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腎性尿崩症【イシャチョク】

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最終更新日:2023年2月25日

じんせいにょうほうしょう腎性尿崩症

こちらの記事の監修医師
あおき内科・さいたま糖尿病クリニック
青木 厚

概要

人間の尿の量は、バソプレシン(AVP)という、尿量を少なくする作用をもつ抗利尿ホルモン(ADH)によって調節されています。ADHは腎臓に働きかけ、腎臓における水分の再吸収を調整することにより、尿の量を調節しています。例えば脱水状態では、血液中のADHは増加して、体に水分を保持する機構が働き、尿量は減少します。逆に水分を必要以上に摂取した際には、ADHが低下して、余分な水分を尿として排泄し、尿量は増加します。こうした尿量の調整機能は、人間の体内の水分や電解質のバランスを保つために重要な役割を担っています。腎性尿崩症は、このADHに対する腎臓の反応性が低下するために尿を濃縮することができず、希釈された多量の尿が出る疾患です。尿量が増加して水分が失われるため、喉が渇き、大量の水分を摂取するようになります。

原因

腎性尿崩症は、遺伝子の変異によって発症する先天性と、その他の原因で発症する後天性に分類することができます。先天性腎性尿崩症は遺伝性の疾患であり、疾患の原因となる遺伝子変異は、親の世代から引き継がれる場合と、突然変異によって生じる場合があります。後天性腎性尿崩症は、バソプレシンの作用を阻害する薬によって引き起こされる場合や、他の疾患により腎臓が侵された場合にも発生する可能性があります。ときに原因不明の場合もあります。

症状

腎性尿崩症を発症すると、ADHに対する腎臓の反応性が低下するために尿を濃縮することができず、希釈された尿が出て、尿の量が増加します(多尿)。1日当たり3~20Lもの尿を排泄する場合もあります。さらに、尿量が増加して水分が失われるため、口喝(喉の渇き)や、多飲(大量の水分を摂取すること)といった症状が現れます。多飲による食欲の低下や体重の減少が起こることもあります。重要な合併症として、新生児期・乳児期の、高度な高Na血症と脱水による中枢神経障害があげられます。適切な治療を早期に行わなかった場合は、知能障害を残すおそれがあります。また、多尿に伴い、尿の通り道である腎盂、尿管、膀胱の二次的拡張がみられ、水腎症や水尿管症、巨大膀胱など、尿路系の拡張が発生します。その結果、逆流性腎症や、さらには腎不全にいたる場合もあります。乳児や認知症のある高齢者などは、喉の渇きを伝えることができないため、脱水症状を起こしやすい傾向があります。

検査・診断

腎性尿崩症の診断は、血液検査と尿検査の結果に基づいてなされます。また、最大尿濃縮能と外因性バソプレシンに対する反応を評価する水制限試験が行われます。

治療

腎性尿崩症による脱水を予防するため、十分な量の水分を摂取する必要があります。腎性尿崩症の根治治療を行うことは、現時点では困難ですが、サイアザイド系利尿薬やナトリウム摂取の制限を行い、血液中のナトリウムの濃度が高くなる状態(高Ns血症)を生ずることなく、尿の量を減らすことができるように対応します。また、インドメタシン誘導体などのプロスタグランジン合成阻害薬が併用されることもあります。軽症の先天性腎性尿崩症では、抗利尿ホルモン剤によって、ある程度尿量を減少させることが可能な場合もあります。後天性の場合は、原因の是正または、可能性の高い腎毒性物質の中止を行います。水腎症、水尿管症、巨大膀胱に対しては、尿量を減らす治療と,カテーテルによって尿を排出させる治療が行われます。

予防/治療後の注意

腎性尿崩症が重度の脱水に陥る前に診断された場合は、予後は良好です。日常生活では、飲水とトイレの使用が自由にできる環境を整え、脱水予防のために水分を十分に摂取しましょう。自分から喉の渇きを伝えられない乳幼児や認知症のある高齢者では、特に脱水に注意が必要です。また、患者が小児の場合は、成長不良がないかを定期的にモニタリングするようにしましょう。

こちらの記事の監修医師

あおき内科・さいたま糖尿病クリニック

青木 厚

〇診療科目 :内科・糖尿病内科・内分泌代謝内科・漢方内科

【所属学会・認定医など】
医学博士(自治医科大学)
日本内科学会 認定内科医・ 総合内科専門医
日本内分泌学会 内分泌代謝科(内科)専門医
日本糖尿病学会 専門医 ・研修指導医

【経歴】
2002年 福井医科大学(現 福井大学)卒業
2002年 長野赤十字病院
2004年 川崎市立川崎病院 内科
2006年 自治医科大学附属さいたま医療センター 総合診療科
2008年 自治医科大学附属さいたま医療センター 内分泌代謝科
2010年 自治医科大学大学院 医学研究科 入学
2014年 自治医科大学大学院 医学研究科 卒業 医学博士 習得
2015年 青木内科・リハビリテーション科 開設

治療に適した診療科目

内分泌内科 泌尿器科 腎臓内科 腎臓外科

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