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最終更新日:2022年3月17日

もうまくじょうみゃくへいそくしょう網膜静脈閉塞症

こちらの記事の監修医師
元町マリン眼科
蓮見 由紀子

概要

網膜静脈閉塞症は、文字通り網膜の静脈が詰まってしまうことです。網膜の静脈が詰まることで静脈の圧力が上がり、末梢側の血管が破裂して網膜に出血をきたします。出血によって、網膜の奥の視細胞に光が届かなくなるため、眼底出血の部分は見にくくなります。網膜静脈閉塞症は閉塞した網膜静脈の部位によって、網膜中心静脈閉塞症や網膜静脈分枝閉塞症などに分類されます。網膜静脈閉塞症は50歳以上の中高年から高齢者に多い疾患であり、主な原因は動脈硬化です。高血圧や糖尿病などの生活習慣病や喫煙も関連しています。

分類と原因

網膜静脈閉塞症は、閉塞した静脈の場所によって、網膜中心静脈閉塞症と網膜静脈分枝閉塞症に大別されます。網膜中心静脈閉塞症は、網膜中心静脈という血管が詰まっている状態であり、網膜の全体に出血が見られます。一方、網膜静脈分枝閉塞症は、静脈が網膜内で枝分かれしている部分に閉塞が起きる状態であり、網膜の一部分に出血が見られます。網膜は血管が観察できる唯一の器官ですが、網膜上で、動脈と静脈が交叉している部分があります。動脈硬化が進行すると、硬くなった動脈が、静脈を押し潰して流れが悪くなり、最終的には詰まってしまうと考えられています。つまり、動脈硬化を促進させる高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病が原因で網膜静脈閉塞症を発症するといっても過言ではありません。

症状

網膜静脈閉塞症の主な症状は眼底出血と網膜浮腫(網膜のむくみ)ですが、閉塞部位によって症状は異なります。網膜中心静脈閉塞症の場合には網膜中心静脈が閉塞するため、血管が広がる、蛇行する、出血するなどの症状が網膜全体に出現します。また、網膜に血液中の水分が貯留することで、網膜のむくみ(網膜浮腫)を引き起こします。網膜静脈分枝閉塞症の場合には、眼球内で枝別れした静脈の一部が閉塞しているため、網膜の一部に症状が出現します。眼底出血では、出血が広がっている部分の視野の欠損が生じ、網膜浮腫では視力の低下が出現します。静脈閉塞の状態によって症状の程度は異なり、全く自覚症状を感じないというケースから、ほとんど視力を失ってしまうような重篤な症状までまちまちです。

検査・診断

問診や視力検査、眼圧検査などの一般的な眼科検査のほか、眼の奥側を検査するための眼底検査によって、網膜の異常を検査します。眼球内の出血が多い場合には、眼底検査では網膜の状態が確認できないことがあるため、超音波検査を行って網膜の血流の状態を確認する場合もあります。全身の動脈硬化が発症に関与していることが多く、高血圧や糖尿病などの検査をあわせて行う場合もあります。また、緑内障の患者さんが網膜静脈閉塞症を発症しやすいことが知られているため、必要に応じて緑内障の検査も行われます。

治療

静脈閉塞が起きた範囲が狭い、視力の低下が軽度の場合は網膜の血流循環を改善させる薬剤などで経過観察します。また、未治療の高血圧などがある場合は、全身の治療を行います。静脈の閉塞が不完全の場合には薬物療法の効果が期待できます。静脈閉塞の範囲が広い場合や網膜浮腫により視力が低下している場合には、抗VEGF薬の硝子体注射を行います。抗VEGF薬により、浮腫の改善や異常血管の発生を抑える働きがありますが、頻回の投与が必要になります。また、網膜の毛細血管の閉塞範囲が広い場合はレーザー光凝固術を行う場合もあります。血管の閉塞部をレーザーで凝固させることで、異常な血管が新たに生じるのを防ぐ効果が期待でき、異常血管による浮腫が改善します。ステロイドの眼球注射などの治療が行われる場合もあります。

予防/治療後の注意

網膜静脈閉塞症は、一旦症状が落ち着いて慢性期になってから、硝子体出血や血管新生緑内障、網膜剥離などの重篤な合併症を引き起こす可能性があるため、治療後も定期的に経過観察を行うことがとても重要になります。また、静脈閉塞の根本的な原因が生活習慣病にあることも多く、高血圧や糖尿病などの基礎疾患を有している人は、網膜静脈以外にも血管の障害が発生している可能性もあります。食事や運動などの日常生活を少しずつ改善していくことを心がけましょう。

こちらの記事の監修医師

元町マリン眼科

蓮見 由紀子

〇診療科 : 眼科、美容皮膚科、泌尿器科(非常勤・週2回)

【経歴】  
2001年 信州大学医学部卒業
2001年 横浜市立市民病院レジデント
2003年 藤沢市立市民病院眼科専修医
2005年 横浜市大大学院医学研究科博士課程
2007年 米国国立衛生研究所(NIH)研究員
2014年 横浜南共済病院、あおと眼科勤務
2016年 蒼風会追浜駅前眼科院長
​2020年 元町マリン眼科 開院

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