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最終更新日:2022年7月6日

ぺすとペスト

こちらの記事の監修医師
グローバルヘルスケアクリニック
水野 泰孝

ペスト

概要

ペストとは、ペスト菌による感染症であり、人類の歴史上大規模な流行(パンデミック)が何度も起こっている感染性疾患です。ペストを発症すると、全身(手や足、顔など)に黒いあざが生じることから、黒死病とも呼ばれることがあります。アジア諸国やアメリカ西部、南アメリカなど、世界中に分布しています。歴史的には、エジプトやヨーロッパ、インド、中国などで非常に大きなパンデミックが起こったことが報告されており、推定の死者数は3000万人程度とも言われています。ペスト菌は、ネズミなどの野生動物や家畜などに寄生するノミが、ヒトへの感染の媒介者となることが知られています。また、肺ペスト(肺にペスト菌が感染した感染症)の患者さんの咳やくしゃみなどによる飛沫による感染や血液・体液による感染が拡大する場合もあるため、患者のケア等にも十分な注意が必要になります。

原因

ペストの原因はペスト菌と呼ばれる細菌による感染症です。ペスト菌は、主にネズミやマウスなどのげっ歯類に感染している場合が多く、ペスト菌に感染した動物に寄生しているノミが菌を媒介することが知られています。動物からヒトへはノミを介して感染が拡大し、感染者の血液、体液、飛沫(咳やくしゃみのしぶき)などによって、ヒトとヒトとの間で感染が広がっていきます。特にペストの報告がある地域へ渡航する際には、野生動物や家畜に近寄らないことはもちろんのこと、状況によっては抗菌薬の予防投与などを行うことも考慮しましょう。

症状

ペストは感染経路によって、肺ペスト、敗血症性ペスト、腺ペストに分類されます。腺ペストの場合は、ペスト菌の感染成立後、感染部位付近のリンパ節にペスト菌が移行し、菌の増殖が行われます。感染部位のリンパ節ではリンパ節の壊死や膿瘍の形成が起こり、全身に感染症症状が出現します。腺ペストの段階で適切な処置が行われない場合、敗血症性ペストに移行し、血流によって全身にペスト菌が運ばれます。敗血症性ペスト発症後3~4日経過後には、急激なショック症状や昏睡、手足の壊死、紫斑など敗血症の所見がみられ、多くの場合で2~3日以内に死亡します。また、最も重篤なタイプの肺ペストでは、強烈な頭痛、嘔吐、40℃前後の高熱、急激な呼吸困難、ショックなどを呈して、最短12時間程度で死亡するといわれています。このように、ペストの症状は非常に重篤であり、迅速で適切な処置が必要となります。

検査・診断

ペストの検査や診断は、培養検査やPCR検査によってペスト菌を同定することで行われます。培養検査は血液や痰などの検体を用いて行われます。感染者に対するアプローチとしては、各種臓器機能を検査するため、血液検査や必要な画像検査が追加されます。

治療

ペスト菌には、ストレプトマイシン、ドキシサイクリン、レボフロキサシンなどの抗菌薬が有効であることが知られています。これらの薬剤は日本国内でもペスト菌に対する適応を取得しています。適切な抗菌薬治療によって、比較的早期に軽快させることが可能となり、渡航歴や症状などからペストが疑われた場合には、一刻も早い抗菌薬治療が重要となります。また、必要に応じて輸液などの投与を行い、全身管理に努めることも重要です。抗菌薬による一般的な治療期間は10日から2週間とされています。

予防/治療後の注意

ペストを予防するためには、ペスト菌に感染しないということが重要となります。感染流行地域へ渡航する際には、野生動物や野犬などとの接触は避け、家畜やペットにも注意が必要です。ペストに有効とされるワクチンはありませんが、抗菌薬の予防投与の有用性は確認されており、ペスト菌感染者との接触があった場合には、適切な抗菌薬を予防的に投与することも大切です。

こちらの記事の監修医師

グローバルヘルスケアクリニック

水野 泰孝

〇診療科:内科・感染症内科・小児科・アレルギー科・トラベルクリニック

【学歴 】
私立駒場東邦中・高等学校(1982-1988)
昭和大学医学部医学科(1988-1994)
東京慈恵会医科大学大学院医学研究科(熱帯医学専攻)(1998-2003)
長崎大学熱帯医学研究所(1999)
(Diploma in Tropical Medicine)
タイ王国マヒドン大学熱帯医学部(2001)
(Diploma in Tropical Medicine & Hygiene; DTM&H)
バングラデシュ国下痢症疾患研究所(2002)
(Workshop on Emerging and Re-emerging pathogens)
連合王国ロンドン大学公衆衛生・熱帯医学部(2005)
(Travel Medicine Short Course)

【職歴】
東京慈恵会医科大学付属病院 臨床研修医(1994-1996)
東京慈恵会医科大学付属柏病院・第三病院 小児科助教(1996-1998)
東京慈恵会医科大学付属病院 感染制御部 診療医員(2003-2004)
国立国際医療センター(現:国際医療研究センター)国際医療協力局 厚生労働技官(2004-2005)
国立国際医療センター病院 国際疾病センター(現:国際感染症センター)厚生労働技官(2005-2010)
外務省 在ベトナム日本国大使館 一等書記官兼医務官(厚生労働省より出向)(2007-2009)
国際協力機構(JICA)感染症顧問医(2009-2017)
厚生労働省羽田空港検疫所 非常勤医師(2011-2019)
東京医科大学病院 感染制御部・渡航者医療センター 准教授(2010-2018)
東京医科大学病院 感染制御部 部長(2013-2015)
東京医科大学病院 感染症科 診療科長(2013-2015)
東京医科大学病院 国際診療部 部長(2016-2018)
一般病院・診療所 非常勤医師(2017-2019) 東京都(杉並区、新宿区、葛飾区、世田谷区、千代田区、調布市)、神奈川県(横浜市、川崎市)、千葉県(松戸市、流山市)、埼玉県(所沢市、三郷市、蕨市、羽生市、吉川市、上尾市)、栃木県(真岡市)、群馬県(渋川市)、茨城県(古河市)、山形県(庄内町)、岩手県(奥州市)、北海道(旭川市、釧路市、月形町、江差町)、熊本県(天草市)

【役職】
日本感染症学会評議員
日本熱帯医学会評議員
日本化学療法学会評議員
日本渡航医学会評議員
日本臨床寄生虫学会評議員
日本小児科医会国際委員長
国際協力機構海外協力隊派遣前訓練 感染症講師
株式会社 わらべや日洋ホールディングス釧路工場 嘱託産業医
株式会社JM 嘱託産業医
社会福祉法人ちとせ交友会 嘱託医
株式会社 電通 感染症対策アドバイザー
東京都三鷹市 感染症対策アドバイザー
認定資格
日本感染症学会認定感染症専門医・指導医
日本小児科学会認定小児科専門医・指導医
日本アレルギー学会認定アレルギー専門医
日本医師会認定産業医
日本感染症学会推薦インフェクションコントロールドクター(ICD)
身体障害者福祉法指定医(免疫機能障害)
国際渡航医学会認定医(CTH® )
米国熱帯医学会認定医(CTropMed® )
一般旅行業務取扱管理者
PADIスクーバダイビングインストラクター(OWSI)
日本臨床内科医会認定医(~2013)日本人間ドック学会認定医(~2014)日本温泉気候物理医学会温泉療法医(~2015)日本化学療法学会抗菌化学療法指導医(~2017)

治療に適した診療科目

感染症内科

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