視細胞に異常をきたす遺伝性で進行性の疾患です。網膜は、眼の奥にある光を感じとるための組織であり、網膜の視細胞が感じた光を電気信号に変換し、視神経から脳に信号を伝えることで、脳は外部から取り込んだ光を「景色」として認識できるようになります。視細胞には光を感じる杆体細胞と色を感じる錐体細胞がありますが、網膜色素変性症では主に杆体細胞に異常をきたします。杆体細胞が減少すると、光を感じる力が弱くなり、暗いところで見にくい症状(夜盲)や、周辺が狭くなる症状(視野狭窄)が徐々に進行します。網膜の機能を回復したり、病気の進行を止めるための治療法は今のところ確立されておらず、まぶしさを軽減するための遮光眼鏡や対症療法的な内服治療などが行われます。網膜色素変性症は遺伝子の変異でおこる疾患であり、通常4,000人から8,000人に一人の割合で発症すると推定されています。網膜色素変性症は指定難病に登録されている疾患です。

原因

網膜色素変性症は、視細胞や、視細胞に密着している網膜色素上皮細胞上の遺伝子の異常によって起こるとされていますが、原因となる遺伝子の全てが特定されているわけではありません。原因遺伝子としては、常染色体劣性網膜色素変性症ではEYS、杆体cGMP-フォスフォジエステラーゼαおよびβサブユニット、杆体サイクリックヌクレオチド感受性陽イオンチャンネル、網膜グアニルシクラーゼ、RPE65、細胞性レチニルアルデヒド結合蛋白質、アレスチン、アッシャリン(USH2)などの遺伝子が知られています。また、網膜色素変性症は遺伝によって発症することもあり、家族に疾患の既往がある場合には発症のリスクは上昇します。明らかな遺伝が確認できるケースは全体の50%程度と報告されています。

症状

網膜色素変性症では、視細胞のうち、主に杆体細胞の機能異常に関連する症状が発現します。主な症状としては、夜盲(暗い所で物が見えにくくなる症状)、視野の狭窄(視野が狭く見えにくくなる)などです。視力や視界の広さが徐々に低下していくため、歩いている時にヒトやモノにぶつかるようになったり、頻繁につまづくようになったり、交通事故の危険性も上昇します。さらに進行すると、色覚の異常や視力低下が出現するため、文字が見えなくなったり、まぶしさを感じたり(羞明)、ものが霞んで見えにくくなるなどの症状が出現します。網膜色素変性症は進行性の疾患ですが、症状進行のはやさや、症状が出現する順番には個人差がみられます。

検査・診断

網膜色素変性症の診断時には、問診や家族歴、病歴、服用歴(常備薬・サプリメント含む)などを調査し、視力検査や眼圧検査などの基本的な眼科検査を行います。より専門的な検査として、眼の奥を調べる眼底検査、視野の広さを調べる視野検査、光の刺激による電気信号の伝達を調べる網膜電図検査などを実施します。

治療

網膜の機能を回復させたり、症状の進行を止めるための確立された治療法はありません。そのため、網膜色素変性症の治療の基本は対症療法となります。日常的な眩しさを感じる場合には遮光眼鏡を使用する、視力の低下を眼鏡などで矯正するβカロテンの一種であるヘレニエン製剤の内服、ビタミンAの内服、循環改善薬の使用など、少しでも視細胞の機能を向上させるような治療(サポート)を行います。ロービジョンケアは、個々の患者さんの病気の進行や症状に合わせて行う生活指導で、限られた視機能でものを見るための拡大鏡や読書灯を勧めたり、障害手帳の取得を勧めたりといった、患者さんの生活のサポートを行います。今後は遺伝子治療、網膜移植、人工網膜など新たな治療選択肢が登場する可能性があります。

予防/治療後の注意

網膜色素変性症は遺伝子に関連する疾患であるため、疾患そのものを未然に予防することはできません。眼に現れた症状に対して適切に対応し、日常生活の質が低下しないようにサポートすることが重要となります。視力や視界が徐々に低下していくため、交通事故などに出会う危険性が増します。眩しい、夜に目が見えない、視界が霞む、全体的に白く見えるなど、視力の低下だけではなく、なにか眼の異常を感じた際には早めに眼科検査をうけることが大切です。

こちらの記事の監修医師

元町マリン眼科

蓮見 由紀子

〇診療科 : 眼科、美容皮膚科、泌尿器科(非常勤・週2回)

【経歴】  
2001年 信州大学医学部卒業
2001年 横浜市立市民病院レジデント
2003年 藤沢市立市民病院眼科専修医
2005年 横浜市大大学院医学研究科博士課程
2007年 米国国立衛生研究所(NIH)研究員
2014年 横浜南共済病院、あおと眼科勤務
2016年 蒼風会追浜駅前眼科院長
​2020年 元町マリン眼科 開院

治療に適した診療科目

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