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最終更新日:2021年12月23日

日本の死因・第2位の心不全「何気ないサインで即受診を」のはずが…コロナ禍の弊害

こちらの記事の監修医師
都立墨東病院
大橋 浩一

写真はイメージです/PIXTA

「心臓がドキドキする」「なんとなくだるい」…何気ない不調、もしかしたら心不全のサインかもしれません。都立墨東病院の大橋浩一医師は、潜在患者に向け「気になったら即受診を」と強く勧めていますが、このコロナ禍、病院側も難しい選択を強いられているようです。

日本の死因・第2位の「心不全」潜在患者は多いが…

私達の心臓は全身に血液を送り出すポンプの役割をしており、心臓の機能が低下した状態を「心不全」と呼びます。その患者数は2020年には全国で120万人にのぼり、高齢化に伴って、今後も増加の一途をたどると推定されています。

日本における死因別死亡総数の順位では、心疾患による死亡は悪性新生物(癌)に次いで2番目に多く、心不全による死亡は心疾患のなかで最も多くの割合を占めています。心不全の原因疾患は多岐にわたり、心筋梗塞や心筋症のように心筋組織が直接障害を受けて心不全を発症する場合や、弁膜症や高血圧などにより、心筋組織に長期的に負荷が加わえられた結果、機能障害が起きて心不全を発症する場合、頻脈性ないし徐脈性不整脈により血行動態の悪化が生じる場合などがあります。

日本において心不全の原因疾患で多いのは、順に虚血性心疾患、高血圧、弁膜症というデータがあります。そのうちの一つである弁膜症は年齢とともに罹患率が増加しており、日本の総人口において、65~74歳で約148万人、75歳以上で約245万人の潜在患者がいると推測されます。そこで本記事では弁膜症の一つである「大動脈弁狭窄症」について紹介していきます。

息切れ、むくみ…「大動脈弁の硬化」でゆくゆく起こる怖い事態

「大動脈弁」とは心臓の左心室と大動脈の間にある弁のことを指します。この大動脈弁が何らかの原因で硬くなり、開きが悪くなると、心臓に徐々に負担がかかります。

この状態が長年続き、次第に弁口面積が狭くなることで心臓にかかる負担が増加し、心不全を発症します。大動脈弁の経時的な変化をみてみると、当初こそ弁狭窄を伴わない大動脈弁硬化の状態が、無症状の内に次第に進行し、大動脈弁の肥厚、線維化、石灰化が生じて大動脈弁狭窄症に至ります。加齢と共に狭窄の程度が増悪してくるのです。

様々な研究がなされていますが、原因は明らかになっておらず、加齢のほかに進行に寄与する因子も解明されていません。

狭窄が高度になるにつれ、息切れ、胸の痛み、動悸、足のむくみ、体がだるい・疲れやすい、気を失うなどの症状が出現します。これらの症状が出現した重症大動脈弁狭窄症の患者の平均余命は、狭心痛出現後が45ヵ月、失神後が27ヵ月、心不全後が11ヵ月という報告があり、有症状の重症大動脈弁狭窄症患者の予後はよくないことがわかっています。

また、無症状であっても弁狭窄の程度が特に強い患者や短期間で進行している患者、心機能障害が強い患者などでは突然死や入院を要する心不全に至る可能性が高く、速やかな治療が必要となります。

「ちょっとしんどいな」と思ったら早めに受診してほしい

狭窄が軽度の段階での発見と適切なタイミングでの治療が必要になるわけですが、まずは症状の出始めを見逃さないことが重要です。「ちょっとしんどいな」と思ったら早めに医師にご相談ください。また、聴診もしくは健康診断で心雑音が指摘されたら、循環器専門の医師に心エコー図検査をしてもらうようにしましょう。

狭窄が起きていると診断された場合、自然には元に戻ることはなく進行していく病気であることをまずは認識する必要があります。その上で、定期的な診察と心エコー図検査を行って、自覚症状と重症度の変化を正確に評価し、治療のタイミングを逃さないことが重要です。

大動脈弁狭窄症は、自然に治ることはありません。患者さんの状態によって、薬で症状を緩和し経過観察を行う保存的治療や、手術治療を選択しますが、根本的に弁の開放を改善するためには手術治療しかありません。

先ほど述べた、症状のある重症大動脈弁狭窄症の患者には、弁を人工弁に交換する外科的治療(手術)を行います。

手術には胸を開いて一時的に心臓と肺の機能を代行する人工心肺装置を用い、心臓を切開して弁を人工弁に交換し機能を回復させる開胸手術と、太ももの付け根などの血管からカテーテル(細い管)を用いて人工弁を心臓まで運び留置するカテーテル治療があり、それぞれに利点と欠点があります。年齢や併存疾患、全身状態など、患者ごとに最適な治療法を選択することになります。

「心不全を疑う症状」すぐに受診のはずが…コロナ禍の弊害

階段を2階まで上がったときにドキドキが増えていませんか? 今まで平気だった距離でも歩くと息が切れていませんか? 靴下の跡が強く残るような足のむくみはありませんか? 休んでも疲れを感じることが増えていませんか?

これらは弁膜症などによる心不全を疑う症状です。半年前と比べてこれらの症状が出ていないでしょうか。ご本人はもちろんのこと、ご家族や身近な人に上記の体調の変化があるときは専門の医師にご相談ください。早期発見、定期的な検査と管理、タイミングを逃さない治療介入が、弁膜症から私達の心臓を守ります。

弁膜症をはじめとした心疾患は、病状が安定していたとしても状態が急に悪くなることがあり、急性心不全を発症することがあります。そのときはすぐに医療機関を受診して急性期治療を行った上で、各種検査で病状を評価し、手術などの必要な治療を速やかに行う必要があります。

しかし、2019年末から世界中を襲ったコロナ禍においては、多くの医療機関で心疾患患者の救急対応が困難となりました。「心疾患が増悪したときに出現する呼吸困難症状」と、「ウイルス感染などによる呼吸器感染症が原因の呼吸困難症状」を、初期の段階で見わけることが難しいためです。

「コロナ禍であろうと、コロナ以外の疾患による救急患者が減ることはない」

医療機関からすれば、たとえ心不全を疑っていても新型コロナウイルス感染を合併している可能性があるため、通常の心不全治療だけでなく感染対策も講じた上で、治療を行う必要があります。それができない医療機関では、心不全をはじめとする心疾患の急性期治療が思うように行えない状況が発生しました。

感染症指定医療機関をはじめとした一部の医療機関では、感染対策を十分にとった上で、呼吸困難を伴った心不全などの「コロナ感染症の疑似症患者」を診療することができるよう早期に体制を整えましたが、それ以外の医療機関では、かかりつけの患者であっても救急受診を受け入れることができない事例を数多く経験しました。

なかにはPCR検査で感染が否定されてからも疑似症の時点で診療をすることができない医療機関もあり、2021年末の今現在でも、心疾患患者の急性増悪に対して、入院から診断治療までの一連の急性期診療と感染対策を両立して行うことのできる医療機関は、多くはないのではないでしょうか。

医療機関によっては疑似症患者を受け入れない方針の施設もあります。しかし、コロナ禍でもコロナ以外の疾患による救急患者が減ることはありません。弁膜症をはじめとした急性増悪を来す可能性のある心疾患に関しては、感染対策を十分に講じている、かつ手術などの必要な治療を速やかに行うことのできる医療機関が、万が一に備えた定期的な管理を行うことが必要なのです。

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こちらの記事の監修医師

都立墨東病院

大橋 浩一

循環器内科医。1986年中国上海市生まれ。2011年3月千葉大学医学部卒。順天堂大学医学研究科大学院博士課程。

都立墨東病院での初期研修後、循環器内科で後期研修。東京ベイ浦安市川医療センターなどでの研修を経て、2016年より循環器内科のスタッフとして勤務。専門は心血管カテーテル治療、末梢動脈カテーテル治療、心臓超音波検査など。また「華人」として、日常診療の傍ら、墨東病院を訪れる多くの中国人の診療に携わる。

日本内科学会総合内科専門医。日本循環器学会循環器専門医。
日本心血管インターベンション学会心血管カテーテル治療専門医。
日本経カテーテル心臓弁治療学会TAVR(SAPIENシリーズ)実施医。
日本心エコー図学会SHD心エコー図認証医。

E-mail wang.hao.yin@gmail.com

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