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最終更新日:2023年2月25日

きんし近視

こちらの記事の監修医師
元町マリン眼科
蓮見 由紀子

概要

人間の眼球は、よくカメラに例えられます。カメラのレンズに相当するのが角膜と水晶体という部位で、光を通して屈折する働きがあります。カメラのフィルムに相当するのが、網膜という目の奥にある神経組織です。目に入ってきた光線が、角膜や水晶体を通して網膜で焦点を結び、その情報が視神経を通って脳へ伝わることにより、物体が認識されます。近視とは、眼球の前後方向の長さ(眼軸長)と、角膜や水晶体の屈折力のバランスが悪いために、遠方からきた光線が網膜の手前で焦点を結んでしまう状態をいいます。近くの物体を見るときにはピントが合いますが、遠くの物体はピントが合わずぼやけて見えるようになります。近視の多くは眼軸長が長いことによる軸性近視であり、眼鏡などにより矯正可能な単純近視が多いですが、まれに病的近視に進行する例もあり、病的近視は様々な合併症を引き起こし失明に至る可能性もあるため注意が必要です。

原因

近視の発症には、遺伝的要因と環境要因の両方が関与すると考えられています。特に病的近視では遺伝的要因が強いと考えられています。環境要因としては、近業(近くを見ること)や、屋外活動が少ないことが関与していると考えられています。スマートフォンやゲーム機などの普及が関係しているとする説もありますが、明確なエビデンスはありません。

症状

近視であると遠くの物体はピントが合わずにぼやけて見えるようになります。また、近視の中でも「病的近視」という状態になると、眼球後部の変形により視神経や黄斑部網膜といった部位が伸展されるなどして様々な合併症を生じます。病的近視があると、網膜や脈絡膜が高度に菲薄化し、びまん性萎縮、限局性萎縮、ラッカークラックといった萎縮性病変を生じます。また、黄斑部出血といって、黄斑部という網膜の中心部分に出血が生じることがあり、突然の視力低下や、物が歪んでみえるといった症状が現れます。さらに眼球が変形し前後方向に伸びる際に、伸びきれなくなった網膜がはがれることがあり、網膜剥離や、その前段階である網膜分離が起こります。放置すると網膜剥離や黄斑円孔といった重篤な合併症に進行し、手術が必要となることがあります。また眼球の異常な伸展により、視神経やその神経線維が機械的に障害されやすく、視野障害を引き起こす場合もあります。病的近視では矯正をしても視力が改善せず、進行すると失明に至る可能性があるため注意が必要です。

検査・診断

視力検査により視力の測定が可能です。近視は屈折度の単位であるジオプトリー(D)を用いて分類され、弱度近視は-3.00D未満、中等度近視は-3.00D以上-6.00D未満、-6.00D以上のものは強度近視とされています。病的近視の目安は、5歳以下では-4.00D以上、6~8歳では-6.00D以上、9歳以上では-8.00D以上の近視とされていますが、眼球の変形により病的近視を定義しようとする試みが進んできています。

治療

近視は眼鏡やコンタクトレンズなどの使用により矯正が可能です。眼科医で精密検査を受けて、適切な矯正器具の処方を受けましょう。コンタクトレンズは管理が難しく、管理を誤ると目の病気の原因になるため、中学生や高校生などある程度の年齢に達してから使うのが安全です。またコンタクトレンズは高度管理医療機器に指定されており、目の障害を避けるためにも眼科での定期検査が大切です。

予防/治療後の注意

近視の進行を抑えるために、明るい屋外で活動をすることは効果があると考えられています。ゲーム機やスマートフォンの使用が近視に影響する明確なエビデンスはありませんが、近業(近くを見ること)が近視進行に関与している可能性を考慮すると、過度な使用は控えた方がよいでしょう。近年、近視の進行を抑える特殊な眼鏡やコンタクトレンズ、目薬の研究が進んできていますが、明確な手段は未だ確立されていません。まずは日常生活で十分注意し、使用している矯正器具が合っているかどうか、定期的に眼科で検査を受けるとよいでしょう。また、強度近視では、将来的に緑内障や黄斑変性症、網膜剥離などを発症するリスクが高まりますので、定期的に眼底の検査を受けましょう。

こちらの記事の監修医師

元町マリン眼科

蓮見 由紀子

〇診療科 : 眼科、美容皮膚科、泌尿器科(非常勤・週2回)

【経歴】  
2001年 信州大学医学部卒業
2001年 横浜市立市民病院レジデント
2003年 藤沢市立市民病院眼科専修医
2005年 横浜市大大学院医学研究科博士課程
2007年 米国国立衛生研究所(NIH)研究員
2014年 横浜南共済病院、あおと眼科勤務
2016年 蒼風会追浜駅前眼科院長
​2020年 元町マリン眼科 開院

治療に適した診療科目

眼科

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