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最終更新日:2022年7月6日

ふくこうじょうせんきのうこうしんしょう副甲状腺機能亢進症

こちらの記事の監修医師
あおき内科・さいたま糖尿病クリニック
青木 厚

副甲状腺機能亢進症

概要

副甲状腺は、甲状腺の裏側にある楕円形の小さな米粒状の臓器であり、左右に上下2つずつ、合計4つ存在しています。体内のCa代謝において最も重要な調節因子であり、副甲状腺ホルモンを産生しています。副甲状腺機能亢進症とは、何らかの原因により副甲状腺ホルモン(PTH)の産生が増える疾患であり、過剰に分泌されたPTHによって、高Ca・低P血症、消化器症状、骨病変といった症状が現れます。発症機序によって、原発性と続発性(二次性)、三次性に分類されます。

原因

副甲状腺からの副甲状腺ホルモンの産生が増加することにより症状が引き起こされます。原発性副甲状腺機能亢進症は、副甲状腺自体の病変による機能亢進です。副甲状腺の病理所見では、単腺の腫瘍が約80%、過形成が15%、癌が1〜5%を占めます。続発性副甲状腺機能亢進症は、副甲状腺以外の病変に由来する低Ca血症による代償性の機能亢進です。原因疾患としては慢性腎不全が最も多く、その他はビタミンDの作用不全や、吸収障害、薬剤性などがあります。さらに続発性副甲状腺機能亢進症が慢性化し、副甲状腺からの副甲状腺ホルモン産生が自律的に亢進するようになった状態を、三次性副甲状腺機能亢進症といいます。発症の原因に関しては、一部の症例では遺伝子要因があることが明らかになっていますが、現時点でほとんどの症例においては未解明です。

症状

副甲状腺機能亢進症では、高Ca血症により、悪心・嘔吐といった消化器症状や、胃潰瘍、口喝、多飲・多尿、夜間頻尿、尿路結石、筋力低下、うつ状態、情緒不安定、易疲労感などが現れます。重症例では、関節痛、骨自発痛、繊維性骨炎、病的骨折などの骨病変を呈します。また血清Ca上昇、血清P低下、高Cl性代謝性アシドーシスといった異常が現れます。これらの症状によって本疾患が発見されることもありますが、無症候性であることが多いです。

検査・診断

本疾患は多くの場合は無症状ですが、近年では一般検査での異常値などにより発見されることが増えてきました。血液検査、尿検査では、血清Ca・血清intact PTH上昇、血清P低下、尿中へのCa排泄の増加などがみられます。また骨X線像では、繊維性骨炎、指骨骨膜下吸収像、骨量減少、頭蓋骨の塩胡椒像などの、骨脱灰の所見がみられます。診断確定後、局在診断のためには、頸部超音波検査、副甲状腺シンチグラフィ等が行われます。

治療

原発性副甲状腺機能亢進症の治療は、原因となる副甲状腺を摘出する外科的治療が基本となります。薬物治療により血清Caを低下させる手段もいくつかありますが、その効果は一時的であり、根治的な治療とはならないことが多いです。無症状であっても手術適応基準(血清Ca≧基準値上限+1.0mg/dL、クレアチニンクリアランス60mL/分未満、尿路結石の存在、骨密度<-2.5SDもしくは脆弱性骨折の既往、50歳未満)のいずれかを満たせば手術が行われます。高Caクリーゼでは、輸液療法、利尿薬やビスホスホネート製剤などの投与を行います。続発性副甲状腺機能亢進症の場合は、まず根源の病気に対して内科的治療を行い、症状の進行などを考慮した上で手術を実施します。

予防/治療後の注意

一般的な健康診断で血液データに異常値があった場合や、骨粗鬆症の所見や腎・尿路結石等が見つかった場合などは、検査機関の指示のもと精密検査を受けることで、本症の早期発見に繋がります。また症状がごく軽度だったり、何らかの理由で手術を行わない場合も、カルシウム値や、腎臓、骨の状態などを注意深く経過観察し、それぞれの症状に対して必要な治療を受けていく必要があります。

こちらの記事の監修医師

あおき内科・さいたま糖尿病クリニック

青木 厚

〇アクセス:埼玉県さいたま市見沼区東大宮5-39-3 英和ビル3F

〇診療科目 :内科・糖尿病内科・内分泌代謝内科・漢方内科

【所属学会・認定医など】
医学博士(自治医科大学)
日本内科学会 認定内科医・ 総合内科専門医
日本内分泌学会 内分泌代謝科(内科)専門医
日本糖尿病学会 専門医 ・研修指導医

【経歴】
2002年 福井医科大学(現 福井大学)卒業
2002年 長野赤十字病院
2004年 川崎市立川崎病院 内科
2006年 自治医科大学附属さいたま医療センター 総合診療科
2008年 自治医科大学附属さいたま医療センター 内分泌代謝科
2010年 自治医科大学大学院 医学研究科 入学
2014年 自治医科大学大学院 医学研究科 卒業 医学博士 習得
2015年 青木内科・リハビリテーション科 開設

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