最終更新日:2022年4月26日
ストレスが引き起こすリンパの腫れ。対処法や病院に行く目安を医師が解説

こちらの記事の監修医師
すずきこどもクリニック
鈴木幹啓

リンパの腫れが起こる原因の1つに、過度なストレスがあります。誤った自己判断や対処法で悪化させてしまう前に、腫れが起きている原因を知り、正しく対処しましょう。注意すべき深刻な病気や、病院を受診する目安を医師が解説します。
リンパの腫れが起きた時、自分でできる対処法

リンパが腫れたときの対処法について解説します。簡単にできるものも取り上げているため、ぜひ参考にしてください。
安静にする
リンパが腫れ始めた直後は、まず安静にして様子を見ましょう。症状が軽ければ、数日安静にするだけで改善されることがあります。
患部を冷やす
リンパの腫れが痛む時は、患部を冷やしてみてください。保冷剤や冷却シートなどを使って冷やす事で症状が軽くなるケースがあります。ただし、冷やしすぎると体が冷え症状が悪化する恐れもあるため、冷やす時間は数分〜20分程度にとどめておきましょう。
また、体を温めすぎても腫れが悪化するケースがあります。そのため、腫れが強い場合は湯船に長時間浸かることは酒、シャワーで済ます程度にしてください。
水分を摂取する
リンパのろ過機能を働かせるためには、水分が必要不可欠であるため、できるだけ水分を摂取するようにしましょう。
生活習慣を改善する
また、睡眠不足や過度な飲酒などもリンパの腫れにつながるため、睡眠時間の確保、飲酒量の調節などを心がけ、免疫力の維持・向上に努めることも大切です。
自己流の対処はNG。リンパが腫れているときにやってはいけないこと

腫れた箇所を強くマッサージする
強い刺激が加わることで、炎症が悪化したり、痛みを引き起こす可能性があります。
腫れている箇所を温める
血管が広がり、炎症が悪化する場合があります。また、リンパ管自体を熱傷させる危険性があります。
エクササイズをする
激しい運動をすることで、リンパ液が全身に拡散してしまい、腫れが悪化することがあります。
適切な対応としては、「腫れを確認する際は優しく触れる」、「炎症を抑えるためには冷やす方がよく、温めない」、「軽いストレッチやゆったりとしたウォーキングなどは構わないが、激しい運動は避ける」などが挙げられます。
腫れが強い場合は、湯船に長時間浸かることは避け、シャワーで済ませる程度にしましょう。また、原因が病気や炎症など深刻な場合は、速やかに医師の診察を受ける必要があります。
なぜストレスが原因でリンパの腫れが起こる?

ストレスが原因で起こるリンパの腫れは、リンパのろ過機能や流れがうまく働かなくなることや、免疫力の低下などが関係しています。
原因1 ストレスで老廃物が増え、リンパが詰まる
過度のストレスがかかった状態が続くと、交感神経が優位に働くため、体はアドレナリンを大量に放出しようとします。アドレナリンが出ることで、外部から侵入してくるウイルスや細菌と戦うために、白血球内では顆粒球が増えます。
白血球とは……血液中に存在する免疫細胞の一種。体内に侵入した細菌やウイルスなどの異物や、がん細胞などを攻撃して排除する重要な役割を担う
顆粒球とは……白血球の中でも、主に異物を攻撃する免疫細胞。さらに好中球、好酸球、好塩基球という3種類に分けられ、殺菌作用を持つ顆粒を持つ
本来は体を守るための仕組みですが、ストレス状態が続くと交感神経が優位な状況が続き、顆粒球の量が増えすぎて、不要な顆粒球も発生します。この不要な顆粒球は老廃物となり、リンパ液に回収されます。
リンパ液に回収される老廃物は、通常であればろ過機能が働くため、負担がかかることはありません。しかし、老廃物が多すぎるとろ過機能が追いつかず、リンパがつまって腫れや痛みを伴うようになります。これが、基本的なリンパの腫れの仕組みです。
原因2 ストレスによって免疫力が低下
ストレスによって免疫力が下がってしまうことも、リンパの腫れの原因となります。
リンパの腫れを起こすリンパ節炎は、細菌やウイルスに感染することで起こります。急性咽頭炎や、扁桃炎、時には虫歯から波及して感染することもあります。
疲れているときに限って虫歯が痛んだり、風邪を引きやすくなることは、日常でよく起きます。細菌やウイルスは、免疫力が低下することで体に侵入しやすくなります。
リンパの腫れが気になる時は、やはりストレスを減らすことが大切だと言えるでしょう。
原因3 ストレスでリンパの流れも悪化
リンパ管を流れているリンパ液は、血液と同じ人間の体液の一種です。その流れ方の血液との違いは、心臓のような強力なポンプ機能を持たないことです。
リンパ液は、筋肉の動き、呼吸、血流など、全身の機能の影響によって、ゆっくりと流れています。そのため、筋力が低下している人や、あまり身体を動かさない人では、リンパも流れにくい状態になります。
また、常にストレスや疲れなどを抱えていると、体が緊張した状態になっているため、筋肉もこわばって固くなり、動きも鈍くなります。するとリンパの流れも悪くなり、詰まりが生じて腫れることがあります。
ストレス以外にもあるリンパの腫れの原因

リンパが腫れる原因は、ストレスだけではありません。生活習慣がリンパの腫れを招くこともあります。体質や疲労でリンパの腫れを起こしやすくなっている人もいます。
リンパが腫れやすくなる生活習慣の例
・喫煙
・過度の飲酒
・疲労の蓄積
・睡眠不足
これらは免疫力の低下を招き、リンパが腫れやすい状態を作り出してしまいます。
・運動不足
筋力が衰えたり、少なくなっていると、リンパの流れが悪くなります。流れが悪いとリンパが詰まりやすくなり、腫れを起こします。
リンパが腫れやすい人の特徴
・ストレスや疲労がたまっている人
・運動不足の人
・免疫力が下がっている人
・子ども
子どもは免疫の機能が未熟なため、リンパの腫れを起こしやすい傾向にあります。特に、以下のような特徴があると、より起こしやすくなります。
・気管支喘息・アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患がある
アレルギーによる免疫の過剰な反応により、炎症が生じやすく、免疫細胞が過剰に活性化しやすいためです。
・扁桃腺肥大がある
扁桃腺が肥大していると免疫機能の働きが強まり腫れやすくなります。また、扁桃腺自体が炎症を起こすことで、リンパ節にも炎症が波及し、腫れが生じます。
リンパの腫れは深刻な病気のサイン? 症状や病院を受診する目安、治療について

リンパが腫れるとどんな症状が出るのか、病院を受診する目安や、注意した方がよい深刻な病気にはどのようなものがあるかなどを解説します。
リンパの腫れの症状
首や鼠蹊部(そけいぶ)といったリンパが腫れることで、以下のようなさまざまな症状が発生します。
・頭痛
・発熱
・圧通
・食欲不振
など。
日常生活にも支障をきたす可能性のある症状であるため、注意しなければなりません。
リンパの腫れが示す深刻な病気の例
リンパの腫れは、中には深刻な病気のサインとなっているものもあるため注意しなければなりません。リンパの腫れが関連する病気には以下のようなものが挙げられます。
・膠原病
・関節リウマチ
・悪性リンパ腫
・がんの転移
・猫ひっかき病
・亜急性壊死性リンパ節炎
・結核性リンパ節炎
・化膿性リンパ節炎
など
病院を受診する目安
安静にしていてもなかなか腫れがひかない、それどころか腫れがひどくなっている、患部が痛む、発熱を伴うといった場合は、早めに病院を受診してください。
リンパの腫れを放置していると、内部に膿がたまりさらに症状が悪化する恐れがあるほか、蜂窩織炎と呼ばれる皮膚の炎症を発症し重症化するケースもあります。
リンパの腫れに対する治療
リンパの腫れが感染症によるものである場合、その感染症の治療を行うこととなります。場合によっては抗菌薬を投与して治療するケースもあります。感染症が原因である場合、感染症の症状の改善とともにリンパの腫れもおさまってくるでしょう。
なお、診療科は内科を受診してください。
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こちらの記事の監修医師
すずきこどもクリニック
鈴木幹啓
【経歴】自治医科大学卒業
三重大学小児科入局
三重県立総合医療センター(小児一般病棟、新生児集中治療室、小児救急を担当)
国立病院機構三重中央医療センター(新生児集中治療室を担当)
国立病院機構三重病院 (小児急性期病棟、アレルギー・糖尿病・腎臓病慢性期病棟、重症心身障害児病棟を担当)
山田赤十字病院(小児一般病棟、新生児集中治療室、小児救急を担当)
紀南病院(小児科医長)
平成22年5月、新宮市に「すずきこどもクリニック」を開院
2020年10月、株式会社オンラインドクター.comを設立。CEOに就任