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最終更新日:2021年9月27日

「歩くと足が痛い」は病気のサイン?…足の血管が細くなる末梢閉塞性動脈疾患

こちらの記事の監修医師
べっぷ内科クリニック 院長
別府 浩毅

蕁麻疹と診断される3つのポイントと治療における重要ポイント

(写真はイメージです。/PIXTA)

50歳以上で、糖尿病や高血圧症などの生活習慣病の方や喫煙習慣がある方に現れやすい末梢閉塞性動脈疾患という疾患があります。症状は足が痛いというものですが、心筋梗塞や脳梗塞など命に関わる病気、もしくは重度の後遺症がのこる可能性のある病気につながる疾患です。本記事では、末梢閉塞性動脈疾患の具体的な症状やなりやすい人の特徴を紹介します。

目次

  1. 「歩くと足が痛い」が病気のサイン?
  2. 末梢閉塞性動脈疾患が命に与える影響
  3. 末梢動脈疾患に対する治療方法
  4. 早期治療のタイミングを逃さないために

「歩くと足が痛い」が病気のサイン?

50歳以上で、糖尿病や高血圧症などの生活習慣病をお持ちの方、喫煙されている方で、歩くと足(ふくらはぎ~太もも)に痛みやだるさを感じるが、立ち止まって休憩すると楽になって、また歩き出せるといった症状(間欠性跛行)に身に覚えがある方に、気をつけてほしい末梢閉塞性動脈疾患という病気があります。

症状は「足」に現れていますが、心筋梗塞や脳梗塞など命に関わる病気、もしくは重度の後遺症がのこる可能性のある病気につながる疾患です。

末梢閉塞性動脈疾患とは、心臓を栄養する血管が細くなる「狭心症」と同じ血管の病気で、足の血管が細くなり症状がではじめたものを指します。

「高齢」「糖尿病」「脂質異常症」「喫煙」といった動脈硬化(血管の老朽化)を引き起こす因子がそろえばそろうほど発症しやすくなり、とくに、喫煙、糖尿病はその他の危険因子に比べて3倍~4倍、発症リスクを高めることがわかっています。

初期には無症状のことも少なくありません。しかし、病態が中等度以上になると、歩くと足、とくにふくらはぎに痛みが生じ、立ち止まると痛みが治まりますが、また歩きだすと痛みだす…といった間欠性跛行が現れます。

重症になってくると、安静にしていても足の痛みが生じる潰瘍(かいよう)や壊疽(えそ)といった重大な状態へ進行してしまうのです。

足へ向かう末梢動脈の血管が細くなったり、詰まってしまったりすることで、組織の血流不足・酸素不足にともなう「痛み」「痺れ」などが生じるようになります。

末梢閉塞性動脈疾患が命に与える影響

治療ガイドラインであるTASCⅡによると、症状のある末梢閉塞性動脈疾患をわずらった方の5年後の転機は、下肢切断に至るケースは5~10%、また、命を落とす、つまり死亡するケースは30%にのぼるとされます。

5年後の死亡率が30%といいますと、大腸がんや乳がんのそれと同等です。また、その30%の死亡率の75%は、脳梗塞や心筋梗塞などの血管疾患に起因するものですので足の病気ではなく全身病としてとらえることが重要です。

末梢閉塞性動脈疾患の検査として、最も簡便なものはABI検査(上腕足首血圧比)があげられます。ABI検査は腕と足の血圧を同時に測定し、その比率(足首血圧/上腕血圧)から末梢血管が狭窄している可能性を探る検査です。

通常は手の血圧よりも足の血圧の方が高くなるのですが、血管に狭窄があると足の血圧のほうが低くなり、ABIの数値は下がります。0.9以下になると血管に狭窄が生じている可能性が極めて高くなるとされています。

ABIで足へ向かう末梢動脈の狭窄が疑われる場合に、エコー検査、造影CT検査、カテーテル検査などの精密検査を行い、確定診断となります。

末梢動脈疾患に対する治療方法

末梢動脈疾患に対する治療法は主に次の4つになります。

  1. 禁煙
  2. 運動療法
  3. 薬物治療
  4. カテーテル治療や血管バイパス手術

1.禁煙
一番の治療法は何と言っても「禁煙」であり、禁煙をせずに末梢動脈疾患をよくすることは困難です。薬物治療やカテーテル治療、血管バイパス手術も、禁煙ができなければその恩恵は一時的なものとなります。

2.運動療法
運動療法はおもに歩行機能の改善に対して効果が期待できるため、血流障害にともなう症状が中程度までであれば必須の治療方法となります。運動療法を実施することにより、側副血行路という血流不足におちいっている足の筋肉に新たな血管の発達がうながされますし、痛みに強くなることなどにより、歩行機能が改善します。

3.薬物治療
血管の狭窄、血流障害をともなう症状に対して、血液を固まりにくくする抗血小板薬や、血流を改善させる血管拡張作用のある薬剤を使用し症状緩和をはかりつつ、動脈硬化を進める生活習慣病是正のための薬物治療が行われます。

4.カテーテル治療や血管バイパス術
カテーテル治療は、足の血管にカテーテルを通して、狭窄している部位を風船で膨らませたり、血管を支えるステントという金属を血管に留置したりすることで、血管の狭窄を解除し血流を改善させます。血管バイパス手術は、人工血管を用いて、血管が狭窄している部分を迂回する新たな道:バイパスを作ることで、末梢への血流を改善させます。

早期治療のタイミングを逃さないために

単に「歩くと足が痛い」といった足の症状にとどまらず、心筋梗塞、脳梗塞など重大な血管病を引き起こす末梢動脈疾患についてお伝えしてまいりました。

最後にお伝えしておきたいこととして、気になる症状があれば、一度医療機関を受診されることをお勧め致します。ネットなどの情報がたくさん存在するなか、自己判断(診断)をしてしまい、早期治療のタイミングを逃してしまう方も少なくありません。

末梢動脈疾患は、地域の一般内科、循環器内科などで初期診断が可能な病気です。この記事が、ご覧いただいた方々の健康増進、健康寿命の延伸に寄与することを願います。

こちらの記事の監修医師

べっぷ内科クリニック 院長

別府 浩毅

心臓専門医(循環器専門医)、総合内科専門医、糖尿病専門医、透析専門医。広島大学医学部医学科卒。京都大学付属病院、三菱京都病院等で循環器内科、糖尿病を専門として15年の勤務を経て独立開業。
「第一は生活習慣の見直し」をモットーとし、治療薬や高度な医療機器による成果を出しつつも、患者自身が生活を振り返り、改善することを重視している。特に心臓疾患の多くが糖尿病などの生活習慣病と大きく関係していることを危惧しており、食事・運動といった日常の基本的な生活習慣改善を重点的に指導。
生活習慣病は相互に関連することから、より質の高い医療を提供する医師としても珍しい4つもの領域の専門医資格を取得。「患者とともに歩む医療」をテーマに掲げ、日々の治療に励んでいる。