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急性膵炎【イシャチョク】

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最終更新日:2022年2月22日

きゅうせいすいえん急性膵炎

こちらの記事の監修医師
ファミリークリニックひきふね
梅舟仰胤 院長

概要

急性膵炎とは、何らかの原因によって膵臓の消化酵素が突発的に活性化し、自分自身の膵臓や他の周囲組織を傷害することで、膵臓に炎症が発生する急性病変です。膵臓では食べ物や栄養素を消化するための消化酵素を生産しており、通常、膵臓で大量に生産、貯蔵される消化酵素は、食事の刺激に応じて膵管を通って十二指腸に分泌され、その後に初めて活性化されます。そのため、消化酵素が働くのは食事に対してであり、自分自身を傷つけることはありません。しかし、膵臓や膵液(膵臓の酵素)に異常が生じると、自己組織を傷害するようになってしまい、膵炎発症のきっかけとなります。急性膵炎の主な原因は、胆石とアルコール乱用であり、原因不明の膵炎も存在します。重度の腹痛が出現することで、痛みが背部にまで及ぶことがあります。基本的には、重症度を問わず、入院治療が必要となります。

原因

急性膵炎発症の70%以上が「胆石」と「アルコール多飲」です。特に、アルコールの過飲が急性膵炎発症原因の約40%を占めており、飲酒習慣を含めた生活就活週間の改善が必要になります。アルコールがどのようにして膵炎を引き起こすのかというメカニズムは、まだ十分に解明されていませんが、膵炎の発生リスクは飲酒量とともに高まることが分かっているため、大量の飲酒を控えることが大切です。もう一方の原因である胆石は、胆嚢内で固形物が凝縮した(固まった)ものであり、この胆石が胆嚢と膵臓をつなげている管(総胆管)の中に入り込むことで、管を詰まらせてしまいます。結果的に膵液の流れが滞り、消化酵素が膵臓や周辺の組織を傷つけてしまうようになります。

症状

自覚症状は、腹痛が90%以上に発現します。特に上腹部に重度の腹痛が生じ、痛みは背部にまで及ぶことがあります。さらに、悪心や嘔吐などがみられることもあります。また、前屈みの姿勢になると腹痛が軽減する傾向があるため、疾患の鑑別に有用です。胆石による急性膵炎では、痛みは突然始まることが多く、数分で最大の強さに達します。一方、アルコールにより膵炎が生じている場合、数日かけて痛みが増強することが多いです。ひどい吐き気に見舞われることもあり、吐いても吐いても吐き気がおさまらないという症状を呈する場合もあります。その他には、食欲不振、発熱、腹部膨満感なども出現します。38℃以上の高熱が出ることもあります。

検査・診断

急性膵炎が疑われる場合は、まず血液検査、腹部超音波検査、Ⅹ線CTなどの検査を行います。急性膵炎に特徴的な腹痛があるとき、胆嚢疾患や疾患の既往歴(病歴)がある人、大量の飲酒習慣がある人の場合は、急性膵炎が強く疑われます。さらに膵炎の原因や重症度などに応じて追加の検査が必要になる場合もあります。感染症の影響が疑われる場合には、感染の原因となった病原菌を同定するなどの検査が追加されます。

治療

急性膵炎の治療には入院が必要です。軽症例では、短期間入院して輸液を行い、鎮痛薬を用いて激しい痛みを緩和する治療が行われます。食事にも注意が必要で、通常は膵臓を休ませるために絶食します。吐き気、嘔吐、重度の痛みがなければ、様子を見て柔らかい食べ物から食事を開始していきます。重症例では外科手術や血液透析が必要な場合もあります。胆石が原因の膵炎患者の大半は自然に胆石が排出されますが、排出されない胆石がある場合は、ERCPと呼ばれる処置を行い、胆石の除去治療が行われます。長期間絶食となる場合もあるため、輸液などを用いた栄養管理や水分補給も重要となります。

予防/治療後の注意

軽症は数週間(2-3週間)の入院治療で症状は軽快します。この場合、膵機能障害などの後遺症が残ることも少ないです。しかし、膵炎による組織の損傷がひどい場合や、炎症が膵臓だけにとどまらない場合など、重症例の致命率は高く、ショック症状や心不全などの重篤な合併症を併発することもあります。予防や再発予防のためには、膵炎発症の原因となる胆石やアルコールの多飲に対する生活習慣の改善が必須です。特に大量の飲酒習慣がある人は、膵炎発症のリスクが非常に高いため、健康な間に飲酒習慣を見直しておくことが大切です。

こちらの記事の監修医師

ファミリークリニックひきふね

梅舟仰胤 院長

〇経歴:
東京大学大学院医学博士課程修了。2017年ファミリークリニックひきふね開院。「苦痛のない内視鏡により、胃がん大腸がんで亡くなるをゼロに!」をミッションとし、年間4,000件以上の内視鏡検査を行うお腹のスペシャリスト。東京大学医学部消化器内科非常勤医師、消化器病専門医、内視鏡専門医、総合内科専門医。テレビなどメディア出演多数。

治療に適した診療科目

内科・消化器内科

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