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最終更新日:2022年7月6日

たはつせいこうかしょう多発性硬化症

こちらの記事の監修医師
スマイル眼科クリニック
岡野 敬

多発性硬化症

概要

多発性硬化症は、従来「視神経脊髄炎:Neuromyelitis Optica Spectrum Disorders/NMOSD」と呼ばれており、最近では同一疾患の亜種ではないかと推定されています。中枢神経系の白質とよばれる領域のいたるところに炎症性の脱髄性病変(髄鞘の障害)が発生し、様々な神経症状が何度も再発と寛解を繰り返す疾患です。通常、中神経系のみが侵され、末梢神経系は障害されません。発症には明らかな人種差があり、白人に多く、黒人や黄色人種には少ない疾患です。日本においての有病率は人口10万人あたり14~18人程度であり、北欧や北米の10分の1程度です。炎症を起こした脳や脊髄の病巣は後に硬くなるため、多発性硬化症という病名がつけられました。

原因

本来人間の体内では、細菌やウイルスなどの外的から自分を守るために、白血球やリンパ球が機能しています。これらの免疫系に異常が起き、自分の脳や脊髄を外敵と見なして攻撃してしまうことがあり、これが多発性硬化症の原因であると考えられています。リスク因子として、高緯度地域での生活など日照時間が短い地域の生活者は紫外線に当たらないことで活性型ビタミンDが生成されないことが原因だと考えられています。また、EBウイルス感染や帯状疱疹、ヘルプスウイルス、喫煙などが指摘されています。詳しい原因は明らかではありませんが、遺伝的な因子と、先述した環境因子が影響していると考えられています。

症状

多発性硬化症では、神経細胞の突起を覆う髄鞘が自己免疫の標的となり、髄鞘が壊され(脱随)、神経からの命令が伝わりにくくなります。多発性硬化症でみられる症状は、脱髄が起こる部位によって異なります。触った感触や温度の感覚が鈍くなったり、逆に過敏になったり、痛みやしびれ感など、異常な感覚が生じることがあります。また手足の脱力や筋力低下などの運動障害があらわれることもあります。目の障害として、急激な視力低下や、かすみ目、複視(物が二重に見える)といった症状があらわれます。また頻尿や失禁、排尿困難感や残尿感といった排尿障害がでることもあります。さらに多幸感、抑うつ、といった精神症状など、障害部位によって様々な症状を呈します。これらの症状が再発と寛解を繰り返していき、長期的にみると増悪していきます。さらに、入浴や運動などで体温が上がると、症状が一時的に悪化することがあります(ウートフ徴候)。また、頚部の前屈で、背中から下方に電撃的な痛みが放散することがあります(レルミッテ徴候)。

検査・診断

多発性硬化症の診断のためには、問診に加え、神経診察、髄液検査、電気生理検査、MRI検査などを行います。さらに、似たような症状をきたす他の病気を鑑別することで多発性硬化症の診断がなされます。

治療

多発性硬化症の治療は主に、自己免疫反応を抑える薬物療法を中心に、後遺症状への対症療法を行っていきます。急性増悪期の治療としては、ステロイドパルス治療や、奏功しない場合は血液浄化療法を行います。寛解期の再発予防・進行抑制には、インターフェロンやグラチラマー酢酸塩、フィンゴリモド、ナタリズマブなどによる薬物治療がなされます。また神経障害性疼痛に対しては、カルバマゼピンやプレガバリンなどによる治療がなされます。また排尿障害に対しては抗コリン薬、運動機能の保持のためにはリハビリテーションなども行われます。

予防/治療後の注意

多発性硬化症は、症状の寛解と増悪を繰り返しながら、全体としては徐々に増悪していきます。症状が出ていなくても、中枢神経系では炎症が起きているため、症状の落ち着いている寛解期においても、定期的な検査と治療を受けることが重要です。また感染症や疲労、ストレスなどが再発の誘因ですので、それらに注意しながら、日常生活では適度に休息をとり無理をしないようにしましょう。

こちらの記事の監修医師

スマイル眼科クリニック

岡野 敬

〇診療科 :眼科
〇アクセス:神奈川県横浜市青葉区青葉台1-6-12 カンゼームビル4F

【経歴】
平成9年 杏林大学医学部卒業。
杏林大学病院アイセンター、公立阿伎留病院眼科、志和眼科医院、都南眼科、みたけ眼科、やはば眼科院長として勤務し、外来診療と手術を行う。
平成14年9月より、横浜市青葉区のスマイル眼科に勤務。
平成15年1月よりスマイル眼科クリニック院長。

【専門】
前眼部疾患、緑内障、アレルギーなど一般眼科外来、コンピュータ支援医療

【所属学会】
日本眼科学会、日本眼科医会、ドライアイ研究会、日本LIME研究会、近視学会、東洋医学会会員。

【趣味】
コンピュータ、ワイン、コーヒー、料理など。 二児の父。最近は辰巳琢郎氏の推薦により、六本木男声合唱団倶楽部に所属し、ボランティア活動にも精を出す。

治療に適した診療科目

眼科 神経内科

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