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最終更新日:2021年8月24日

乾癬の種類と症状を解説|主な原因と治療法は?乾癬ができる仕組みや症状の悪化を防ぐためのポイントも紹介

こちらの記事の監修医師
すずきこどもクリニック
鈴木幹啓

全身の皮膚が赤くかぶれ、紅斑で覆われる乾癬に悩む方が増えています。

発症すると皮膚炎に加え、周囲からの視線や衣服の選択肢狭小化にストレス・苦痛を感じるなど、生活の質が低下する要因になります。

腹部・背中・肩周りなどに症状が現れるのが乾癬の特徴です。

今回は乾癬の原因や症状、治療法について解説します。

乾癬の種類と主な症状

乾癬にはいくつかの種類がありますが、最もポピュラーな症状は尋常性乾癬です。

乾癬患者様全体の約90%の方が該当する症状だといわれています。

膿疱性乾癬や関節症性乾癬は対応が遅れると、命に関わる症状へ重症化したり後遺症を患ったりするため、早期治療が重要です。

尋常性乾癬

尋常性乾癬は皮膚に多数の紅斑や発疹が現れます。

乾燥すると表面を覆っていたカサブタが剥がれ落ちるのが一般的な症状です。

尋常性乾癬は肘・背中・太ももなど、摩擦や刺激が発生しやすい箇所で症状が現れるため、窮屈に感じる衣服の着用は避けましょう。

また、発疹が出ていない皮膚を引っ掻いた場合は新たに乾癬が発生するため注意してください。

さらに体温が上昇すると痒みを助長するため、香辛料・アルコール・長時間の入浴も回避するようにしましょう。

尋常性乾癬の原因は免疫システムの異常と考えられています。

本来、ウイルスや細菌に抵抗する免疫に異常が発生することで、炎症性を持つ細胞が異常発生し尋常性乾癬になるのです。

治療法はステロイド剤・ビタミンD外用薬を活用して炎症を抑えます。痒みが強い場合は内服薬を処方されることもあるでしょう。

さらに、乾癬が広範囲に渡って見られる場合は生物学的製剤を活用しています。

尋常性乾癬を発症すると、痒みや紅斑だけでなく肌を見られることに強烈なストレスを感じている方も多いです。

発症者の割合は全体的に30代~40代の男性に多く、女性は20代での発症が多いとされています。

膿疱性乾癬

膿疱性乾癬では皮膚が変色し、ぶつぶつとした膿疱が全身に現れます。

膿疱性乾癬は汎発型・再発環状型・妊婦に見られる膿疱性乾癬に分類することが可能です。

汎発型は明確な治療法や原因が究明されておらず、指定難病の1つに認定されています。

症状は発熱・倦怠感・吐き気だけでなく、関節痛や爪の変形にも悩まされるのが特徴です。

重症の場合は呼吸不全や心不全に襲われるため、早期発見・受診を推奨しています。

治療はステロイド・ビタミンA誘導体・ビタミンD3製剤を活用して炎症や免疫異常を抑制する他、生物学的製剤を注射して関節の状態を回復へ導きます。

関節症性乾癬

関節症性乾癬は通常の乾癬の症状に加えて、手足の関節痛・脊椎関節炎・指先の腫れを引き起こします。

歩行動作を司るアキレス腱や足裏に付着部炎が起きる他、手足の指先が大きく腫れ上がるのが特徴です。

治療が遅れた場合は指の関節破壊に至るケースもあるため、早期治療を心がけましょう。

全身症状や歩行障害を招く関節リウマチと症状が似ており注意が必要です。

関節症性乾癬は血液検査では症状が分からないため、皮膚や爪の状態変化を注視するようにしましょう。

治療薬はステロイド・ビタミンD剤を活用して乾燥を抑える他、メトトレキサートやオテズラを用いて症状を改善へ導きます。

乾癬性紅皮症

乾癬性紅皮症は全身の皮膚に紅斑が発生し、乾燥した鱗屑が剥がれ落ちていく病気です。

皮膚の温度調節機能が低下し、発熱や倦怠感を併発します。

最初から乾癬性紅皮症を発症するケースは少なく、尋常性・膿疱性乾癬が進行して発症するケースが多いのが特徴です。

ただし、割合は非常に低く乾癬患者全体の1%程度といわれています。

原因としては、乾癬の治療薬が身体に合わなかった場合や科学的根拠に乏しい治療を選択した場合、発症につながります。

滴状乾癬

滴状乾癬は小児や若年層の方に多い発疹で、直径1cm前後の紅斑が広範囲に発生します。

抵抗力や免疫力が十分付いていない小児の場合は風邪をきっかけに発症することが多いです。

小児が体調を崩した際は皮膚の状態に変化が無いかを確認してください。

乾癬の特徴

乾癬の症状には主に3つの種類があります。

以下項目を参考に、紅斑・肥厚・鱗屑の各症状について把握しましょう。

紅斑

紅斑は細胞の炎症で毛細血管が拡張し、皮膚が赤くなる現象です。

体温上昇・摩擦・刺激物の摂取が重なると、健康な皮膚にも新たに発疹が現れます。

大きさ・形・数は様々で、発疹同士が結合して大きくなる場合もあるのが特徴です。

紅斑の範囲が拡がるほど痛々しい印象を与えるため、夏場の季節は薄着が難しくなります。

肥厚

肥厚は炎症した皮膚が異様に厚くなり、盛り上がるのが特徴です。

免疫システムの異常で肌のターンオーバーサイクルが乱れることが原因と考えられます。

皮膚内の細胞が正常時に比べて10倍以上の速さで増殖し発症するのが肥厚です。

鱗屑

鱗屑は紅斑部分が時間の経過と共に乾燥した後、シルバーに変色したカサブタが表面に付着した状態を指します。

皮膚を引っ掻いた場合や外部からの刺激が加わった場合は、フケのようにポロポロと落屑が剥がれ落ちるのが特徴です。

また無理に剥がした場合は、出血や発疹につながり症状が悪化しますので注意してください。

乾癬の原因

乾癬の原因は完全に特定はされていません。

乾癬になりやすい遺伝子や体質の傾向が確認されてはいるものの、乾癬患者全体の5%程度に留まっています。

多量のアルコールやタバコの摂取・食生活の乱れ・精神的ストレスの蓄積など、様々な要素が複合して発症に至るという認識が1番妥当でしょう。

また肥満・糖尿病・高脂血症など、生活習慣病を抱えている方は発症リスクが上がるので注意が必要です。

乾癬の治療法

乾癬の治療では、症状が軽い方にはステロイドやビタミンD3を活用し、炎症や紅斑を緩和します。

炎症が強い場合は飲み薬を服用しますが、ビタミンAや免疫抑制薬は副作用のリスクがあるため、慎重な判断が必要です。

また、患者の身体への影響や経済的負担を軽減できるナローバンドUVB療法の活用が近年広がっています。

サイトカインの働きを抑える効果が高い生物学的製剤の治療を受けられる病院は限定されているため、事前の調査が必要です。

外用療法

外用療法ではステロイド軟膏とビタミンD3外用薬など、塗り薬による治療が一般的です。

これらは炎症や紅斑の範囲が限定されている患者に実施します。

ステロイドは血管収縮と白血球の働きを抑制する効果があり、皮膚の炎症と紅斑を緩和することが可能です。

5段階に強さが分かれており、部位や紅斑の強さによって使い分けるようにしましょう。

比較的短期間で効果が現れますが、強さや種類が合っていないと皮膚委縮や毛細血管拡張など、副作用も発生します。

一方ビタミンD3は皮膚の過剰生成を抑え、肥厚や鱗屑の症状緩和へ導くことが可能です。

ステロイドと比べ効果を実感するには時間が掛かりますが、効果が出始めれば長期間維持できます。

ただし1度に多くの量を塗りすぎるとビタミンの過剰摂取を起こし、倦怠感・便秘・脱水症状などを引き起こすので注意しましょう。

内服療法

内服療法は飲み薬による治療で、ビタミンA誘導体・免疫抑制薬・PDE4阻害薬を主に活用します。

ビタミンA誘導体はレチノールの働きで皮膚の過剰生成を抑えることが可能です。

メラニン色素や古い角質を体外に排出し、腕や足裏にできた落屑や口唇炎を防ぎます。

ただし生殖機能や胎児の奇形に発展する恐れがあるため、男性は服用中止から6か月、女性は2年以上の避妊が必要です。

免疫抑制薬は体内で起きている免疫反応の異常や炎症を抑える目的で使用します。

ステロイドだけでは効果が不十分な場合や副作用によって減薬が必要なときに、補助薬として使用されるケースが多いです。

腎臓障害・神経障害・高血圧などの副作用を伴うため、血中濃度の測定を定期的に行う必要があります。

PDE4阻害薬はホスホジエステラーゼ4の働きを抑え、乾癬の要因となる炎症性サイトカインの過剰分泌を抑えることが可能です。

炎症反応の抑制で感染の症状も緩和することができます。

光線療法

紫外線に当たると症状が緩和される乾癬の特徴を活かし、光線療法では紫外線を直接発疹に当てていきます。

塗り薬だけでは改善が見られない場合や発疹が広範囲に出ている方に実施する治療法です。

現在一般的に活用されているのは、ナローバンドUVB療法といわれています。

治療効果が確認された波長域の紫外線を照射し、紅斑を抑えていく治療です。

有害な波長を取り除いているため、以前主流だったPUVA療法で懸念されていた発がんリスク・皮膚の老化促進・白内障の誘発を低減しています。

またPUVA療法で必要だった塗り薬・飲み薬を処方する必要もなく、コストカットとケアの手間を軽減することも可能です。

生物学的製剤

生物学的製剤による治療は点滴や注射を打ち、乾癬を起こす原因となるサイトカインの異常発生を直接抑える方法です。

外用・内服療法などと比べ、高い症状改善効果が期待できます。

一方でサイトカインは人体を細菌やウイルスから守る免疫機能も備えているため、風邪やインフルエンザの発症リスクは上がります。

また副作用の懸念から、日本皮膚科学会が治療の実施を認めた病院・クリニックでしか、生物学的製剤による治療は受けられません。

乾癬が発症する仕組み

乾癬の発症時は、細菌やウイルスから身体を守る免疫の活性化と抑制のバランスが崩れ、活性化が異常に行われている状態です。

表皮細胞・樹状細胞・リンパ球が通常以上に活動し、ホスホジエステラ―ゼ4と炎症性サイトカインが過剰分泌されます。

そして肌のターンオーバーサイクルが通常の10倍以上の速さとなり、角質細胞・鱗屑・炎症成分が体内で異常発生することが特徴です。

その結果、皮膚の炎症・紅斑・痒みにつながります。

症状の悪化を防ぐためのポイント

摩擦やひっかきによって患部を刺激した場合、発疹・出血・痒みが悪化するため注意が必要です。

以下の項目を参考に、症状の悪化を防ぐためのポイントを把握しましょう。

肌をかかない

まず症状の悪化を防ぐために、肌をかかないようにしましょう。

紅斑や鱗屑が発生していない場所でも刺激を与えた場合、発疹が発生します。

また鱗屑を無理に剥がした場合は出血と発疹を誘発し、乾癬が悪化するので注意が必要です。

肌を乾燥から守る

症状悪化と痒みの助長を防ぐために、保湿パックや保湿薬の活用、加湿器の導入などを行ってください。

特に空気が乾燥する冬は保湿ケアを入念に行う必要があります。

乾燥することで痒みが増す原因となりますので、保湿ケアは徹底しましょう。

肌に優しい衣服を着用

症状の悪化を防ぐには、肌に優しい衣服の着用も大切です。

肌に刺激のある衣服を着用すると、衣服の摩擦・伸縮による刺激で、乾癬の症状が悪化します。

コットンやシルクなど、低刺激の素材を選んで着用するようにしましょう。

皮膚の異常がひどくなる前に、病院へ行こう

乾癬は治療開始が遅れると痒みや紅斑が拡がり、精神的なストレスも蓄積されます。

生活で不便な場面も増えるため、皮膚の状態に異変を感じた場合はすぐに病院で診察を受けてください。

症状がひどくなる前に医師の治療を受けることが、早期解決につながります。

まとめ

食生活の乱れ・ストレスの蓄積・薬の副作用などがきっかけで、体内の免疫システムや肌のターンオーバーのサイクルが乱れると乾癬を発症します。

統計から患者の多くは紅斑・肥厚・鱗屑に悩まされる尋常性乾癬にかかっているといえるでしょう。

衣服の摩擦やひっかき傷は、発疹や痒みを助長しますので注意が必要です。

他の方に症状を移す心配はありませんが、乾癬性関節炎や膿疱性乾癬を罹患している場合は、関節痛や全身症状に発展します。

症状の悪化を防ぐためにも、症状に気づいたら医師へ相談し、早期治療を心がけましょう。

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こちらの記事の監修医師

すずきこどもクリニック

鈴木幹啓

〇病院名 :すずきこどもクリニック
〇医師  :鈴木幹啓
〇アクセス:和歌山県新宮市下田2丁目3−2
〇診療科 :小児科
〇経歴:株式会社オンラインドクター.com代表取締役CEO
1975年三重県伊勢市生まれ
1995年自治医科大学入学(県からの奨学金制度)
2001年自治医科大学卒業

日本小児科学会認定小児科専門医
国家資格ケアマネジャー

三重県立総合医療センター、国立病院機構三重中央医療センター、国立病院機構三重病院、伊勢赤十字病院、紀南病院
平成22年5月、新宮市に「すずきこどもクリニック」を開院
【製薬会社社外講師・CM出演等】
グラクソスミスクライン社、JCRファーマ社、杏林製薬、明治製菓ファーマ、鳥居薬品

【メディア出演・TV監修】
日本テレビ、読売テレビ、東京MX、テレビ朝日(医療監修)「くりぃむしちゅーのハナタカ!優越館」

【著書】
日本一忙しい小児科医が教える病気にならない子育て術(双葉社)
開業医を救うオンライン診療(幻冬舎)

2020 年 10 月株式会社オンラインドクター.com を設立。

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