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最終更新日:2022年7月6日

ときそぷらずませいもうみゃくらくまくえんトキソプラズマ性網脈絡膜炎

こちらの記事の監修医師
スマイル眼科クリニック
岡野 敬

トキソプラズマ性網脈絡膜炎

概要

トキソプラズマ性網脈絡膜炎は、トキソプラズマという原虫の感染によって起こります。母親が妊娠中、トキソプラズマに感染することで、赤ちゃんにも感染する先天性のものと、野良猫と接したり、家猫でも他の猫と接触することでトキソプラズマに感染する後天性のものがあります。また、生肉や近年流行ってきているジビエ料理(馬、鹿、猪、鳥類も)なども、不十分な調理によってトキソプラズマ感染症を起こす可能性があるといわれています。症状としては、視力低下、視野異常、かすみ目、飛蚊症などがあります。診断は症状や、眼底検査、抗体検査、PCR検査で行います。治療法は抗原虫薬の内服です。予防は、野良猫との接触を避ける、生肉を食べない、むやみに土を触らないなどであり、特に妊娠する可能性の高い女性や妊婦は気をつけてください。

原因

トキソプラズマ性網脈絡膜炎は、トキソプラズマという原虫の感染によって起こります。トキソプラズマ原虫は、主に猫の小腸で増殖して、糞便中に排出されます。また、他の哺乳類や鳥類の筋肉内にも寄生しており、感染源として注意が必要です。トキソプラズマが寄生した哺乳類や鳥類の生肉を食べたり、野良猫と接したり、ガーデニング・農業・河川などで、猫の糞便から排出されたトキソプラズマを含む土に接触したりすることで、ヒトの口から感染します。ヒトの体内に入ったトキソプラズマは、血液を経て眼内に入り、網膜・脈絡膜に感染し、組織を破壊しますが、これが後天性トキソプラズマ性網脈絡膜炎の原因です。ただし、トキソプラズマが感染しても、すぐに症状が出るわけではなく、網脈絡膜炎になる確率は2∼3%くらいとの報告があります。トキソプラズマ感染後、免疫不全状態となった時に症状が出ることが大半です。また、母親が妊娠中、トキソプラズマに感染することで、赤ちゃんも感染し、発症することがあります。これが、先天性トキソプラズマ性網脈絡膜炎です。

症状

先天性トキソプラズマ性網脈絡膜炎の場合は両眼に、後天性感染の場合は片眼に症状が出ることが多いのが特徴です。先天性感染の場合、生まれつき、著しい視力低下、視野異常、小眼球症、白内障、視神経委縮といった症状がでます。生まれたときは眼の症状がなく(不顕性感染)、思春期まで遅れて症状が出てくることもあります。後天性トキソプラズマ性網脈絡膜炎の症状は、視力低下、かすみ目、小さなゴミのようなものが見える飛蚊症、白内障などです。

検査・診断

眼底検査のみで網脈絡膜炎と診断できます。トキソプラズマによるものかどうかは、病歴の確認が必要です。小児では母親がトキソプラズマ感染を起こしていないかを調べます。その他、生肉を食べなかったか、渡航歴はないか、野良猫と接触していないか、ガーデニング・農業・河川などで土に接触したかなども確認が必要です。免疫不全を起こす基礎疾患(白血病、抗がん剤使用中、移植後、ステロイドや免疫抑制剤、HIV感染症など)はないかも調べます。検査として行うのは、トキソプラズマ抗体検査、PCR検査です。ただし、日本人成人は過去にトキソプラズマに感染している場合が多く、生肉を食べる習慣がある地域では、トキソプラズマ抗体保有率が50∼60%になることがあります。ですから、抗体検査だけでは診断できません。また、眼の中の硝子体液でPCR検査することもあります。

治療

トキソプラズマ性網脈絡膜炎は、抗原虫薬の内服で治療します。ただし、先天性トキソプラズマ性網脈絡膜炎で、トキソプラズマの活動性がないときは治療の必要はありません。それに対し、再発した場合や、後天性トキソプラズマ性網脈絡膜炎の場合は治療します。また、妊娠の可能性がある女性や妊娠が確認された女性は、特に治療が必要です。内服治療は、4~8週間以上、免疫状態が回復するまで続けます。眼内の炎症が強いときは、ステロイド内服もしますが、これ単独で用いることはありません。白内障は、視力の回復が期待できるかどうかを、検査したうえで手術を検討します。

予防/治療後の注意

抗原虫薬の副作用で骨髄抑制、薬疹、腎障害などを起こすことがあり、注意が必要です。トキソプラズマ性網脈絡膜炎の治療後も16~50%が再発するという報告があります。妊娠すると再発しやすく、赤ちゃんにも感染するリスクがあるので、妊婦健診でトキソプラズマ抗体を確認することが重要です。また、妊婦は感染リスクを避けるため、野良猫との接触を避ける、生肉を食べない、むやみに土を触らないなどに気をつけてください。

こちらの記事の監修医師

スマイル眼科クリニック

岡野 敬

〇診療科 :眼科
〇アクセス:神奈川県横浜市青葉区青葉台1-6-12 カンゼームビル4F

【経歴】
平成9年 杏林大学医学部卒業。
杏林大学病院アイセンター、公立阿伎留病院眼科、志和眼科医院、都南眼科、みたけ眼科、やはば眼科院長として勤務し、外来診療と手術を行う。
平成14年9月より、横浜市青葉区のスマイル眼科に勤務。
平成15年1月よりスマイル眼科クリニック院長。

【専門】
前眼部疾患、緑内障、アレルギーなど一般眼科外来、コンピュータ支援医療

【所属学会】
日本眼科学会、日本眼科医会、ドライアイ研究会、日本LIME研究会、近視学会、東洋医学会会員。

【趣味】
コンピュータ、ワイン、コーヒー、料理など。 二児の父。最近は辰巳琢郎氏の推薦により、六本木男声合唱団倶楽部に所属し、ボランティア活動にも精を出す。

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眼科

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