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最終更新日:2022年2月17日

これらコレラ

こちらの記事の監修医師
医療法人社団ウェルリード ささき医院
佐々木洋 理事長

概要

コレラは、コレラ菌と呼ばれる細菌に感染することで発症する細菌感染症です。世界に広く分布している数多くのコレラ菌のうち、コレラ毒素を産生するO1血清型とO139血清型のコレラ菌が、ヒトへの感染性を有しています。コレラ菌に汚染された水や食料を摂取することにより経口感染します。消化管内に入ったコレラ菌は酸に弱いため、多くが胃酸によって死滅しますが、少数は小腸に到達し、コレラ毒素を産生することで症状を発症します。大量の水様便とおう吐が主な症状ですが、稀に発熱などの症状が出現することもあります。日本におけるコレラ患者は、海外からの症例が大部分を占めますが、一部輸入食品からの感染と考えられる国内発症事例も報告されています。世界では年間130万人から400万人のコレラ患者が発生し、2万1000人から14万3000人が死亡していると推計されています。

原因

コレラの原因はコレラ菌と呼ばれる細菌による感染症です。コレラ菌に汚染された魚介類や野菜、果物などの農産物、十分に加熱されなかった生もの、室温に長時間放置されたものなどを食べることで感染する危険性があります。コレラ菌は熱や酸に弱いため、通常、胃酸によってコレラ菌を殺菌することが可能ですが、大量にコレラ菌を摂取した場合や、胃酸分泌が低下している人などの場合には、コレラ菌が小腸に到達してコレラ毒素を産生し、コレラの症状が発現します。高齢者や小児、胃酸分泌薬を使用中の人、過去に胃切除術が行われた人などは感染するリスクが高くなります。

症状

コレラ菌の潜伏期間は感染後数時間から1〜3日間です。潜伏期間の後、軽度の下痢やおう吐が出現します。発熱や腹痛は見られないことが多く、無症状の場合も少なくありません。発熱や腹痛がないにもかかわらず、激しい下痢が起こるというのが特徴です。重症の場合には、下痢によって1時間に約1リットルもの水分と塩分が失われることもあり、急激な脱水症状となる危険性があります。重篤な脱水症状になると、口の乾きやふらつき、めまいやけいれんなどが合併することがあり、そのまま適切な治療を行わないと意識障害を引き起こすこともあります。

検査・診断

コレラ菌を検査するために便検査を行います。便を調べることで、コレラ毒素を作るO1血清型とO139血清型のコレラ菌が検出されるかどうかを検査することが可能です。検査材料としては新鮮な下痢便を用いる必要があり、便が取れない場合には患者さんの直腸から直接便を採取する場合もあります。脱水症状が強く発現している場合には、血液検査や尿検査を行い、腎機能や血中電解質の状態を確認することも有用です。

治療

治療の基本は補液(輸液)による水分と電解質の確保です。重度の下痢によって失われた水分や電解質、ミネラルやビタミンを適切に補充することが重要です。下痢によって電解質やミネラルが大量に失われるため、経口的な水分補給方法としては、水やお茶ではなくスポーツドリンクのような飲料が必要です。経口補水液などを使用することができる場合には、経口補水液による水分補給が勧められます。重症の場合には抗菌薬の使用が推奨されています。抗菌薬を使用するメリットとしては、下痢の期間の短縮や菌の排泄期間が短くなることなどが挙げられます。耐性菌の問題等があるため、抗菌薬使用時には適正な抗菌薬を適正量使用する必要があります。

予防・治療後の注意

日本国内でのコレラ感染は非常に稀ですが、蔓延地域へ渡航する際や、下水道設備が不十分な地域での滞在する場合には、飲食物や飲料水、生活用水(シャワーの水など)に対する注意が必要です。手洗いうがい、ミネラルウォーターの使用などはもちろん、加熱できるものは加熱して食べるなどの対策が効果的です。また、カットフルーツなどもコレラ菌に汚染されているリスクが高いことが知られています。コレラは、感染症法において三類感染症として定められているため、診断した医師は直ちに最寄の保健所に届け出ることが義務付けられています。

こちらの記事の監修医師

医療法人社団ウェルリード ささき医院

佐々木洋 理事長

《 経歴 》
平成10年法政大学経済学部卒業。体育会ラグビー部で学生時代を過ごす。
社会人生活ののち、帝京大学医学部へ入学し、平成18年に卒業。
平成18年より板橋中央総合病院とその関連病院で修練(消化器内科・総合診療内科で医長として診療に従事)
平成29年よりささき医院にて診療を開始。
《 資格 》
日本内科学会総合内科専門医
日本消化器病学会専門医
日本消化器内視鏡学会専門医
日本肝臓学会肝臓専門医
日本ヘリコバクター学会 ピロリ菌感染症認定医
日本医師会認定産業医
厚生労働省認定難病指定医

治療に適した診療科目

感染症内科 救急科

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