最終更新日:2021年8月24日
口唇ヘルペスの症状を解説!口唇ヘルペスが疑わしい際の対処法は?発症後に気をつけることや予防法もご紹介

こちらの記事の監修医師
すずきこどもクリニック
鈴木幹啓

口の周りに水疱(水ぶくれ)ができる口唇ヘルペスは感染率の高い、非常に身近な病気の1つです。
日本人の10人に1人は感染したことがあり、20代~30代の感染者は50%ともいわれています。
今回は口唇ヘルペスの症状や対処法について、じっくり確認してみましょう。
口唇ヘルペスの症状

口唇ヘルペスは単純ヘルペスウイルスが原因となる感染症で、唇の周りにたくさんの水疱ができるのが特徴です。
ウイルス性のため、単純ヘルペスウイルスが皮膚や粘膜に接触した場合に感染します。
単純ヘルペスウイルスは1度感染すると消滅することがなく、完治せずに再発を繰り返すのが特徴です。
以下の項目では口唇ヘルペスの症状や経過、間違えやすい病気などを解説していきます。
症状と経過
口唇ヘルペスの水疱は痛みや痒みを伴い、初感染した場合は発熱や顎のリンパ節が腫れることがあります。
最初は唇の周りに痒みやほてり、ピリピリした痛みなどの症状が現れるのが特徴です。
そして腫れた部分に水疱ができ、その水疱が破れてかさぶたになります。
口唇ヘルペスの発症から治癒までの期間は通常2週間ほどです。かさぶたが取れ、しばらくすると自然に治癒するでしょう。
間違えやすい病気

口唇ヘルペスには症状が似ている病気がいくつかあります。
症状は似ていても、原因や治療薬などがそれぞれ異なるため注意が必要です。
特に初感染が疑われる場合は、専門医に診てもらいましょう。
口角炎
口角部分の皮膚がひび割れやただれなどを起こす皮膚疾患
とびひ
乳幼児が発症する、黄色ブドウ球菌などによる皮膚感染症
手足口病
乳幼児に多く発症するウイルス感染症
接触性皮膚炎
アレルギー反応が起こる特定物質との接触による炎症
固定薬疹
アレルギー反応が起こる特定薬物の服用による発疹
尋常性天疱瘡
中高年以上に多く発症する自己免疫性疾患
カンジダ症
口の中などに生育する「カンジダ」という真菌が増殖する疾患
梅毒
「梅毒トレポネーマ」という菌が皮膚の傷部分や粘膜に感染する性感染症
上記は口唇ヘルペスと症状が似ている別の病気です。
どれも痒みや水疱などの症状を伴うため、口唇ヘルペスと勘違いする人も少なくありません。
自己判断で対応すると、症状が悪化する場合もあるので十分に気をつけましょう。
性器ヘルペスとの違い

同じヘルペスでも口唇ヘルペスは性器ヘルペスとは異なります。大きな違いはヘルペスの原因となる単純ヘルペスウイルスの種類です。
単純ヘルペスウイルスは感染後に潜伏する場所により2つのタイプ(Ⅰ型、Ⅱ型)に分かれます。
Ⅰ型は口唇ヘルペスで、頭部の神経に潜伏して水疱の症状が現れるのは、唇やその周りです。
一方、Ⅱ型は臀部の神経に潜伏します。性器周辺に症状が出るため「性器ヘルペス」と呼ばれています。
しかし感染経路によってはⅠ型の単純ヘルペスウイルスに感染して、性器ヘルペスを発症するケースもあることも把握しておきましょう。
口唇ヘルペスの原因

口唇ヘルペスに感染する原因として、次のような要因が挙げられます。
・直接患部に触れる
・単純ヘルペスウイルスが付着した衣類や食器などを使うこと
・キスや性行為
皮膚に直接触れただけでは感染する可能性は低いですが、キズや湿疹などがある場合感染する確率が高くなります。
また幼児の口唇ヘルペス感染原因に多いのが、感染した親や祖父母の頬ずりなどのスキンシップによるものです。
単純ヘルペスウイルスの感染力は強力で、患部をふいたタオルや口をつけた食器などにも残存します。
物を共有することでも感染の恐れがあるので、同じ物を使うことは避けましょう。
また、単純ヘルペスウイルスはたいてい神経に潜んでいますが、中には唾液や精液に含まれていることもあります。
その場合は、キスや性行為でも感染する可能性があるため注意が必要です。
口唇ヘルペスの再発

口唇ヘルペスは完治する病気ではなく、水疱が治癒しても単純ヘルペスウイルスは体内に残り再発を繰り返します。
たいていの人は子供の頃に初感染し、そのほとんどが無症状もしくは軽症です。
成人後に再発するパターンが多いと考えられています。
風邪などの体調不良時やストレスや疲れが溜まっているときは注意が必要です。
口唇ヘルペスは心身ともに健康が優れないときに再発しやすいといわれています。
口唇ヘルペスが別名「風邪の華」「熱の華」とも呼ばれるのは、体調が良くないときに発症するためです。
口唇ヘルペスの対処法

口唇ヘルペスには似た症状の病気もあり、治療法や薬の種類なども大きく異なります。
自己判断で間違った投薬をすると治癒どころか悪化する恐れもあるため、症状がでたら医師に相談しましょう。
口唇ヘルペスに感染したときの正しい対処法を説明します。
初発症時は自己判断せず医療機関へ

口唇ヘルペスかどうかの自己判断は禁物です。特に初発症のおそれがあるときは、必ず医療機関で専門医の診察を受けてください。
受診は皮膚科、または内科が一般的です。
市販薬は再発時に限って使用可能

CMなどでも見かける口唇ヘルペスの市販薬ですが、誰でも使えるというわけではありません。
口唇ヘルペスの薬は間違って使えば悪化する恐れがあるため、過去に口唇ヘルペスと医師の判断を受けた方のみ使用可能となっています。
また口唇ヘルペスの市販薬は第一類医薬品となるので、薬剤師がいる薬局でしか購入できません。
他の人に移さないような対処をする
口唇ヘルペスに感染したら、治療とともに他の人に移さないように心がけることも重要です。
水疱などの症状が現れているときは感染力が特に強くなっています。
同居する家族やパートナーは感染する可能性が高いため、細心の注意が必要です。
食器やタオルなどの共用は避け、使った後は必ず洗うようにしましょう。
また子供が感染した場合、大人の目が届かないところで患部を周りに触れさせてしまうことがあります。
治癒にかかる約2週間は幼稚園や保育園などは休ませ、外出も極力控えてください。
次に挙げる人々は重症化するリスクが高いので、接触には特に注意しましょう。
・新生児
・アトピー性皮膚炎の人
・病後や術後で免疫力が低下している人
口唇ヘルペスの治療法

口唇ヘルペスの治療法は症状により異なります。
投薬や点滴などの方法があり、いずれもウイルスを抑える抗ヘルペスウイルス薬です。
軽症の場合は、アシクロビルやビダラビンなどの皮膚表面のウイルスを抑える市販薬で対応することもできます。
しかし、基本的には医師の処方に基づいて服薬することがお勧めです。
体内のウイルスを抑える抗ヘルペスウイルス薬では飲むタイプの薬が一般的で、バラシクロビル・ファムシクロビルなどがあります。
重症の場合はアシクロビルやビダラビンを体内に点滴する治療が一般的です。
点滴による治療は即効性があり、発熱などを伴う症状の場合は1番効果があります。
発症した時の注意点

口唇ヘルペスを発症した場合、注意したい点がいくつかあります。
注意を怠ると、患部が広がるなど治癒に日数がかかってしまいます。
最小限の治療に留めるためにも、以下の項目を意識して治しましょう。
清潔と乾燥を心がける
まずは患部に触らないことが重要です。水疱がつぶれると患部が広がり、治癒にも日数がかかります。
治癒途中のかさぶたを無理に取ると痕が残ってしまう場合があるので注意しましょう。
就寝中に患部を掻き毟らないよう爪は短く切り、日中はマスクの装着がお勧めです。
体を清潔に保つことも徹底しましょう。
汗をかいたらすぐにシャワーを浴び、タオルやシーツなどはこまめに取り替え、衣服も毎日変えることが必要です。
また高湿は症状を悪化させるため、患部が濡れた時は水分を拭き取り、常に乾燥の状態を保ってください。
過労を避けてバランスのとれた食事で規則正しい生活を

口唇ヘルペスを発症しているときに体調不良の状態だと、なかなか治りにくくなります。
無理な活動は避け、ストレスや疲労を溜めないようにすることが大切です。
また睡眠をたっぷりとり、栄養バランスがいい食事を積極的にとりましょう。
症状を悪化させるアルコール類や免疫力を低下させる紫外線も禁物です。
発症中は禁酒を心がけ、屋外での活動にはUVケアを忘れずに実践してください。
規則正しく穏やかな生活を送ることが、口唇ヘルペス治療の早道です。
予兆が出たらすぐに対処をする
口唇ヘルペスが再発する場合、唇のまわりの痒みやピリピリした痛みなどの予兆があります。
それらは前駆症状と呼ばれ、再発する人のほとんどがこの段階で気付くことが多いです。
再発の予兆を感じたら、すぐに投薬などの対処をしましょう。早めの処置は口唇ヘルペスの軽症化や治癒期間の短縮につながります。
日頃の予防法

口唇ヘルペスは一度ウイルスに感染すると完治しないとされていますが、予防をすることで再発を防ぐことが可能です。
単純ヘルペスウイルスを活性化させないことが予防につながります。
日頃から予防法をしっかり身につけて、習慣化させておきましょう。
体の免疫力を落とさないようにする
口唇ヘルペス再発の原因として挙げられるのが体の免疫力の低下です。
免疫力を落とさないよう、以下のことを意識した生活を送りましょう。
・睡眠や休息をたっぷりとる
・栄養バランスの良い食事をとる
・紫外線を防止する
十分な睡眠と栄養バランスがとれた食事は、免疫力の維持に必要不可欠です。
また紫外線も免疫力を低下させる要因となるため、なるべく予防を心がけてください。
女性は生理期間中も要注意

女性にとっては生理期間中も注意が必要です。
排卵後の生理前から期間中はホルモンバランスが乱れるため、体の免疫力が低下する傾向にあります。
体の免疫力が低下すると口唇ヘルペスを発症する可能性が高まるため、健康管理が大切です。
生理期間中は特に睡眠や食事をしっかりとり、無理をせずに体を休め穏やかに過ごしましょう。
まとめ

口唇ヘルペスは1度感染してしまうと、単純ヘルペスウイルスが体内に潜伏し、再発を繰り返す傾向のある病気です。
やっかいな病気ですが、治療や予防を正しく実践すれば発症を抑えることができます。
口唇ヘルペスについての知識を身につけて、適切な対処法で向き合っていきましょう。

こちらの記事の監修医師
すずきこどもクリニック
鈴木幹啓
〇病院名 :すずきこどもクリニック
〇医師 :鈴木幹啓
〇アクセス:和歌山県新宮市下田2丁目3−2
〇診療科 :小児科
〇経歴:株式会社オンラインドクター.com代表取締役CEO
1975年三重県伊勢市生まれ
1995年自治医科大学入学(県からの奨学金制度)
2001年自治医科大学卒業
日本小児科学会認定小児科専門医
国家資格ケアマネジャー
三重県立総合医療センター、国立病院機構三重中央医療センター、国立病院機構三重病院、伊勢赤十字病院、紀南病院
平成22年5月、新宮市に「すずきこどもクリニック」を開院
【製薬会社社外講師・CM出演等】
グラクソスミスクライン社、JCRファーマ社、杏林製薬、明治製菓ファーマ、鳥居薬品
【メディア出演・TV監修】
日本テレビ、読売テレビ、東京MX、テレビ朝日(医療監修)「くりぃむしちゅーのハナタカ!優越館」
【著書】
日本一忙しい小児科医が教える病気にならない子育て術(双葉社)
開業医を救うオンライン診療(幻冬舎)
2020 年 10 月株式会社オンラインドクター.com を設立。
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- 和歌山県新宮市下田2-3-2地図を見る
- JR紀勢本線 新宮駅 徒歩10分
- 0735-28-0111
- 小児科 小児眼科 小児耳鼻咽喉科 小児皮膚科 小児神経内科 小児泌尿器科 アレルギー科
「すずきこどもクリニック」は、和歌山県新宮市下田にあります。こちらの院長は、親しみやすい人柄から「地域の良き相談相手」として多くの患者さんに信頼されています。院長は大病院での勤務経験や小児科医長の実績...
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