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最終更新日:2022年3月22日

ようよう

こちらの記事の監修医師
成増駅前かわい皮膚科
河合 徹 院長

概要

聞き慣れない病名だという人も多いと思いますが、「よう」というのは、いわゆる「おでき」や「ふきでもの」のようなものです。皮膚の細菌感染によって、皮膚の下に膿が溜まって硬結(固くなっている)している状態です。「おでき」のことを専門的には「せつ」とよび、「せつ」が集まって大きくなったものが「よう」です。ブドウ球菌などの常在菌が毛穴や傷口から皮膚に入り込むことで、皮膚の下に感染が生じて炎症が起こります。感染によって病変部は化膿して膿を持ち、皮膚が盛り上がったような「せつ(おでき)」が形成されます。さらに、皮膚の下で複数の「せつ」が結合し、より大きな病変が形成されて「よう」となります。

原因

皮膚に存在する毛包(毛根やその周囲の組織)に細菌が入り込むことで、化膿を伴う感染症を引き起こし、「よう」が形成されます。主な原因菌となるブドウ球菌は一般的に皮膚に存在している常在菌であるため、通常は問題とはなりません。しかし、アトピー性皮膚炎や肌の乾燥、傷、虫刺されなど、何らかの原因によって皮膚のバリア機能が低下している場合には細菌が入り込みやすくなります。「せつ」、「よう」ともに、健康な若年者にも発症することがある疾患ですが、メタボリックシンドロームや免疫抑制状態、高齢者、糖尿病患者では、発症リスクが高いことが知られています。

症状

「よう」の前段階である「せつ」は、頸部、乳房、顔面、殿部に発生しやすいことが知られています。膿をもった様なしこり(おでき)が出現し、熱感や痛み(圧痛)を伴うこともあります。炎症や化膿がひどくなると、黄色い膿が排出される場合もあります。「よう」は「せつ」が複数つながったものであるため、より大きな範囲に病変が出現します。炎症がひどい場合には、発熱や倦怠感などの全身的な症状が出現する可能性もあります

検査・診断

「せつ」や「よう」の診断の際には、症状の問診や病変部の視診、病歴や既往歴の確認が行われます。必要に応じて超音波検査(エコー)を行い、病変の深さや膿の状態などを検査します。浸出液や膿などを培養することで原因菌の特定を行う場合もあります。特に、ブドウ球菌は薬剤の耐性化(抗生物質が効きにくくなる状態)を生じやすく、一般的な抗菌薬(抗生物質)による治療が奏功しないケースも考えられます。そのため、膿を培養して原因菌の性質を特定することで、どのような抗菌薬が効きやすいか、薬剤の耐性化は生じているか、などを検査することができます。この検査は薬剤感受性検査とよばれ、抗菌薬治療を成功させるためには非常に重要となります。

治療

明らかな膿をもった病変部の場合、外科的に切開をして排膿するのが最も効果的な治療法です。排膿して細菌の量を減らし、さらなる感染予防のために抗菌薬による薬物治療を併用します。病変部の大きさや膿の量、発熱などの全身症状にもよりますが、切開排膿を行って患部を清潔にすることで、症状が一気に落ち着くことも少なくありません。炎症が強く痛みなどが出現している場合には、一時的に抗菌薬治療を行って症状を落ち着かせてから切開を行う場合もあります。顔面にできた小さい病変など、切開排膿による傷跡を避ける場合には抗菌薬治療が選択されるケースもあります。

予防/治療後の注意

初期症状として、かゆみや違和感(しこり)などが出現するため、気になって何度も触ってしまうという人も少なくありません。しかし、病変部に触れることで炎症は強まり、症状はどんどん悪化していきます。病変が小さい場合には、抗菌薬治療だけでも十分治療可能なことも多く、下手に自分で触らない(圧出しようとしない)ことが重要です。また、肌のバリア機能低下が「せつ」や「よう」の根本的な原因となるため、皮膚の乾燥を防ぎ、バランスの良い食生活をして、ストレスのない生活習慣を心がけることが大切です。

こちらの記事の監修医師

成増駅前かわい皮膚科

河合 徹 院長

【経歴】
・台湾生まれ、東京都板橋区出身
・台湾大学医学部卒業
・日本国医師免許および台湾医師免許のダブルライセンス
・東京大学医学部皮膚科助教(2017年〜2019年)
・2020年 成増駅前かわい皮膚科開業

【資格】
皮膚科専門医・がん治療認定医・産業医

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