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最終更新日:2022年3月23日

げんきょくせい きょうひしょう限局性強皮症

こちらの記事の監修医師
成増駅前かわい皮膚科
河合 徹 院長

概要

限局性強皮症とは、手や足、体幹など、「皮膚」や「皮下組織」が主に硬くなり、時に「脂肪組織」「筋肉」「骨」の深さまで組織の変性を伴う疾患であり、自己免疫疾患の一種です。一方、全身性強皮症は皮膚や内臓が硬くなる疾患であり、限局性強皮症と全身強皮症の病態は異なります。全身性強皮症は、組織傷害(組織が硬くなる変化)が脂肪や筋、骨などの深部組織にまで及ぶため、病変部の萎縮や変形、成長障害などを認めますが、限局性強皮症の場合には、皮膚と皮下組織に限局して症状が出現するため、内臓病変を伴うことはありません。海外の報告によると、人口10万人あたり0.34〜2.7人程度と推定されており、日本での有病率も同程度であると考えられています。小児期の発症が多く、男女比は約1: 2〜4であるため、患者さんの大半は女児となります。

原因

限局性強皮症は自己免疫の異常によって発症する、自己免疫疾患の一種であると考えられていますが、詳細な発症メカニズムは明らかになっていません。病変部位に強い炎症細胞の浸潤がみられる他、高頻度に自己抗体が検出されます。感染症やワクチン接種、激しいやけどや大きな外傷などが引き金となって、自己免疫に異常が発生する可能性が示唆されていますが、こちらもはっきりとした原因は分かっていません。

症状

手足や頭・顔、体幹など、皮膚の一部が硬くなるのが限局性強皮症の主な症状です。限局性強皮症は発現する症状によって5つのタイプに分類されます。病変部の境界がはっきりとしている少数の病変が体幹部や四肢(手や足)に発現する場合を「斑状強皮症」。四肢、顔面、頭部に、病変部の境界が比較的不明瞭な症状が発現する場合を「線状強皮症」。直径3cm以上の皮疹が4つ以上あり、全身(頭頸部、右上肢、左上肢、右下肢、左下肢、体幹前面、体幹後面)の2つ以上の領域に病変が出現している場合が「汎発型限局性強皮症」。汎発型限局性強皮症の中でも、病変が深部にまで及んでいる場合を「Pansclerotic morphea」。以上4つのタイプのうち2つ以上が混在している場合を「Mixed morphea」といいます。

検査・診断

問診や視診を行いながら、病歴や家族歴、服用歴(ワクチン接種の有無を含む)などを調査します。血液検査に加えて、小児例で施行しやすい超音波検査、そして頭部にしやすい剣創状強皮症では脳病変の有無を評価するのにCT・MRIなどの画像検査を組み合わせて病変部を確認します。皮膚病変を採取して組織の状態を確認する細胞診検査(病理検査)も実施します。内蔵にまで病変が及ぶ全身性強皮症との鑑別も重要となります。

治療

皮膚症状に対しては、ステロイドや免疫抑制剤の外用薬などを使用して局所的な治療を行います。しかし、重要度や病変部の状態によって治療を必要としない場合もあり、経過観察となるケースも少なくありません。病変が進行している場合や、より広範囲に病変がみとめられる場合には薬物治療を開始することもあります。また、急速に病変が拡大している場合や、病変によって何らかの機能障害が出現している場合には、ステロイドや免疫抑制剤の内服薬を使用することで、全身性に治療を行います。病状が比較的落ち着いている場合でも、病変部の影響によって外見上の問題が生じているケースでは、状況に応じて外科的な治療を追加して、病変部の整容性を整える場合もあります。

予防/治療後の注意

限局性強皮症の症状の大半は皮膚から皮下組織部分のみに出現するため、比較的予後は良好で、健康上に大きな問題が発生するという可能性は高くありません。しかし、病変部は皮膚に現れて長期的に残り続けるため、外見上に問題が生じる可能性があります。外見上の問題が心理的な疾患を惹起するケースも多いため、形成的な側面の治療を検討していくことも重要になります。また、治療によって疾患の活動性が低下した場合であっても、しばしば症状の再燃が見られる場合があるため、長期的な経過観察が必要になります。

こちらの記事の監修医師

成増駅前かわい皮膚科

河合 徹 院長

【経歴】
・台湾生まれ、東京都板橋区出身
・台湾大学医学部卒業
・日本国医師免許および台湾医師免許のダブルライセンス
・東京大学医学部皮膚科助教(2017年〜2019年)
・2020年 成増駅前かわい皮膚科開業

【資格】
皮膚科専門医・がん治療認定医・産業医

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皮膚科

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