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最終更新日:2022年4月28日

「豊胸すると乳がんになりやすい」の真相に迫る

こちらの記事の監修医師
南クリニック
南 晴洋 先生

(写真=PIXTA)

豊胸を考えている人の多くから「豊胸するとがんになりやすいのですか?」という質問を受けます。昔からそのような噂はありましたが、いまだに心配の声が聞かれます。改めて豊胸とがんの関係についてお話ししておきましょう。

「シリコンバッグ挿入法」と「がん発症リスク」の歴史

「豊胸すると乳がんになる」と言われ始めたのは1970年代です。その頃の豊胸と言えば、液状のシリコンをバストに直接注入する方法一択でした。液体そのものを大量に注入していたために、一部の成分が細胞に関与しがんを誘発していた可能性はあります。とはいえ、豊胸術と乳がんの因果関係が明確に示された事実はありません。

その後、徐々に豊胸術は進化し、シリコンバッグをバストに挿入する方法が主流となっていきました。成分はシリコンの膜に包まれており、劣化や強力な外力によって穴が開かない限り、バックの内容物が体内に散らばるリスクはなくなりました。

ところが1980年代には、シリコンバッグそのものの発がん性を指摘する声が聞かれるようになりました。このときは、2000年代に入って、実際には発がん性は否定されました。しかし2020年代に入って、シリコンバッグの周囲に水分がたまり、そこに腫瘍が発生したとの報告が上がったのです。ある特定のシリコンバッグだけで起きた事例なので、合致する時期にシリコンバッグを入れた人すべてが対象になるわけではありません。

不安な人は、バッグを入れたクリニックに問い合わせしてみることをおすすめしますが、当時のクリニックが閉院しているケースもあるかもしれません。いずれにしてもシリコンバッグには寿命があり、約10年と言われています。古いバッグが入ったままの場合は、抜去手術をおすすめします。

また、現在はそのタイプのシリコンバッグは販売中止になっていますので、悪徳医師でない限り、発がんの可能性のあるバッグを使うことはありません。

ヒアルロン酸の「発がん性」は大丈夫なの?

シリコンバッグ以外の豊胸術についても、乳がんとの関係をお話ししておきましょう。

手軽な豊胸術「ヒアルロン酸注入法」で発がん性が声高に叫ばれたのは2019年のことでした。実際の事例をあげて危険性がまことしやかに言われていましたが、本来ヒアルロン酸には、がんの発生を抑える力と、がんを誘発する力、そのいずれもが備わっていることはきちんと勉強している医師であれば知っていて当然の話です。免疫力の備わった健康な人の体内に、適切な量のヒアルロン酸を注入したからといって問題はありません。

科学的に当たり前のことなのですが、リスクだけを取り上げて非難するような声にはまどわされないようにしたいものです。

脂肪注入法を受ける人に気を付けてほしいこと

このところ、日本では人気が高まっている「脂肪注入法」のがん発生リスクについてお伝えしておきましょう。

自分の不要な脂肪、たとえば腹部や太もも、二の腕などから脂肪を吸引し、それを加工してバストに注入する、いわゆる脂肪の移植を行うのが脂肪吸引法です。自分の脂肪を使いますし、加工するといっても不要な成分を取り除く安全なものですから、手術によってがんが新たに発症するリスクはゼロに近いと考えて良いでしょう。

ただし、ここで注意しなければならないのは、症状はなくても乳がんがすでに発症していた場合、がんの増殖を加速させる確率は高いと考える必要があるということです

ですから脂肪注入法で豊胸をする場合、全身の健康診断と乳がん検診を受けておくことが大切です。とくに乳がん検診はマストです。若い人の場合、がんの進行は高齢者に比べてスピーディです。がんがすでにある状態で脂肪注入というバストに強い刺激を与える手術を行うのは大変危険であることは知っておくべきでしょう。必ず乳がん検診を受けてから施術を受けるようにしてください。

乳がん検診の「触診」は受けなくていい

乳がんの検診については「痛い」「怖い」「恥ずかしい」と思われている人も多いようですが、そのようなことはありません。

「恥ずかしい」というのは、触診されることを嫌がっているのかもしれません。でも、そこは気にしなくて大丈夫です。医師がバストを細かく触ってしこりの有無を確認する触診は、有効性に乏しいことから厚生労働省が「推奨しない」と明言しています。性能の良い機械のほうが触診より正確に診断できるからです。

もし「触診が必要」と強要されるようであれば、そこでの検診は断り、他の検診施設を探しましょう。また、検査スタッフを女性で依頼できるところも多くなってきました。予約の段階で女性を希望する旨を伝えておけば安心です。

豊胸をしない人でも、乳がん検診は受けてほしい

機械を使った検査には「エコー(乳房超音波検査)」と、「マンモグラフィ(乳房専用X線写真)」の2種類があります。

エコーは超音波を乳房に当て、反射して返ってくる信号を画像化する検査です。検査時の痛みはありません。小さなしこりまで見つけることが可能です。ただし、乳腺の中にカルシウムが沈着した石灰化としこりを区別するような、しこりの性質まで診断するには不向きです。

一方のマンモグラフィは乳房内の乳腺構造を画像で写すレントゲンです。早期の乳がんを発見できる可能性の高い検査ですが、若い人の場合は乳腺成分が豊富なため、しこりそのものの発見率はやや低下するという欠点があります。

二つの検査の長所を活かすためにも、1年ごと、交互にエコーとマンモグラフィの検査を受けることが推奨されています。日本では女性の14人に1人が乳がんにかかるといわれています。豊胸をする、しないに関わらず、乳がんの検査はぜひ受けておいてほしいと思います。

こちらの記事の監修医師

南クリニック

南 晴洋 先生

南クリニック院長
日本美容外科学会(JSAPS)
日本形成外科学会
アメリカ美容外科学会
マニラ病院名誉顧問

京都第二赤十字病院形成外科勤務、大手美容外科院長を経て1997年 南クリニック開業。創業以来、豊胸に力を入れている。注射で豊胸を行う「成長再生豊胸」を海外の学会でも発表。

平成元年3月 産業医科大学卒業
平成元年5月 京都第二赤十字病院形成外科勤務
平成7年4月 大手美容外科院長
平成9年10月 南クリニック開業